「人生って本当に不公平だなあ、、、」あしたは最高のはじまり ポップコーン男さんの映画レビュー(感想・評価)
人生って本当に不公平だなあ、、、
この作品に対する感情移入は見る人によるかも。
もしあなたがお父さんで娘さんがいるなら非常に胸にグッとくる作品になると思う。
ありきたりな子供を代わりに育てて、、、親が現れて、、、。的な内容ではあるのだけれど、サミュエル(オマール・シー)が持ち前の明るさと温かさで娘を包んでいく姿が非常に見ていてじんわりとしてくる。
型にはまらない子育てであるが、それは彼なりの一生懸命で全力で、最後には大きな感動に繋がる。
始まってから子供を押し付けられるまでが早く、その子が大きく(8歳)なるまでがまたテンポよくすすむ。
それは良くもあり、もう少し2人(3人か?)の成長ややり取りを描いても良かったと思う。
今作の一番の問題(?)と言うか引っかかるのは母親の存在なのである。
この人物が一言で言うと「吐き気を催す程のクズ」であり、当初はプレイボーイのサミュエルに孕まされたと感じていたのだが、育児を放棄し、途中で男も作っておきながら8年もしてからノコノコと現れ「私にも娘に会う権利がある」と言い放つ。
どうしても娘を手放さないといけない理由があったとはいえ(劇中では描かれない)8年も放置し、その時々で自分の好きな行動を選択したどの口が言うのであろうか?
その間にサミュエルは娘(グロリア)に母は諜報員だから会えないと嘘をついて唯一のフェイスブックの画像をトムクルーズやニコールキッドマン等の俳優と加工して写したりと(涙ぐましい)努力をして娘にメールを送る。
まあこの母の存在がサミュエルの一途でまっすぐな愛を美しく描いているとも言える。
自分が親になって本当に親の大変さや子供に対する愛を感じる事が多い。
無償の愛なんてあるのか?と思った事もあるが、今なら間違い無く言えると感じる。
ネタバレになるが8歳で娘が亡くなるとはどんな悼みなのだろうか?
8歳までしか生きることが出来なかった子はどんなに無念なのだろう?
まだうちの娘は言葉を交わす事が出来ない。
今日おばあちゃんが買ってくれたミキハウスの靴の意味も分かっていないだろう。
しかしそんな娘でもこの映画を見ると胸が痛く苦しくなった。
最後はさわやかなラストであったが、どうかサミュエルに素敵な毎日が訪れるように、と感じた。
そして邦題は少しズレているなとも思った。