ディストピア パンドラの少女のレビュー・感想・評価
全67件中、41~60件目を表示
引きずっている自分に気付く
ゾンビ物は出尽くした感があるが、それと知っても見がちなのはやはり、ゾンビというモチーフでいかようにも人間の本性や在り様を炙り出せるからなんだなと思う。
主演の女の子がグレンクローズとがっぷり四つに対峙していた。それはグレンクローズの作品への真摯な向き合い方から来るものなのか。
ラストはオヨヨな感じがするが、全体のテーマは日常では感じにくい人間のむき出した面がグサリと刺さる作品だ。
美しくもゾッとする物語
冒頭から聡明なメラニーが可愛くて、でも恐ろしくて切ない気持ちになった。
綺麗な声でハキハキ明るく話すのが好き。
普段は賢い子供でも動物の匂いを嗅いだときの豹変ぶりが怖い。
形相が変わり顎を突き出してガチガチ噛む様子はゾンビ系の描写の中でもとくに気味が悪い。
菌と共生している、いわば半ハングリーズ半人間という彼女達の存在の未知感が凄かった。
最初から特別視していた先生に加え、だんだんメラニーに感情移入していく軍曹と兵士に柔らかい気持ちになる。
それが油断にも繋がってしまうんだけどね…
研究目的に仲間を危険に晒す博士にはちょっとイラついたけど、わたしも人間なのでワクチンを作りたい気持ちは分かる。
ああ、最後はメラニーも人間の為に自らを犠牲にする結末かな…
と思いきや、まさかのハングリーズ菌ばら撒きでびっくりした笑
でも普通に考えてそりゃそうなのかなと。
「私は生きている、なのに何で人間の為に死ななきゃならないの?」
優しく賢いとはいえ一人の子供だし生存本能もある。
もっと先生と勉強したいし施設にいたほかの仲間達もきになる。
メラニーからしてみれば人間なんてずっと自分を拘束して実験台にしてきたヤツらだし、仲の良い人以外知ったこっちゃないよな…
それならいっそ地球全体ハングリーズの星にしてしまえと
時間の限りやりたいことしたかったんだなと。
観終えたあとすごく複雑な気持ちになった。
メラニーが笑えて幸せならいいのかなーと思いつつ、やっぱ人間なのでワクチン欲しかったー!って気持ちにもなるし、そんな自分と彼女にゾッとする。
111分、どうなるのどうなるのってのめり込んで楽しむことができた。
映像は綺麗だし音楽がとても良いのでもっと大きなスクリーンで観たかったかな。面白い映画が観れた。
ゾンビ文法でやる必要はなかったのでは
ゾンビ好きとしては観ざるを得ない映画だと判断し、劇場へ!!!
ゾンビ映画としての出来は、最悪とまではいかないが、下の中、といったところ。
ゾンビルール(文法)には乗っ取っているし、ある程度作り込まれてもいる。
しかし、ストーリーの人工性が非常に鼻につくのだ。(SF的なアレや、人喰い少女設定のでっちあげ感や、オチのコント風演出やら。。。)
ゾンビ映画の醍醐味は、日常が破壊されても生きていくというリアリティにある。だからこそ、その絶望感にもリアリティがでる。
本作は、日常のリアリティ感から、ちょっと飛びすぎている。絵空事のように感じられてしまい、絶望感が感じられないのだ。
本作で描きたかったことは、本当にゾンビ映画というフォーマットでよかったのだろうか??
非常に残念だったが、ゾンビ映画にはよくあること。今後も、ゾンビ映画は観てしまうんだろうなあと思う。
けっこう後からジワる
原作者が本を書いているということで、徐々になされるSF的な状況説明があまり破綻せずにこちら側の謎を解いていくのは丁寧かつ上手いなと思う。絵作りに関してはバジェットのこともあるだろうがこういう"Z"モノではチープさが逆に活きる気がする。チェルノブイリの空撮ショットも取り入れたりと実際のところ力作だと思える。
ある意味円環構造なのだけどラストではメラニーとジュスティノーの状況が逆になった。しかし同じ教室のシーンでもラストの方が遥かに健全に見えていることで問いが生じる。「何がまともで正しいのか」。この提起で深掘りしたところで、ではあるのだけど極めてユニークな仕上がりになっていた。
今作では重要なところはあえてわかりにくくしているのだろうか。まずメラニーがコールドウェルに答えた数字が「4」でコールドウェルは「いいの?」と聞き返すシーン。そして翌日に解剖されそうになるのだが、あれはメラニーの部屋の番号でつまり「単純な数字」と捉えられる。だからコールドウェルの立場からすれば「より知性を感じさせない材料」になるということだろう。だからメラニーは半ば自暴自棄になっていたということで、それはむしろ卓越した知性を発揮している彼女を嫌悪していた軍曹の仕打ちからくる疎外感や、大好きなジュスティノーに対して感じた欲への罪悪感ゆえだったということになる。メラニーは多感でとても弱い存在の普通の女の子でもあったのだ。
そしてもう一つ。基地から逃げ出した後に逃げ込むショピングモールでのシーン。バックヤードのような場所で偵察をしていたジュスティノーが、音のする方向へ向かうとそこには鎖に繋がれて飢えを満たすために自らを食べていたハングリーズの男を撃ち殺す。これも考えられるとしたらトリガーを引く前に彼女が何を思ったかというと、おそらく基地に残されたあの子供達のことだろう。
こういうところで人間とハングリーズ、とりわけ第二世代との対比がなされてこちらの印象も変わってくることになる。悪くない。そして第3幕でメラニーの覚醒に繋がっていく。
変わった映画だなあ〜というのがまず印象としてあったが、思い返すとジワる。ジェマ・アータートン含めて。
ちなみに菌と人間の共生という設定では星野之宣の「共生惑星」を、ハングリーズが樹になっている描写は諸星大二郎の「生命の木」を思い出した。
ラストオブアス
よく公開できたなと思うくらい、ps3の名作ゲーム「ラストオブアス」によく似た作品。
物語背景やクリーチャーの設定のみならず
絵作りに至るまでラストオブアスを思い起こさせる
作り。
しかし、本作を観終わったあと、ラストオブアスのストーリーがいかによく出来ているかを思い知る結果になった。
もう一度ラストオブアスがやりたくなった。
近所の空き地で、草ボウボウ。
直接関係ない感想シリーズ。
近所(都会)に空き地が出来て、土が露出していた。
毎日通る所。すぐに、雑草が生えてきた。
気がつくと、背たけほどの高さになり、もう、立ち入るのも大変なぐらい密集してきた。
自然の力は、あなどれんなー!あっ、バッタだ!久しぶりに見た!
あー、そうか、人間がいなくなって、自然な土が
露出すると、すぐ、こんな風に緑化しちゃうのか!
まだ、1か月も経ってないぐらいなのに。
ビルの屋上で緑を育てたり、下水を浄化して海に流したり、大変な思いしてるの、バカバカしいよなー。
結局、1番地球に優しいのは、人類がいなくなる事なんだよなー。
地球の歴史を1年とすると、人類誕生は、
大晦日の夜だなんて話も聞いたな。
地球にとって
表面に住み着くのは、
ホモ・サピエンスでも、
ハングリーズでも、
ゴキブリでも、おんなじなんだよね。
でも、自分も人間として、快適に過ごしたいし、
環境がこれ以上悪くなるのは、困る。
とりあえず、身近なとこで、自分に出された料理は、ごはん粒一粒でも残さず、食べよう。
あー、でもゴミの分別リサイクルは、怪しそうだから、一応やるけどさ。本当のところ、どうなの?
みんな一緒にして、焼却してるんじゃないの?
真実を追求するドキュメント映画を、見たいなー。
これは最高のゾンビニューシネマ!
ゾンビ映画に込めたジョージ・A・ロメロの"社会へのテーゼ"の系譜を引き継ぎつつ、これまで見たゾンビ映画の中でも群を抜いたゾンビニューシネマになっている。
パンドラの箱を開けた少女が、新世界における新人類となり、彼女が慕っていた先生が地球最後の旧人類となる終わりは、まさにリチャード・マシスンの名作「地球最後の男」を彷彿とさせる。
単なるゾンビスプラッター映画を観たい方にはお勧めしない。 奥底にあるメッセージ性に感動できる方こそ観るべきゾンビ作品です。
あ、あと邦題の「パンドラの少女(副題)」は秀逸だけど「ディストピア」はあまりに陳腐でダサ過ぎ。きっとそれだけじゃ伝わらないと思ったのだろうけど配給ももっと考えて欲しいな。
個人的には好き
・序盤で、ゾンビの血が飛び散らないように身体を貫通しない特殊な弾を使っている、と説明するシーンがあって「おお!」と思うんだけど、その後のアクションシーンでは容赦なく貫通しまくり血飛び散りまくりで笑う。俺の納得をかえせ。
・よく考えなくても実は狂ってる女教師の倫理観。最後の涙はそういう意味では自業自得…なのか?
・ワクチンのためにセカンド・チルドレンの脳と骨髄が必要です→さっきのガキ1人半殺しにして連れてくるのかな(それくらい平気でやりそう)、と思ったら木に放火。でもそれなんか意味あります?
博士はほっといても死ぬし、女教師と軍人にセカンド・チルドレンの教育をさせるだけなら胞子を撒き散らさなくてもできるでしょ。そう考えると人間2人を永遠に閉じ込めておくため、しか理由が考えられないんだけど、その割に軍人が死んで悲しむ主人公。サイコパスすぎるでしょ…
・主人公が実はサイコパスで、博士の言う通り、論理性や道徳性はただ周りの人間を模倣していただけでした、というオチは全然アリ。だが、それもゾンビ映画じゃなくてよくね。
・他にも色々ツッコミたいことはあるけど個人的にはけっこう好きな映画。特に面白枠軍人の死に方がベタにマヌケすぎて最高。
フリオチシッカリ
きちんとフリがあり、そしてオチを回収するゾンビ映画。それ以上でもそれ以下でもない。頭脳明晰と思いきや、結局、子供の発想から抜け出せないというストーリー。新人類と思わせて置いての、自分の欲を満たすだけのプロットは、なかなか面白い運びである。
たまにはこんな作品もいいのではないのかと思わせる内容であり、さすがハリウッド、バジェットは大きいから作り込みも細かい。
こういう結末も、いい意味での裏切りとして記憶に止めておきたいと思わせる展開である。主人公の女の子の演技の巧さがこれを可能にさせていたんだろう。日本だと、こういう子役いるのかな?
いい絵いい音。楽しさ満載
想定内の世界観と展開だったけれども、想像以上に絵と音楽が良くて、かなり見入ってしまった。
ただし、あらゆるところに不可思議さを感じてしまうわけで、内容等しく神妙な気持ちには全くなれなかった。むしろ笑ってしまう場面が多かったように思う。
全体的には非常に楽しめた作品だったけれど、その楽しみ方は作家の意図するものとは違っていたように思う。
アイデア、絵、音楽、そこに関しては評価できるけれど、その他に関してはそれど感心できない。ただ、楽しみ方や楽しみどころは想像以上にたくさんある。
アホすぎる
この手の映画としても、登場人物はある程度こちらを納得させるくらいの思考回路は持っていてほしいが。
この作品では皆無だった。
軍隊は軍隊ではなく。
軍人は軍人ではなく。
子供を守るためなら大人たちは何人死んでもいい女教師??
彼女にとっての人間の価値は??
単純な襲われ逃げて逃げて逃げきれた、きれなくてもいいが。
そんなのでいいなと単純に思った。
もうちょっと登場人物は考えよう。
ゾンビ映画としては傍流だが、悲しい運命を背負ったミュータント的な世界観
年イチくらいは観たい、"ゾンビ映画"のバリエーションである。
原題は、"The Girl with All the Gifts"である。実にクールだ。邦題に、"デストピア"(dystopia)を冠して、どうしても終末世界のゾンビ映画だと伝えたいらしいが、蛇足だと思う。英題も、"すべての贈り物(才能)を受け取った少女"という奥ゆかしいものなのに、「パンドラの少女」と説明がましい。これじゃヘビメタの楽曲タイトルだ。
ゾンビ映画の楽しみは、"鬼ごっこ"と"かくれんぼ"要素がすべてであり、それ以上を求めるのは野暮だ。"単純なゾンビ映画だ"なんて感想は、ゾンビフリークじゃない。"単純上等"である。
本作のプロットは、観客が"ゾンビ映画の様式美"を知っていることを前提にしている。"様式美"とはすなわち、"終末世界"、"ゾンビは集団行動する"、"襲われたらゾンビ化する"、"エンドレス"である。
近年は、ウイルス(または細菌)感染を原因とするパンデミックを描いたものが多く、"生きた人間がゾンビ化する"ものが主流になってしまったが、個人的には本来のゾンビは、"腐った死体が蘇える"べきだと思ったり・・・。
それはさておき、本作はトレンドに沿った、"細菌感染"となっている。字幕や公式サイトも、"ウイルス感染"と混同している。"細菌"は自ら増殖できるが、"ウイルス"の増殖にはヒトなどの媒介が必要である。本作は"細菌"、しかも菌糸を持っているので、"真菌"である。このあたりを正確に認識していないと、エンディングで自己増殖している真菌がいることの意味が理解できないはず。
さて、主人公はメラニーは、細菌感染した人間から生まれたゾンビの第二世代(セカンドチルドレン)である。ゾンビ映画の主人公は通常、襲われる側(ノーマルな人間側)にいるものなので、ゾンビ側が主人公というのは、それだけで新種。ゾンビ映画としては完全に傍流である。
メラニーは、平時は人間として振る舞うが、生肉や生きた動物、その匂いに反応してゾンビ化してしまう。しかし我に返り、論理的に思考できる少女に戻る。ここがミソ。
そもそも原作の作家マイク・ケアリーは、DCコミックやマーベルコミックの作家のひとり(漫画家でもある)であり、X-menのストーリーメイクにも参加している。「LOGAN」(2017)で、X-menのウルヴァリンの血を引き継ぐ新世代のミュータントが現れたように、ゾンビの第二世代(セカンドチルドレン)であるメラニーが、背負った悲しい運命を描いた世界観は、"X-men"シリーズの延長線上にあるようにも思える。
ゾンビと人間のあいのこ。メラニーが、最終的に"選択する"、終末世界の支配者はだれなのか。"人類は地球のガンである"というテーマに対する、ひとつの答えが、この映画にはある。
(2017/7/1/新宿バルト9/ビスタ/字幕:高橋彩)
好奇心が人類を滅ぼす
地球上の人間が真菌に侵食され、ゾンビ化してしまう。
菌に侵されていない人間たちは、生まれつき抗体を持った子供たちからワクチンを作り出そうとするのだが
キノコが人間を滅ぼし、そこから新たにキノコと人間が共生した生き物が生まれる。
それは進化なのか、後退なのか。
人間を進化させるのが好奇心なら、人間を滅ぼすのも好奇心っていうところが面白かった。
よくあるゾンビものかと思って観始めたら、先の展開の読めないSF映画だった
良いなこれ。私、こういうの好きだな
パンドラとは
パンドラの箱に残っていたのは希望
誰にたいしての希望なのか
種族の希望か、ある人の希望か、自分勝手な思いなのか
個人的には希望のない終わりかただったと感じてしまいました
28日後。
を思い出した。全然違うけど…。
ゾンビ物と言ったら的外れな様な。
パンドラの少女、と言う言い方がドンピシャですね。子供達は一歩ずれるとチンケな笑いになりそうだけどしっかり仕上がってます。何が優先で何が正しいのか、ラストはしんみり考えてしまいました。
予備知識なしに観た
観終わった後「え?」って感想が出ました。これから原作考察等観たいと思いますが、素直な感想としてはとても難しい映画だと思います。
最大の謎はエレニーが木を燃やした理由です。それまでエレニーが行った行動・判断などからすると突飛過ぎて理解できませんでした。恐らくそれまで観ていた観客の中の「エレニー」と実際の「エレニー」はかけ離れた存在でそれが具現化したのがあのシーンなのかなと思います。それが何に起因するのかは私にはわかりませんでした。1つ言えるのは彼女は「先生の希望」ではあっても人類の希望ではないです。
映像は素晴らしかったですが、突然感情移入を断ち切られたようなポカンとした感じでした。
少し調べてみたいと思います。
近年のZMB物ではダントツに好き!
人類を救う因子を持つ少女と言う、魅力的な設定は、最近のゾンビ物の中でもダントツに面白かった。
近頃のハリウッド映画の強引なストーリー展開とは違い、原作があるせいか人間関係が丁寧に描かれておりそれぞれのキャラクターにも好感がもてました。
またゾンビ物お約束の脱出劇も楽しめ、最初から最後まで早い系ゾンビにハラハラドキドキさせられました。ジェマ・アータートンやグレン・クローズが観せてくれます。オチはおもわず吹いてしまいましたが好きです♡
ストーリーを楽しめるネクストジェネレーションのゾンビ映画です。
全67件中、41~60件目を表示