劇場公開日 2018年5月12日

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「描写がエグ過ぎる秀作」孤狼の血 アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5描写がエグ過ぎる秀作

2018年5月14日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

本作は R15+ 指定なので,15 歳未満は親と同伴でも見ることができない。映像描写のエグさはあの「アウトレイジ」シリーズさえも上回るのではと思われるほどで,よくぞここまで思い切って描いてくれたものだと感心した。原作は,岩手県出身で山形市在住の女性作家・柚月裕子の3年前の小説で,未読であるが,第 69 回日本推理作家協会賞の長編および連作短編部門賞を受賞し,直木賞や吉川英治文学賞などの候補にもなっている。まず,女性作家がこれを書いたということには本当に驚かされる。

昭和 63 年という設定が映像からよく感じられた。30 年前の車や自販機など,よく探してくるものだと感心した。脚本は良くできていて,役所広司演ずる大上刑事の俗物っぷりに目を奪われていると,その真の姿に愕然とさせられる。そして,その教えに覚醒したかのような松坂桃李の成長っぷりも見事であった。それにしても,よくもあれだけエグ過ぎるリンチの方法を描けたものだと思う。暴対法で表面的には大人しくなったかのように見える現在の暴力団も,陰では未だにこんなことをやっているのかと思うとゾッとさせられた。

役者は役所広司の演技に負うところが大きかったが,松坂桃李もかなり頑張っていたように思う。この二人が共演した作品といえば,「日本のいちばん長い日」のリメイクがあったが,あの時の松坂桃李は違和感ありまくりだったので,だいぶ良くなったと思った。一方,竹野内豊はかなり役に恵まれていなかったように思った。「シン・ゴジラ」で総理大臣補佐官を好演した彼には,是非もうちょっとクレバーな役をやらせて欲しいと思う。江口洋介が「一之瀬守孝」という役名で,大上刑事から親しげに下の名前で呼ばれているのだが,どうしても「森高」と呼ばれているような気になって可笑しくて仕方がなかった。:-D

音楽は,ベテランの安川午朗で,よく雰囲気を作り上げるのに貢献していたと思う。演出のえげつなさは最近見た中でもトップクラスではないかと思う。到底子供に見せられるものではないし,カップルで見に行くようなことも全くお勧めできない。暴力描写にはやたら厳しいアメリカでは,おそらくこのままでの上映はできないのではないかと思う。現代日本の究極の大人向けの作品ということになるだろう。
(映像5+脚本5+役者4+音楽4+演出5)×4= 92 点

アラ古希
アラ古希さんのコメント
2018年5月14日

ご指摘有難うございました。訂正しておきます。

アラ古希
いっちーさんのコメント
2018年5月14日

すいません。気になってしまったのでコメントしますが、竹野内豊は「シン・ゴジラ」では官房副長官ではなく、総理大臣補佐官かと。

いっちー