「凝縮」空飛ぶタイヤ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
凝縮
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見応えあった。
実に濃密な脚本だった。
余計な事を一切書いてないかのようで、冒頭から世界観にガッツリ囚われる。
退っ引きならない緊張感に引きづりこまれる。
立場において曲げられる真実の在り方や、それに群がる人物達。
事実を究明せんとする弱き者たち。
皆、それぞれに良識をもち、いい塩梅で自分本位でもある造詣に唸る。
濡れ衣を払拭したところで本編は終わる。
肩を落としホッとする長瀬氏が印象的だった。
秀逸だったのは人間の描き方で、裏も表も白も黒も、誰一人として単一な色を持つ人は居なかった。長瀬氏を中心として物語は進むが、とても、とても濃密な群像劇でもあった。
苦悩を抱え込む長瀬氏も素晴らしかったけど、高橋氏の役所が絶品。
表舞台に一切絡む事なく、トドメを刺した。彼の功績を誰も知らない。ずっと耐えて、機会を伺い、たったの一振りで切って落としたような感じだ。かなり美味しいポジションのキャラで、このキャラを生み出した作者は、やはり只者ではない。
「果報は寝て待て」の体現者で、ただ1人、痛快なのである!
脇を固める役者陣も、いい仕事をしてくれていて、充実した2時間だった。
権力と財力に屈したマスメディアもソレっぽい。警察機構が正義の執行人として描かれてはいるが、政治家絡みで抑圧するのも可能なんだろうなぁと思いつつ「正義」という言葉が幻のようで宙ぶらりんな現代を憂う。
ただ…ラストカットはアレじゃないと思う。
俺的、本年度のアカデミー賞総ナメな1作!
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