アイリッシュマンのレビュー・感想・評価
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16日と19日、2回観ました。デニーロ、アルパチーノ、ジョー・ペシ流石です。
不可解な日常の変化を通じて女性達の嗅覚の鋭さが見え隠れする
自称「壁塗り屋」のトラック運転手(デニーロ)が 愛する家族に疎まれ 命の危機に遭遇しながらも生き延びられたのは 右にも左にも利用されやすい世渡り上手で 仕事が1発必殺 証拠を残さない腕があったからだろう
余談だが「桜を見る会」で反社会的勢力について官房長官が「犯罪が多様化しており、定義を固めることは逆に取り締まりを含め、かえって複雑になる」と言い 反社勢力と政治家の接触はあの時代から今も続いているのだろうから 曖昧な方が都合がいいのだろうな なんてことを脳裏に浮かべながら 戦後アメリカの裏社会を 映画好きなスコセッシ監督がロバート・デニーロとアル・パチーノ両御大を使って 練り上げてたギャング映画のエポックメイキングを味わった
裏切り奇襲が当たり前の闇社会で生きながらえるのは至難の技 不可解な日常の変化を通じて女性達の嗅覚の鋭さが見え隠れする
「人は1回は確実に死ぬ」ということは うすうす皆んなが知っていることだが スコセッシはそのことを重ねて言いたかったのだろう
観たぞ〜、というだけで誇りたい
あ〜、観たぞ〜!流石に長かった209分(3時間29分)…
事前に、浮遊きびなごさんのレビューにある以下を予習していったおかげで、この長時間を、置いて行かれることなく堪能できました。浮遊きびなごさん、感謝です。
----ここから
>①ジミー・ホッファの経歴
>②キューバ危機
>③ジョン&ロバート・ケネディ
> くらいを軽く下調べして
>おくと非常に楽しめるかと。
----ここまで、浮遊きびなごさんレビューから引用
デニーロは、黙っているときがいいです。対して、しゃべるアルパチーノ。そして常に権謀中というジョーペシ。なんか、3人とも普段からこの通りなんじゃないの?と思ってしまうのは、3人の演技のなせる技なんだろうな。
終盤の、この映画最大の出来事が、そのインパクトに反して、あっさりと、そしてあっという間に描かれるのは、主人公フランクの "真ん中にあるもの" を描き出すためなのかな。
何を優先するか。彼にとってのそれは「依頼を実行する」であって、友情や家族は二番目以降ということなのだろう。作品を観ればわかるが、「友情や家族愛に薄い」ではなく、あくまでも「二番目」なだけ。
彼が、(愛する娘に嫌われてもなお) その原則を貫けるのは、戦争体験や "この時代" だからこそなのだろう。
彼の中では、当然の順位であり、決して反省するようなものではない、と感じさせる。このことに、監督・俳優の腕と、本作の冷徹さをみた。
真のハードボイルドは、やはり、「観て気持ちがいい!」というような代物では、なかったよ。
長かったけど、納得の作品でした。Netflix旋風強い
まさかの号泣
うーむ。不覚にも涙してしまった。年老いたロバート・デニーロ(フランク)がアル・パシーノ(ジミー・ホッファ)の写真を見返すシーンで号泣。すごく良い映画でした。まさかスコセッシに泣かされるとはね。
映画の終盤、あれだけ時間にうるさかったジミー・ホッファでも、フランクには怒らない。そして、怪しいと知りながらも、ジミーはフランクがいるからという理由で、車に乗る。そして車の中で熱いハグ。フランク、お前が来てくれただけで充分だよと言わんばかりのホッとした様子のジミー(その後呆気なく殺されてしまうん辺りが、スコセッシ流って感じ)。ロバート・デニーロとアル・パシーノ熱い抱擁に胸が熱くなりました。このシーンは彼らじゃないとできない、というか、彼らのために用意されたシーン。涙なしには観れないよ。
ただのマフィア映画ではなく、人生の映画になってます。人は誰でも老いる。老いれば若い頃に羽振り良かったことなど関係なくなる。孤独に寂しく老人ホームで死んでいくのが現代人。スコセッシが意図していたかどうかは分かりませんが、映画の終盤は、繁栄を極めたアメリカ社会への批評になっていたような気がする。
物質的な豊かさには意味はねーからな!
アイリッシュマンからはそんなテーマが浮かんだ。この映画のなかでは、リアル=金、社会的成功、人脈、といった物質的豊かさ。バーチャル=信心、友情、神、といった精神的豊かさ。
近代から現代になるにつれて、人は物質的豊かさを、「未来は明るい」という、精神的豊かさに変換することができた。
しかし、この先、多くの先進国では物質的豊かさの向上が望めなくなる。我々は価値観を改める必要がある。物質的豊かさでは無い何かを拠り所にし、新たなる精神的豊かさを生み出す必要がある。
物質的な豊かさに従い続けた場合どうなるのか?その慣れの果てがこの映画のフランクだ。若い頃、いかに自分が物質的に豊かだったか、を自慢する輩の末路は悲惨だと決まっている(フランクはそんな輩では無いけどね)。何故なら、どんなものであっても、物質は必ず無くなるからだ。
スマホゲームやネトフリがここまで流行っているのは、物質的な豊かさを望めなくなった結果だと言える。最近はみんなゲームやら映画やらドラマ番組の中に精神的な豊かさを求めているんだよね。きっと。
マーベル嫌い
タランティーノは“シャロン・テート惨殺事件”をモチーフにして、昨今のウォーク・カルチャー一色に染まりつつあるハリウッドの凋落ぶりをブラックな笑いで丸焦げにしてみせたが、かつて格好のアメリカン・ゴシップ・ネタにされてきた“ジミー・ホッファ失踪事件”を題材に選んだ本作で、マーティン・スコセッシは観客に何を伝えようとしたのだろう。
一介の食肉運搬業者だったアイルランド系アメリカ人フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)。ひょんなことからイタリアン・マフィアの重役ラッセル(ジョー・ペシ)と知り合い、その縁で全米トラック運転組合=ユニオン委員長ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)からも気に入られユニオン支部長に抜擢される。ニクソンへの献金を妬まれケネディ兄弟にマークされたホッファの信頼すべきボディーガードとしても働いたシーランだったが、年金流用でマフィアと対立しはじめたホッファ暗殺をラッセルから依頼される・・・
長年謎とされてきたジミー・ホッファ失踪の真実を、その死後を待って出版された実在の人物フランク・シーランの暴露本を元に製作されたという本作。劇中意味深に登場する日本語のテロップ“家のペンキを塗る”とは、射殺時に死体から家屋に血飛沫が飛び散る様を形容したスラングだ。長年ファミリーのため組織のためその手で赤いペンキを塗ってきたシーランの生き様が重厚に描かれたスコセッシお得意のギャング映画のような気もするが、従来のシリアス路線とはひと味違った演出に着目したい1本である。
(アイアンマンにかけた)“アイリッシュマン”とはタイト
リングされながら、演じているのはこてこてのイタリア系ロバート・デ・二ーロ。通常なら別の俳優を使うところを、76歳のデ・二ーロにわざわざ特殊CG処理を施して若き日のシーランを演じてもらったというから驚きだ。この映画、介護サービス付病院で車椅子にのったシーランの回想シーンで始まるのだが、あのオスカー受賞作“グリーン・ブック”を彷彿とさせる(アリバイ工作のための)長距離ドライブをメインに、そこからさらに男ざかりの時代を回顧させる二重構造が、何かしら監督の“企み”を感じさせる演出なのである。
ロンドン映画祭に出席したスコセッシが、本作に関する記者会見で次のようなことを述べていた。
「マーベル映画のようなテーマパーク映画は、また別物の体験です。前にも言いましたが、あれは映画ではなく別物。好きかどうかにかかわらず、別物だし、我々はそちらに侵されてはいけない。これは大きな問題です。劇場主は、物語を語る映画の上映を強化すべきです。」
「ある意味、すでに私たちには(映画界に)十分な居場所がありません。あらゆる理由から、この映画を作る余地はなかったんです。それでも、作品に干渉しない、作りたい作品を作っていいという企業が支援してくれました。ただしその代わり、ストリーミング配信になり、それに先がけて劇場公開をすることになる。今回のプロジェクトの場合、これはチャンスだと判断しました」
この記事を読んで気がついたのは、本作のジミー・ホッファやフランク・シーランは、やがて消え行く運命の古き良き映画文化のメタファーであり、監督マーティン・スコセッシの分身にちがいないということ。なによりもユニオンが大切なホッファはその旧態依然としたやり方が災いしてユニオンやマフィア(ハリウッド)から鼻つまみ者扱いされる。そして、愛する家族を守るためマフィアから依頼された暗殺(プログラムピクチャーの監督)に長年手をそめてきたシーランは、愛娘ペギーに嫌われ疎遠になる孤独な晩年が劇中詳細につづられている。
それは映画を愛し守ろうとした言動が逆に映画界からバッシングされ、ハリウッドの中に居場所をうしなったマーティン・スコセッシの立ち位置とぴたり重なるのである。映画は、シーランが頑なに口を閉ざし守ろうとしたマフィアの面々が高齢でみな亡くなっている事実をシーランが知り呆然となるシーンで幕を閉じる。かつて大統領の次に権力を持っていたと伝えられるジミー・ホッファも、歴史の流れの中で現在ではその存在を知る者さえほとんどいなくなっているという。CG処理を施したデ・ニーロが守ろうとしたホッファが歴史から消え去ったように、スコセッシが守ろうとしている古き良き映画文化もいずれ幻と化すのかもしれない。
二枚組LP
マフィア映画の最高峰と言っても良いでしょう
とにかく素晴らしかった。
スコセッシがメガホン取って、デニーロとジョーペシとハーヴェイカイテルが出てるってだけで最高過ぎです。そしてパチーノまで。
こんな自分好みの座組み、どうしたって観るしかない。
しかしながらこれはNETFLIX配信作品。
東京国際映画祭では出遅れてしまった為チケットは当然取れず、劇場公開が発表された時は本当に嬉しかったです。
ただやはりハードルが高い作品でした。
3時間30分の長尺なので、時間が取りずらいんですよね。
2〜3回見送ってなんとか平日の仕事終わりに行ってきました。
それにしても面白かった、とても密度の濃い3時間30分を堪能できましたよ。
その豪華なキャストは想像以上にすごかった、皆その演技が素晴らしいんですね。
今回のペシはキレる感じでなく重鎮な役所なんですが、それでもやはり怖いのですよ。さすがですね。
音楽も当時の楽曲で彩られていて、こういった所もさすがスコセッシといったところでしょう。
その中でもやはりロビーロバートソン(ザ・バンド)によるテーマ曲ですね。重厚なサウンドが実にマッチしています。
ロビーとは自身の作品「ラストワルツ」繋がりなのも面白いですね。
物語は当時のアメリカの情勢や事件なども上手く絡めており、独特の解釈も興味深かったです。
VFXによる若返りもスムーズで、これを導入する大胆さにも驚かされました。
さらにこの膨大な企画を受け止めたNETFLIXもすごいですね。
頼まれ仕事とは違うスコセッシのものすごい気迫を感じる本作、マフィア映画の最高峰と言っても良いでしょう。
この作品が観れた事を本当に嬉しく思います。
タイトルなし
見る前に下調べが必要かも?
映画は、下調べ無しでまっさらな状態で見るからこそ
新鮮な驚きや感動があるものだと思っています。
ですが、時代背景や実在人物のことを知らないと
楽しみ切れない映画というのは存在します。
この映画は、知らなくても十分楽しめますが
知識がないと、最初引き込まれるまでに時間がかかります。
それを承知で、まっさらな状態で見るかどうか
個人で選んで鑑賞いただきたいと思います。
私はそういったことを何も知らずに見ましたが、
それでも、年代で演技が微妙に変わる技は圧巻でしたし
独特のカメラ配置をとることで、殺人がより日常に感じる
演出のうまさにも感動しました。
それに、背景や衣装の美術はリアルでありつつも、
なぜかとても美しいと感じました。
マフィアやヒットマンというワードが入る映画のほとんどが
非日常を描くことで観客にスリルを味合わせますが、
この映画の場合、緊張感は各場面でありつつも、
マフィアの存在やヒットマンの存在が
至って普通の日常に溶け込んでいます。
仕事として人を殺していく人が、必ずしも悪人であったり
暗いバックボーンを持っている訳ではないのです。
本当に、どこにでもいるおじさんがヒットマンなんですが、
不自然な溶け込み方だったり、自然すぎて逆に
おかしかったりはしない、絶妙な演出の仕方なのです。
この絶妙な技にまた感服しました。
映画をみてから、実在している彼らのことを調べたり
この映画が公開されるまでの背景だったりを知り
さらに深みが増しました。
本当に長い映画ですが、それほど間延びした印象はありません。
半生を描くに必要な長さだと思います。
映画を一つの"作品"として楽しむタイプの人なら
一つ一つに刺激を受けながら見ることが可能なのではないでしょうか。
個人的には満足度が高いんですが、やはり
見る人を選ぶ映画ではあると思うので、☆は低めにつけました。
俳優さんたちの年齢の演じ分けが凄すぎて
素晴らしいものを見せてもらいました
お話が複雑でついていけなかったのですが
興味を持てなかった!!
伝記物ですが題材に全く興味を持つ事ができず、長すぎて苦痛でした。私は勤務先で何度も思いましたが、気に入らない奴をすぐボコったり殺したりできるのは楽で良いですね。スコセッシとデニーロだからと手放しで喜ぶ事はできませんでした。同調圧力に弱い方は面白いと感じるのでは無いでしょうか。
ラスト30分のための3時間半
この時代にロバートデニーロとアルパチーノの競演が観れただけでも最高と思いたい三時間半でしたな。
しかも二人の関係性なるや…。
結局いろいろ撮ってきたマーティンスコセッシが撮りたかったものって、後悔とか哀愁とか、人生の虚しさとか何ですかねえ…。
ペギーがかなりキーパーソンでしたね。彼女の存在がふたりの関係をより熱いものにしておりました。
そしてジョーペシ。最初から、これ誰だろ、と思ってみてましたが、まさかのジョーペシだったのね!裏ボス的な雰囲気が妙に怖くてぴったりでしたな~。いや、ナイスキャスティング。
老いていく様は本当にリアルで、こっちも焦っちゃいました。
これを映画と呼ぶなら、マーベルなんてアトラクションだよな、本当に。
シボレーやら、棺桶やら、やたら格好よくて、わたしも緑の棺桶に入りたいです。
映画の興行が本格的に変質してくる気配
パチーノ、デ・ニーロ、ペシ、カイテルそしてスコセッシ。
このメンバーでジミー・ホッファ。
ケネディ暗殺の背後も何となく匂わせています。
最近だとジェシカ・チャステインの「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」でも描いてました。(ジェシカ・チャステインのカッコよさはレビューにも書きました。)
「デトロイト」の傍若無人の警官の背景にもこういう社会があったのでしょう。
バイオレンス、ロックの分量が減り、さすがのスコセッシ色も薄くなったなあと感じていたら、後半に昨今のスコセッシ色が濃密に出てきました。
このスペックでこのストーリーで都内数館で1週間の興行に感じた事。
今後更に、マーケットは分かれていく気配。
本作に関して、
◯どうしても映画館で観たい人(観に行けない人も含む)。
◯ネットで充分。
◯興味無し、映画は好き。
外資のサイト等プラットホームを確立した組織に国内の興行会社が吸収されるか、倒れるかになりそうな気配。
まずはDが国内の興行のグランドデザインを、塗り替えるらしい。
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