劇場公開日 2017年7月28日

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ザ・マミー 呪われた砂漠の王女 : 映画評論・批評

2017年7月18日更新

2017年7月28日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

80年代ホラーの記憶をも喚起させる、ユニバーサル怪物映画の再生

「おまえは世田谷にでも住んでいるのか?」と疑りたくなるほど、新作のたびにプロモ来日を欠かさぬ我らがトム・クルーズ。そんな彼の主演映画で、近年これほど自身が主体でない作品も珍しい。そう、この「ザ・マミー」の売りは、モンスター映画の老舗ユニバーサルがマーベルばりのフランチャイズ企画「ダーク・ユニバース」を立ち上げ、自社財産の怪物キャラを再生させていくところにある。


 しかし正直、その嚆矢がフランケンシュタインの怪物や狼男ではなく、「ミイラ」という激シブなチョイスに不安を覚えなくもない。しかも原典である「ミイラ再生」(32)のリメイクには「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」(99)という成功例がある。だが同作がアクション活劇を徹底させ、ちらし寿司と大盛り焼きそばくらい違うリメイク内容だったのに比べ、今回は設定を現代に置き換えながらも、恐怖映画としてのムードは「ミイラ再生」を継受。ホラー好きにはたまらないシグナルを発している。


 本作でトムが扮するのは、お宝ハンターの裏顔を持つ米国軍曹ニック。そんな彼が、中東の地下空洞で棺を発見し、納棺されていた古代の王女アマネットを甦らせてしまう。王女は死の神と契約し、不死と強大なパワーを得た邪悪な存在だったのだ。

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物語はこうして古典的なミイラ神話を踏まえつつ、トム・クルーズ主演というポイントに「なぜ今回ミイラが女性?」という謎を接合させ、意外性に満ちた展開を繰り広げていく。両眼に四つの虹彩を持ち、象形文字のタトゥをまとったアマネットの造形も、干物感ただようミイラ像を一新。演じるソフィア・ブテラは今回、その市川紗椰に似た美貌を惜しみなく披露し、野郎連中には眼福の極みだ。前作「スター・トレック BEYOND」(16)では全身メイクに覆われ、誰だか判別できなかったもんなぁ。


 加えて本作、美女の怪物がロンドンをパニックに陥れる展開は「スペースバンパイア」(85)を彷彿とさせるし、またニックの相棒ヴェイル(ジェイク・ジョンソン)がミイラ状態で彼の前に現れ、軽口を叩くところは「狼男アメリカン」(82)に似たりと、80年代ホラーの記憶を喚起させる作りも気が利いている。

ただ個人的に惜しいのは、「ジキル博士とハイド氏」に由来する怪人物ジキルが、変身前と後であまりラッセル・クロウ感の変わらなかったこと。「レ・ミゼラブル」(12)でいい湯加減の歌声を披露した、そんな弾けたラッセルを期待したのだが……。まぁそこは次もあるダーク・ユニバース、長い目で見ようじゃないの。トムの映画で、ラッセル・クロウの心配をしてしまっていいものかは置いといて。

尾崎一男

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