三度目の殺人のレビュー・感想・評価
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是枝裕和のおくる心理サスペンス
福山vs役所だけでも興味をそそる。
全く笑うところがないシリアスな映画だ。
難しいし、考えは観るものの側に委ねすぎている。
よく言うと攻めている。
海街ダイアリーで子役のような演出をされていたすずちゃんを敬意を持って福山、役所と同格に扱っている。斉藤由貴もよかった。
勝ちに拘るエリート弁護士(福山)がサイコパスな被告人(役所)に翻弄され真実もわからないモヤモヤしたまま終わらしている。
役所と福山のアクリル越しの接見で合わせ鏡のような演出も過去の是枝作品でない斬新なもの。巨匠になっても攻め続けている是枝裕和からは目が離せない。
原作読んでみたい
地上波録画を見ました。原作も上映も見ていませんが、だいぶ省略されている?
役所の人物描写、一度目の事件に至る心情、鈴の足の背景、手の力、カナリア、色々と伏線があるのに何も回収されていない。これでは根拠を持った想像・解釈もできない。『視聴者ごとの解釈』に至るまでの材料が端折られすぎている。
面会室の顔が重なるシーン、最後の神々しさ、表現したい事は想像できる気がするが、そこに繋げさせる材料が少なすぎる。
良心・後悔・愛情・不条理、テーマはすごくわかるのにとても残念。
揺らぎと論理
正直言って全く意味するところも、意図するところも理解できず、ストーリーの展開も結末も分からなかった。この点が監督の意図するところだとすると、この映画の評価はもっと高くしなければいけないし、そうしても良いだけの説得力と画面の緊張感があった。それはひとえに役者たちの演技力と演出、そして何よりもそのシナリオにあるのではないか?シナリオに混沌のを付加する時は通常精密に構築した論理を一度解体し組み立て直す。この手法だと論理性は失わぬまま監督だけだ理解できるロジックで物事が進み、最後の結論で観客がそのパーツを組み立て直したり、与えられた事実で一気に時制に整合性が出たりする。しかしこの手法は初見の観客は最後まで手掛かりなく、ゲームの進行のように進みストレスが倍増する。最後まで付いてこれない観客が生ずる。しかし本作は時系列は極めて明確だが起こっている事象が揺らぐのである。その為観客は最後まで飽きることなくエンディングまで緊張感を維持して連れて来られる。そして最後にモヤモヤだけが残り置き去りにされる。勿論その最後には何処に何がテーマとして眠っているかは薄々気が着いてはいるのだが、どうもその姿が見えぬまま放置される!そして考え込む。そしてこの考え込むモヤモヤ感がひとえに監督の狙いだとしたらこの映画は監督の美事の勝利で、その事実、その内容は二次的なお楽しみに過ぎないのである。
殺人は2回なのになぜ「三度目の殺人」なのか、本当は何があってなぜ殺...
殺人は2回なのになぜ「三度目の殺人」なのか、本当は何があってなぜ殺したのか、十字やカナリヤの意味、一切明かされないまま終わってしまった…
だからといって意味不明とかつまらないとかそういう単純なものではなくてそれこそ本当に見た人がこうであってほしいと思うストーリーにできあがるある意味完成度の高い作品だと思う。
いろんな人のレビューや解説を見るとなるほどと思うものもたくさんあって面白い。
けど私は答えがほしいタイプなので合わなかった。
真実は…
三隅と咲江の言動から、「真実はたぶん〜〜なんだろうな」と自分なりには答えを出しています。ですが個人的にこの「最後の真相を観る側の解釈に委ねる」演出はあまり好きじゃないですね。
脚本家の中で「真相はこう」っていうのがちゃんとあったうえでこちらに考察させるなら分かりますが、そうじゃない作品もけっこうあるので。正直「またこのパターンか!」ってかんじです。
脚本はいまいちだけどキャストの力量でそこそこの作品になった、ってかんじでしょうか。他の方も書いてますが、無名の役者さんを使っていたら評価はこんなものじゃなかったでしょうね。
日本の司法制度に対する批判的な映画。
若干モヤモヤ感は残るがなかなか良く出来ていたと思う。日本の裁判、司法制度に対する否定的な見方が随所に出ていた。広瀬すずは意外に演技力があるのかもしれない、と思った。
タイトルなし
是枝裕和監督オリジナル脚本作
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弁護士と殺人犯の接見も
法廷でのやりとりも全て事務的
心は…真実はどこにあるのか
.
最後に福山雅治演じる弁護士が呟く
『からっぽの器』
犯人三隅(役所広司)はただの器
人の心が宿る器なのか…
犯罪現場の十字
佇む十字路
それぞれが背負うものの喩えかな
.
観賞後にネタバレ鑑賞記録を熟読
それぞれの考察が深く面白かった
読んだ上で鑑賞してみると
モヤモヤが解消するかも
地味だけどじっくりとふかい
是枝監督の、ある瞬間で観客に「あっそうかそういうことか」って自然にふに落ちさせる、情報の散りばめ方や集約させる作りはホント凄いなぁ。
人間の持つ逃れられない社会性と、裁判のあり方司法のあり方批判と、他人をどうしてもガワでしか見られない人間の底の部分に焦点を当ててて、すごく好みのテーマ。
欲を言うなら広瀬すずの母親、父親役への目配せがもう少し欲しかったかな?感情移入させることで、のちの展開で犯人の犯人性への懐疑を観客に呼び起こせるのでは。
起伏を嫌ったのかなぁ。
あとこんなに「普通」の広瀬すずを初めて見た。それでも可愛いのすごい。
俳優役所広司、圧巻の演技です。
解雇された工場の社長を殺したとして逮捕された殺人前科のある男。その男の弁護を引き受けた弁護士は面会を重ねるうちに、男の犯罪であることを疑いだし・・・と言うストーリー。
福山雅治と役所広司主演のサスペンス。役所広司の演技は流石ですね。個人的な好みではありますが、今一番の俳優ではないでしょうか?
裁判に勝利するためのテクニックのみに拘る福沢演じる職業弁護士が、役所演じる容疑者に振り回されます。怒り、戸惑い、困惑しながら、いつしか容疑者の迷宮のような精神を彷徨うことになります。
彷徨うのは弁護士だけではなく鑑賞者である私自身も同様で、単純に「真実を知りたい」ではなく「彼が何を考え、何を語っているか」が知りたくなり、映画に没頭することになります。
正直、エンディングは賛否両論・・・ではなく否定的な意見が多いとは思います。しかし、私としては割りとポジティブでした。前述の通り「真実が知りたい」ではなくなっていたからかもしれません。
エイナウディの世界
なんの前調べもなく見たんですが
映画が始まってすぐ、
エイナウディのぱちもん音楽や!
と思ったんですが、本人だったんですね。
この映画の雰囲気は、まさしくエイナウディ世界そのもの。
エイナウディを起用したことを褒めたいと思います。
【是枝監督が法廷劇で観客に問いかけた事】
今作は、エンターテインメント作品ではない。
劇中、観る側を誘導するような音楽も殆ど流れず、静に三隅(役所広司)が犯した過去、現在の事件及びそれに関わった人々の姿が描き出される。
但し、そこから分かり易い物語が始まる訳でもない。
同僚の摂津(吉田鋼太郎)から安易に三隅の事件を引き継いだ重森(福山雅治)が、三隅の二点三点する供述に翻弄されていく様が面白い。
今作のクライマックスは(多くの方が述べているが)摂津と重森が接見室の強化ガラス越しに遣り取りする場面であろう。(あの、反射するお互いの姿が反射する映像も含めて)
家族の姿を描く事に拘る是枝監督が、疑似親子の姿を描こうとした法廷サスペンス。
相変わらず、観客に解釈を委ねる是枝監督の姿勢は貫かれている作品。
<2017年9月9日 劇場にて鑑賞>
〈20191122 良い夫婦の日に追記 お二人の方から観賞後、二年経って共感を頂いて思い出した苦々しい事。今作、上映初日の土曜日の朝一、観賞中、一つ隣から聞こえて来た鼾。暫く我慢していたが、小声で寝るんだったら他の処でお願いしますと注意したら、後から家人から刺されたらどうするの と叱られ 何で?皆困っていたじゃないと観賞後、反論した。こういう場合、皆様はどうしているのでしょうか?私は注意します。まあ、疲れていたら眠くなるかもしれない作品の造りではあるが、きちんと見て居れば眠くはならない作品レベルだったので。〉
面白かった。男性陣は演技力が高い俳優が多く良かったのだが、斉藤さん...
面白かった。男性陣は演技力が高い俳優が多く良かったのだが、斉藤さんと広瀬さんが残念。もっと演技力のある女優さんなら☆4.5にしたかった。広瀬さんは他の作品よりはマシだった気はするが、声が残念なのと演技力の差が他の方とはだいぶ差があった。だから他の俳優
さんと違い2人の演技は引き込まれなかった。福山さんの子供役の女優さんがとても良かったのでこれからが楽しみ。
映像手法が面白いところも良かった。ただ、何回も観たいと思う作品ではなかった。
真実の行方+ライフ・オブ・デビッド・ゲイル割る2
結局、真実はわからないまま終わる
。映画自体真実はどうでもよく、司法というありかたをどう考えるか、どうすれば公平、平等なのかを問うているように思う。
そういう点で言うと「それでもボクはやっていない」もその類いであろう。
自分は真実の行方みたいな結末を期待していた。
あと香川照之とオダギリジョーの「ゆれる」を思い出した。
裁判官、検事、弁護士、誰も真実には興味が無いという現実
いや、そこまでは酷くないのかもいれないが、実際問題として司法システムは真実を追究するための構造をもっていない。これまでに法廷をテーマにした映画は数多くあるのに、今までに無い新しい切り口の法廷映画になっていて非常に興味深かった。
考え得る真実のパターンは何通りもあるのだが、冷静に検証すると可能性が高いのは2通りに絞られる。にも関わらず、他のパターンもあり得そうに見えるのは、ひとえに役所さんの演技の賜です。コロコロ証言が変わる役どころなのに、真実を語ってるように見えるんですよ。凄くないですか?
ただ、素人の三隅がこんなに真実味のある嘘がつけるのは不自然ですけどね。
なってはならない役所広司イエスキリスト
僕はこの映画は映画館ではじめにきちんと見た。理由は、役所さん。広瀬すずちゃんが好きだから、ただショックでした。自分の娘のような愛しい存在の身代わりにやってない殺人をの罪をかぶり死んで行く男、美しい、本当は美しいなんて言葉間違っている。でもこの映画はをまだ消化しきれてない僕がいる、ただただ好きです。福山さんは残念だけど、透けて見えるぐらい薄い。役所広司さんそしてやっばり広瀬すずちゃん、素晴らしい。
法廷心理ドラマ…?
法廷心理ドラマと書かれていたので、どんな理由があって殺したのか、殺してないなら誰が殺したのか、期待しながら見ていた。
が、なんと、驚くほどに大どんでん返らなかった。
序盤の三隅の証言がかわったり、カナリアや十字架などの伏線のような意味深なモチーフがあったりしたところは面白かったので☆2。
それにしてもタイトルのイメージで勝手に東野圭吾かと最後まで思い込んでいたら、『万引き家族』『誰も知らない』の是枝監督だったとは。
成程、是枝監督の作品なら歓喜に解釈を委ねる形で終わっているのも頷ける。
しかしこれをサスペンスっぽく宣伝するのはずるい。
『怒り』を見たときにも感じたが、何が正しいのか、誰が裁くのか、観る人に考えさせたい気持ちはわかる。
それを含めたうえできちんとしたストーリーのもと一つの映画として完結させてほしい。
判例とかは調べてないんですけど、
裁判員裁判で、自白しか証拠がないうえに最終的に被告は否認しているのに、死刑になります?決定的な物的証拠があるとかならまだしも。
いくら前科者だったとしても、冤罪の可能性が少しでもあるなら、自分ならビビって死刑にはできないなぁ…というところに違和感を覚えたまま終わっちゃいました。
まぁ死刑にはならなくても判決が出さえすれば裁判は終わるので、三隅にとって結果はどうでもよかったのかもしれませんね。
全体として監督の言いたいことはわかるけど、表現しきれていないように感じました。こっちの感受性が足りないのかもしれないけど。
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