ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた : 特集
“ダメなやつ”がヒーローだからおもしろい──実話だからこその映画力
爆弾テロの悲劇から町を復興させたのは、とんでもない“クズ”だった!
勇気をくれ、心を震わす──映画ファン絶対支持俳優ジェイク集大成の1本

2013年に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件で両足を失う重傷を負いながらも、ボストン復興の“象徴”となったジェフ・ボーマンの実話が映画化された。「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」(5月11日公開)は、強い意志を持つ人格者の復活を描くものではない、どうしようもないロクデナシが自身の役割に目覚め、這いつくばりながらも立ち上がった姿を描く物語なのだ。そして、そんな“クズ”を自身の集大成として演じ切ったのは、映画ファンが厚い支持を送る実力派、ジェイク・ギレンホールだ。
レッドソックスを優勝させ、テロの悲劇から町を復興させた《象徴》──
だがその男は、どこにでもいるとにかく“ダメなヤツ”だった

ボストンを襲った爆弾テロで生死の境をさまよいながらも、FBIの捜査に目撃情報を提供し、犯人逮捕に大きく貢献したボーマン。ボストン復興の不屈の精神を示したスローガン“ボストン・ストロング”の象徴となり、プロ野球チーム、ボストン・レッドソックス95年ぶりの地元優勝のモチベーションにまでつながった人物と聞けば、どれほど強い心を持った男なんだ!と興味をそそられずにはいられない。しかし、この“ヒーロー”は、見ている我々と同じくらいごく普通……どころか、仕事もろくにできず、約束すら守れない、残念な“ダメ人間”だったのだ!

ボストンっ子らしく、熱烈なレッドソックス・ファンであるボーマン。仕事なんてそっちのけで、自分のミスで焦がしてしまったチキンの後始末をパートのおばちゃんに押しつけて……スポーツバーに直行!?

看護師のエリンとは、付き合っては別れるの繰り返し。「絶対に行くから!」という約束も、悪友たちとの飲み会が盛り上がれば、結局どうでもよくなってしまう。エリンからのメールも無視……こんな男最低!

悪友たちとの悪ノリはまだまだ終わらない。バーで酔って暴れた後は、車に乗り込んで街のメイン・ストリートを大暴走。飲酒運転も交通ルールも関係なし、ついには警察に止められて「ホールドアップ!」の勧告!

「マラソンに出た私を応援しに来たことで、彼はテロに巻き込まれた……」というエリンの負い目に、甘えきっているボーマン。面倒ごとは全部彼女任せ……「いい加減にして!」とキレられるのも当然!?

一人前のことは言うくせに、気弱でマザコンなのも発覚! 「え、え、何? 同居するってママに仕切ってないって? そんな必要ある? う、うん……あるよねぇ……」。ボーマンの優柔不断で、何やら嫁・姑争いが勃発! こいつのせい!
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こんな心の弱い“ダメなヤツ”が、両足を失いながらも爆弾テロから生還したことで、ボストン市民から“ヒーロー”としてたたえられることになる。ボーマンはそんな賞賛と自身の内面とのギャップに苦しむが……。果たして、彼はどうやって己が“人々の希望の象徴”であることを受け入れ、そして真の強さを持つ“本当のヒーロー”へと変わっていくのか!?

映画ファンに支持され続ける、カメレオン俳優ジェイクのキャリアの集大成──
自身の製作会社第1作として挑んだのは“普通の……だが、両足を失った男”だった

両足を失った、テロ事件からの生還者であると同時に、意志の弱いダメなヤツでもあった“ごく普通の男”を演じ切ったのは、「サウスポー」のボクサー役、「ナイトクローラー」のパパラッチ役など、作品ごとに姿を変え、役に完全同化することで知られる実力派俳優ジェイク・ギレンホール。プロデューサーまで務めて挑んだ強い思いがこもった作品だけに、これまで以上に、映画ファンは見逃せない作品となっている。

作品選びに定評があるジェイクは、“すべらない男”として絶大な支持を受ける。数々の難役で熱演を披露してきた彼が行き着いたのは、「普通の男」の境地。突然の不運に見舞われ、本人の意思と関係なくヒーローに祭り上げられる男の戸惑いと成長した姿はまさに集大成と言っていいだろう。

ジェイクが本作に懸けた思いは、自身が立ち上げた製作会社の第1回製作作品となっていることからも明らか。ポール・ダノ監督作、アントワン・フークワ監督作も待機中だが、本作はプロデューサー業の本格参入作に選んだ、心からほれ込んだ物語なのだ。

初めて赤裸々に映像化される、ボストン復興のヒーローの真実。人々が抱くヒーロー像とダメで仕方のない自らの実像のギャップに苦しみながらも、恋人、家族に支えられ再び立ち上がる「普通の男」の姿が、見る者に勇気を与えるヒューマン・ドラマだ。
全米の人々の心を打った実話の映画化に、有名批評サイトは“96%の超高評価”
映画ライター・村山章も選出「“満足度の高い1本”を探しているなら本作一択」

全米有力批評サイト「Rotten Tomatoes」で「96%」(17年12月時点)の高スコアを記録したほか、「魂が清められるような映画」(ハフィントン・ポスト誌)、「揺るぎなく、ストーリーを真正面から描いた感動作」(ハリウッド・レポーター誌)など、全米メディア各誌が圧倒的な評価を与えた本作。ジェイク・ギレンホールに高い信頼を寄せる映画ライターのひとり、村山章氏もまた、「満足度の高い1本」として本作を選んだ。
