ウェンディ&ルーシー

劇場公開日:

解説

「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズが主演を務め、愛犬とともに旅をする女性が思わぬ苦難に直面する姿を描いた人間ドラマ。ウェンディは仕事を求め、愛犬ルーシーを連れて車でアラスカを目指していたが、途中のオレゴンで車が故障し足止めされてしまう。ルーシーのドッグフードも底をつき、旅費を少しでも残しておこうと考えたウェンディはスーパーマーケットで万引きをする。店員に見つかって警察に連行されたウェンディは、長時間の勾留の末にようやく釈放されるが、店の外に繋いでおいたルーシーの姿は消えていた。野宿を続けながら必死にルーシーを探すウェンディだったが……。

2008年製作/80分/アメリカ
原題:Wendy and Lucy
配給:グッチーズ・フリースクール、シマフィルム
劇場公開日:2021年7月17日

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(C)2008 Oscilloscope Laboratories.

映画レビュー

4.0ロードムービーのワンエピソード(犬だけに)

2024年4月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ケリーライカート研究3弾
家とか住所とか住む所無いと携帯も持てないし仕事にも付けないという貧困地獄車、、まあ日本も似た感じだが医療費も激高のアメリカはやはりかなりエグいなぁ。
犬のルーシーとアコードに乗って仕事が一杯あると言うアラスカを目指すウェンディのロードムービーのはずが、金無し、車壊れ、万引きしたら捕まって犬がいなくなってしたってにっちもさっちも行かなくなってしまった話。
小さな事でつまずき、慌てて判断をあやまり、どんどんバランスを崩して立っている事もできない状況に割と人間はなりやすい。犯罪物でもこれは定石だけどケリーライカートはそんな設定は選ばず、こういう小さなネタにグイグイ首を突っ込んでいき、それが普通に僕らにも起きうる事を再認識させ、息が出来ないような追い詰められた感情を掘り返す。そしてそれを見守る人の優しささを宝石の様に見せる魔法も上手い。

おっちゃん何故か倉本聰の「北の国から」思い出してしまいましたww

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masayasama

4.0ルーシーの可愛さが救い

2024年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ほろ苦いお話です。
人生は選択の連続、出会いと別れの連続。
彼女はきっとアラスカにたどり着くでしょう。

そして、ますます年齢不詳のミシェル・ウィリアムズ。
一体何歳設定なのか全くわからないのです。
ボーイッシュで10代の少女のように見えるけれども、実際は20代後半だったりします。
ハリウッドのオーラを消し去って、華やかさのかけらもない役ですが、ぴたりとはまって、とても魅力的でした。

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ほりもぐ

4.0ウェンディの表情、ルーシーの愛らしさが印象的だけど、それだけで終わらない、苦さも含んだ一作

2024年2月7日
PCから投稿

鑑賞後も、ウェンディ(ミシェル・ウィリアムズ)のハミングがいつまでも脳裏でこだまするような作品です。

「旅」、「漂泊のアメリカ」を描いてきたライカート監督は、今回もカナダを目指して旅を続ける女性に焦点を当てています。『リバー・オブ・グラス』(1994)が、監督のいうところの「道のないロードムービー」であるとすれば、本作はしっかり旅の高揚感や解放感を味わうことができます。少なくとも序盤までは。

ウェンディとルーシーの旅はしかし、ある事情により足止めを余儀なくされます。ウェンディは何とか旅路に戻ろうとするけど…、という彼女の戸惑いと奮闘が序盤以降の物語を紡いでいきます。その果てに彼女が下した結論を描くライカート監督の視線は、これまでの作品と同様(そしてこの先の作品にも通底する)、苦い現実に直面した人に対して、決して必要以上には近づかないけど、ここにしかし見守り続ける人がいることを知っておいてほしい、という想いが伝わってくるようです。

街の何気ない風景を切り取って、驚くほど精緻な構図を作り上げるライカート監督の作図は本作でも際立っています。それこそ一つ一つ挙げればきりがないほどに。これが街一つ作ってしまうような大作映画なら驚かないんだけど、予算も限定的な独立系の制作体制でここまで撮影を制御していることに驚きです。

物語の筋を追うことはそれほど難しくなくても、結末まで観てすっきり全てが見通せるか、といえばちょっと微妙なところ(それこそがライカート作品の持ち味なんだけど)なので、その点は理解しておいたほうがいいかも。

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yui

4.0「ここの坂は険しい。新しい段ボールほどよく滑る。」

2024年1月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

闇の中で、男がウェンディに囁く言葉は、まるで彼女自身の境遇を言い当てているかのようだ。
「ここが嫌いだ。ここの奴らが。」「俺はのけ者。礼儀よくしたいが、奴らがそうさせない。」「俺をゴミ扱いで、何の権利も認めない。」
だんだん熱を帯びていく彼の独り言を聞きながら、ウェンディが恐怖を抱いたのは、彼による加害の可能性以上に、自らの行く末の底知れなさだったのではないか。
「ここ」というのは、ウェンディが留まる羽目になった、製粉工場が閉鎖された不景気な田舎町。けれど、もちろんアメリカそのものでもある。
日本でも、音を立てて格差や分断が広がっているが、一歩先行くのがアメリカ。昨日鑑賞した、「ニューヨーク・オールド・アパートメント 」でも描かれていたが、富める者は、貧しき者を見下すことに疑問を抱かない。そもそも自己責任論は、持って生まれた境遇の幸運さの違いを、その本人の努力の差にすり替える、クソみたいなおめでた思考に過ぎないのだが、なぜか人々は、すんなりそれを受け入れて過ごしている。
この映画でも、抗う姿として描かれるのは、闇に紛れてでしか、日頃の不満をぶち撒けられないこの男だけ。
そこからどうしようもない絶望感と無力感が漂ってくる。
ウェンディに優しく接する守衛の男に観る側としては救いを感じるが、個人の優しさや思いやりでは根本的な解決は得られない。そのことを、彼が差し入れる少額紙幣できっちり描き出す演出の見事さ。そして、彼女が拠り所として、依存してきた車とルーシーを手放すことで、逆に新たな世界への希望の旅立ちを感じさせる、貨物列車のラストシーンが良かった。

この映画の監督は、「ファーストカウ」の監督ということを知った。近所の映画館では、今週末からの公開なので、ぜひ観に行きたい。

<ここからは、蛇足>
「アラスカへ」ということは、北へ向かっているんだなぁと…。
「北へ」と言えば小林旭。昔、職場の先輩がカラオケで毎回歌っていたっけ。
日本もアメリカも、夢破れ、人生につまずくと北へ向かうのは共通してるんだなぁと、妙に納得した次第。

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sow_miya
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