ジュラシック・ワールド 炎の王国 : 映画評論・批評

ジュラシック・ワールド 炎の王国

劇場公開日 2018年7月13日
2018年7月3日更新 2018年7月13日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

“パーク”からまさに“ワールド”へ。テーマは恐竜たちの生存権へと迫る!

ジュラシック・ワールド」(15)で崩壊へと追い込まれた、イスラ・ヌブラル島の恐竜テーマパーク。無人地帯となったそこには、恐竜たちがたくましく生き残っていた。だが島では火山活動が頻繁に起こり、人類は彼らの保護が焦眉の急となる——。前作から3年後を描く今回は、シリーズ2作目となる「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク」(97)が陥ったコントロール崩壊を反復する。野生化した恐竜との接触をはかろうとする人間や、文明社会に恐竜たちが解き放たれてしまう事態を描き、かつてマルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)が提唱したカオス理論を念押しするのだ(しかも本人まで登場させて)。

作品の原点回帰はそれだけではない。「ジュラシック・パーク」といえば、デジタルメイキングの革命を起こしたCG恐竜がこのシリーズの顔だが、今作はアニマトロ二クス(メカ二カル駆動による実物大スケールの恐竜モデル)にも比重を置いて製作がおこなわれている。それらを活かした小スペースにおける恐怖演出は、怪物映画としての感触をしっかりと観る者に覚えさせ、壮大な科学フィクションをサバイバルストーリーへと変質させたシリーズの創造主、スティーブン・スピルバーグへの良質なオマージュになっている。

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加えて今回、人間が恐竜を保護しようとする目的の裏には、希少種の売買と、DNA操作によって新種を生み出そうとする陰謀が存在する。こうしたショッキングな展開を軸に、監督のJ・A・バヨナは自作の幻想ホラー「永遠のこどもたち」(07)や、泣けるファンタジーとして話題を呼んだ「怪物はささやく」(16)など、子どもに業や宿命を負わせる独自の作劇スタイルを継続させながら、ゴシックな様相を強めたモンスターパニックを提供してくれるのだ。ご覧になる人は劇中に登場する少女メイジー(イザベラ・サーモン)の動向に、くれぐれも注意をはらってほしい。

なにより恐竜をDNA操作で甦らせることができるのならば、作品のテーマはパークだけに留まるはずもない。新たな種が誕生したとき、はたして人間はそれとどう向き合うのか? 本作において恐竜は、もはや観客に恐怖を与える以上の存在として、我々が創造したものの生存権を問いかけてくる。ジュラシック・“パーク”からタイトルどおり“ワールド”へと、シリーズは実質的に変貌を遂げるのだ。過去作のレガシーを受け継ぎ、かつ新しい世界を提示していく、これこそがまさにフランチャイズ映画のあるべき姿だろう。

尾崎一男

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