「もっと行けたのでは…」孤狼の血 Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと行けたのでは…
あの白石監督が 広島を舞台にしたヤクザ映画を撮る! と聞いて期待値を最高潮にあげた上で鑑賞
冒頭の東映のロゴが出た時点で
みなさん! お待ちかねのやつ、行っちゃいますよー!
的雰囲気満載で早速ニヤついてしまった
今作、とにかく全編を通して感じたのは 汗臭い!風呂入っとんのかこいつら! という事
撮る側も恐らく明確にヤクザが出てくる ジャンル映画 としての魅力を最も重視して作ったのではないかと思うのだけど、徹底して 粗暴・下品上等! という姿勢を貫こうとしてるのがビンビンに伝わってきて凄く好感を持てる。開幕いきなりの豚のクソからあそこに仕込んだ真珠まで、最近の日本映画ではまず見ることはない下品なギミックの数々を限界ギリギリまでキチンと描いてくれたのは、この手の映画が好きな自分からすると凄く嬉しい
あとは役所広司を筆頭にした役者陣の顔がどれも最高! 特に江口洋介は こんなドスのきいた役も出来るとは… と、新たな一面を見た気が個人的にはする
と、行った具合に、見たかったものがあますことなく詰め込まれていたような映画ではあるので個人的には満足ではあるのだけど、事前のハードルがめちゃくちゃ高く設定していたのもあって もっともっとガツンときて欲しかったような気もしてしまう。
特に終盤明らかなになる、ある登場人物の思いが、明確に俺がこの映画に求めていた 粗暴さ から外れていたのもあって個人的には少し肩透かしだった
(もちろん、内容としては正しいのだけど…)
あとは、その辺のネタバラシが全部彼がいないところで、別の人の口から割とキチンとセリフで説明されていくところも急に映画のボルテージが落ち着いてしまったような気がして少し残念
もっと映画的な跳躍力のある心理描写にしろアクションにしろあればより大好きな作品になってたかもしれない
比較するべきではないかもしれないけど、韓国のノワールはその辺も本当にうまいので、もう製作が決まったという続編ではより ヤクザ映画 ここにあり! というところを見せつけてほしい