「レジェンドに魅せられる」アイリッシュマン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
レジェンドに魅せられる
神様は、居た!
本作が劇場公開されず、ネット配信と聞いた時、どれほどショックで落胆した事か…。
まさか、見れないとは…。
…しかし!
日本でも配信前に一部の劇場で先行公開が決定! 我が県でも!
さすがに地元の映画館ではないが、それでも歓喜と共に電車に飛び乗り、いざ隣町の映画館へ!
本当に本当に見たかったんだもん!
だって、
アメリカ実在の殺し屋フランク・シーランを描く、マーティン・スコセッシ長年の企画が遂に完成!
主演は、ロバート・デ・ニーロ。映画史に輝く数々の名作で組んできたこの2人が、『カジノ』以来9度目、24年ぶりのタッグ!
しかも共演に、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーヴェイ・カイテルらそうそうたる面子。
これで興奮しない映画ファンは映画ファンじゃねぇ!
その感想は…
『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』と並ぶ、スコセッシに新たなる傑作誕生!
本当に劇場で見れて、感激…。
話のメインは、老フランクが語る半生。
しがないトラック運転手だったが、マフィアの仕事に手を染める。全米トラック組合委員長ジミー・ホッファの下で働き始め、彼の殺害に関与…。
と密接して、アメリカの近代史、表裏一体のマフィアの世界、イタリア系、暴力、宗教、人の生死…スコセッシが長年描き続けてきたテーマが、濃密かつ深淵に描かれる。
『グッドフェローズ』を彷彿させるようなシャープで流れるような演出、カメラワーク、編集、選曲のセンス、ムードも抜群で、ユーモアも忍ばせ、ホッファ殺害まではヒリヒリした緊迫感…。
これぞ我々映画ファンが心底待ち望んだスコセッシ映画!
脚本スティーヴン・ザイリアン、撮影ロドリゴ・プリエト、編集セルマ・スクーンメイカー…新旧スコセッシ組のスタッフたちの匠の技。
CGと特殊メイクが秀逸。
特殊メイクによる老メイクもさることながら、CGで若い頃の顔を合成したレジェンド名優たちの姿に、技術の素晴らしさと共に、昔から見ているファンには感涙モノ!
そのレジェンド名優たちは皆、名演。
最近生温いコメディばかりでキャリアを本当に心配していたが、久々に気合いの入ったデ・ニーロを見れた事が何より嬉しい。ひと度本気を出せば、有無をも言わさぬその演技。そして、スコセッシ作品で主役を張るデ・ニーロの姿にこの頼もしさ!
パチーノも同様。さすがの圧巻のパフォーマンス。この方はこれくらいアクの強い演技でいい。
カイテルは出番が少なかったが、ペシが旨みたっぷり…いや、と言うか、凄くいい! 9年ぶりの映画出演。これを機にまた映画に出て!
このレジェンドたちが登場し、顔をそれぞれ合わせる度に、出た!おおっ!…とゾクゾク興奮!
我々が抱くアメリカのイメージは、自由と圧倒的なデカさとゴージャスさ。
しかし、そのすぐ裏の世界では…
マフィアや一人の権力者が時にアメリカ社会を動かす。
理想とは程遠い、もう一つのアメリカの真実、アメリカの姿…。
そんな世界の男たちの友情、確執、家族との関係、末路…。
生きるか死ぬか、生き残ったとしても時代に取り残され、自分一人…。
日本の任侠の世界もそうだが、決して真っ当な生き方ではない。
なのに、この哀愁や生きざま、『ゴッドファーザー』やスコセッシが描くマフィア物に、どうして我々はこうも魅せられ、陶酔させられ、カッコよさと憧れにしびれるのだろう。
多くの人物が入り乱れ、マフィア映画あるあるのちと複雑な人間模様。
スコセッシ映画最長3時間半はさすがに身構える。
が、
長さは感じたが、退屈や飽きはしない。
魅せられるほどの見応え!
色々語り出したらキリ無いが、本作も超話題作なので、是非ご自身の目で!
一部の劇場で期間限定上映。
もし、お近くの映画館で上映されるのなら、映画ファンなら何の躊躇もせずに映画館の大スクリーンで観る事をオススメします!
これぞ、映画館で観るべき映画!
2019年のMY BESTを、現1位の『アベンジャーズ/エンドゲーム』や待望の『男はつらいよ お帰り寅さん』と争う事になりそう!
…これだけ絶賛した舌も乾かぬ内に、スコセッシさん(とコッポラさん)にはどうしても一言言いたい事が。
映画は何を見て感じ、インスピレーション刺激され、哲学を受けるのは人それぞれ。
この広い世界には、スコセッシの作品を「映画じゃない」と批判する人も居れば、コッポラの作品を「嫌悪すべきもの」と吐き捨てる人だって絶対居る。
アンタらの映画だけが絶対的な全てじゃない!
コメントありがとうございます。
新作映画は5月の公開でカンヌ映画祭に合わせて公開する
らしいです。本当に楽しみですね。
近大さんのレビュー。
素晴らしくて凄いです。一言そのことをお伝えしたかったので。
お話できて良かったです。
私もスコセッシ監督作品はかなり観てますが、
忘れっぽくて・・・「沈黙ーサイレンスー」好きです。
他にも好きな作品ばかりですが、日本人として好きですね。
近大氏🙇再コメ失礼します✨
ロビー・ロバートソンの音楽ですが、モリコーネを彷彿させるエンドロールと書きましたが…何かの曲に似ているとずっと考えていて…気がついたのは、伊福部サンの「地球最大の決戦」 ?或いはゴジラの曲に似ている…メインテーマのリフが特にです。もし再観されるなら、耳に止めて観て下さい🙇
近大氏🙇お疲れ様です✨
私たち世代の映画ファンは皆「ゴッドファーザー」でマフィア物の魅力に開眼し、スコセッシ作品でアメリカの裏社会が不謹慎にもカッコいいと思いました…多分、日本の物より垢抜けていたからだと思うのです。ダサくなくスタイリッシュだと…
3時間の映画とかも「ゴッドファーザー」あたりから、何世代に渡る話を観て退屈や飽きを感じなくなったのかもです…例外もありますが…本作は次元が違います。
近大さん、コメントありがとうございます!
そうですねえ、テレビで見直してもみたんですけど、やっぱり迫力や集中力が段違いでした。劇場で観られて感謝至極です……
kossyさん
デ・ニーロもパチーノも役柄ははっきりしてるので、間違えそうな事は無いと思います。
ただ、登場人物が多く、マフィア映画あるあるの人間関係が入り込み、ここら辺は混乱するかもしれませんが…。
まだ観てないのですが、デ・ニーロとアル・パチーノをまた間違えそうな不安。
デ・ニーロがイタリア系でパチーノがアイルランド系なんですよね?
『ギャング・オブ・ニューヨーク』とか『ゴッド・ファーザー』とか、とにかく見る前から頭が混乱しそうです・・・