きみの鳥はうたえるのレビュー・感想・評価
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難解だが面白い
別のレビュアーさんが「映画らしい映画。シネコンにはかからない方の。」と言われていた通り。すべてを画面で納得させる映画で、客にストーリーを理解させようという意志が全くない。いや、そもそもストーリーと言えるものがあるのかどうかすら、途中まではわからない。(原作が小説なのだから、ストーリーはあるに決まっているのだが…)シネコンにかかるようなわかりやすい映画しか見たことがない客が見たら、金返せとなること請け合いである。
にもかかわらず面白く見られるのは、これはもう、役者が魅力的だから、ということに尽きるだろう。もう何度か見て味わってみたい。
内容的には「突然炎のごとく」に似ているので、この手の映画が好きな方にはおすすめ。
「やっぱり誠実じゃないんだね」
原作は未読。しかしその構成力はかなりの完成度の高さを窺える。純文学の映画化というカテゴリとしては秀逸なストーリー構成だと唸らせれる。
展開も不規則なスピードで進み、緩慢と唐突が変拍子で畳み掛けられる。そもそも、情報を観ずに思い込みも手伝って染谷の役が主人公かと勘違いしていたら、まさかの柄本の役のナレーションが流れるのが意外であった。そして、その間に入ってくる女の見た目と恋愛観のギャップ。そう、今作品はギャップ萌え、ゲインロス効果がかなりの演出を影響足らしめているのである。
それぞれ3人の群像劇的シーン割りもあるが、あまり細かくは説明はされない。ましてや回想シーン等もないので内容自体にはあまり思い入れを抱かせないような造りにはなっている。それよりも、今現在の3人のそれぞれの思い濃淡となって演じられているように感じる。何を考えているか分らないような煙を蒔くようなイメージは3人の共通項なのだが、そんな3人が“ドリカム”状態になったとき、その化学反応が徐々に沸き上がる流れだ。女がフラフラする様、どことなく狂気を秘めてる男、狂気が漏れてしまう男。しかし周りの大人達の色々な言動に接する内に女に対する想いが徐々に正直になってゆく。そしてラストは正に圧巻である。オープニングの“待ち”の気持を表現した“数を数える迄に来る”というフリから、クライマックスのその数を数える事自体が馬鹿馬鹿しくなり、自ら走り帰り、そして今までの嘘と、そして正直な想いと、上司を馬鹿にしていた筈の少なからずの嫉妬心が綯い交ぜになったようなそんな複雑さで告白をする。そして女の何とも言えない顔。。。石橋静河の非凡さがここでも開花している場面である。あれだけの複雑な心情をここまで表現した顔を他作品で観たことがない位、喜び悲しみ怒り落胆の全てをモザイク状に表現した顔は本当に白眉である。このクライマックスの為にここまでのストーリーという“フリ”が全て回収される大変良く出来た作品だ。それまでのトリッキーなリズムをラストで全て帳尻合わす緻密さに賛辞を贈りたいと思わせる大変良く出来た内容であった。これまでの若い乾いたそして“ええかっこしい”クールな青春が、しかしはっきりと大人のドロドロさ、執着、そして“本気さ”に否応なしに参加していくテーマを見事に表現していた希有な映画である。
想像通りに軽やかな雰囲気ではじまった物語。 最後の最後の展開の為に...
意外とまともな映画
ねむれない、ねむらない夜
ああいう適当でかったるそうで、でもセクシーな雰囲気になってしまっている男のひとってどうも魅力的にみえちゃう。でも、実際女のひとが選ぶのは誠実でいてくれる優しい人。
眠れない、眠りたくない、眠らないで遊ぶ夜って切なくてでも輝いてる。ああいう時も必要。
気持ちが通じたね
佐知子の合図に
気づいて、
120数える。
あてのない約束を
どれだけ待てるかな。
2分って短いけど
理由なく待つ時間としては
長い。
来るとわかっていれば
短い。
エピソードとしては、ネタかな。
ホントにあればいかすけども。
全編を通して、
多くの人が経験する
時間が停滞する年頃の
空気感がシーンからにじみ出でて
目がはなせないです。
何故か、いつも
そばにいる異性が
キレイに見えたり、そうでも
なかったり。
友達と自分の彼女が
仲良くなっていくのが
わかってるのに、
何もできなかったり…
ラストなんて、ほんとに
そのまんま。
変なタイミングで
どうしょうもないのに
自分の気持ちを
ぶちまけて相手を困らせたり…
今となれば
自分の気持ちは、
タイミングよく伝えなければ
響かないことや
相手に遠慮して
嫌なことでも肯定するのは
ケースバイケースなんて
経験して学んでしまう。
まぁ、わかってるのに、
出来ないので同じか。
本作を、あぁあの感じ
懐かしい
と思うか、
なんだこれ
って思うかは、
意見がわかれそうだけど
ノスタルジックで
いいですよ。
石橋靜河が魅力的
楽しい時は永遠には続かない
面白かったなぁ
佐知子の心の揺れを感じながら、私も彼らと一緒に楽しくて幸せな時間を過ごした作品だった
函館の本屋のバイト仲間から付き合い始めた僕(柄本佑)と佐知子(石橋靜河)。
僕には、同居人の静雄(染谷将太)がいて、いつしか、3人で遊ぶようになるが…
何事にもテキトー過ぎる僕と、
彼とは対照的に、キッチリしてるけど、優しずぎて押しの弱い静雄
その間にいる佐知子は、割と白黒つけたいタイプ
その中で、佐知子の選択は最初から決まってたと思う
(Tシャツを着た時の反応を見れば、よく分かる)
それを僕は薄々感じてたと思うし、静雄は優しすぎて強く出られない
だから、ついつい3人で遊ぶ時間が増えてしまう
それは、佐知子にとっては、前の恋を忘れさせる良い時間になったと思う
佐知子を決心させた決定打は、キャンプだったと思う
好きな人の顔にアザがあったら、嫌でも気付くはず
そこをスルーした佐知子って、結構残酷なことしてるなと、私は思った
その時、僕も何があったか、きっと悟ったはず
気の合う仲間がいて、彼らと会っている時の楽しさは永遠に続けば良いなと思うけど、どんな時も必ず終わりがやってくる
そこに、花火の後の線香花火のような寂しさを感じた映画だった
また、最後の最後にあぁいうことする僕に、ちょっとイラついちゃう
それは最後の佐知子の顔にもちゃんと現れていたと思う
彼らの楽しい時間は、それぞれをちょっとずつ成長させた時になったと思った
柄本さんの演技がバッチリ
脚本、演出、役者の演技が一体を成す傑作
傑作。
といってもハリウッドの大作の5点とは違うんだけれどね。
小さな映画館で夜遅くに観るのがよい。
そういう、言ってみればマイナーポエットの良さ、ではあるんだけど。
言うまでもないが主演の3名の演技がとってもよいね。
柄本佑は評価の高い「素敵なダイナマイトスキャンダル」よりも、こちらのほうが良いように思えるし。
何より石橋静河がいい。彼女はスクリーンで観るとほんとうに魅力的だ。
冒頭、柄本のモノローグで「この夏がずっと続くと思っていた」の通り、永遠にこの時間が続くと、そうであればいいと思わせる映画でありながら、着実にストーリーは進む。
脚本、演出、役者の演技の一体感が素晴らしい。さらに言えばロケ地函館の街の空気感も含めて。
テキトーに生きているかのように見えるんだけど、もがいているんだよね。
その「もがき」を、石橋静河のアップの長いカットに収斂させるラストシーンも、秀逸で余韻を残す。
トホホ
切なさで押しつぶされそうになる
若干のネタバレあり
“僕”も静雄も佐知子も
傷つかない為に
傷ついたとして痛みを最低限に抑える為に
無意識に感情を伏せてる
でも各々が潜在的に抱えてる気持ちが溢れ…
勝手に“僕”に、静雄に、そして佐知子にさえも感情移入してしまいました
終わった直後ではなく
帰る為の車まで歩いてる間に
映画を反芻していたとき
胸締め付けられ涙が溢れた
良作です
最後に
上手くいく上手くいかないは別として
自分の素直な気持ちを表現できた
“僕”に 幸あれ
自由奔放な青春の終焉を予感させる秀作
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