ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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ノクターナル・アニマルズ
2017年105本目の劇場鑑賞。
20年前に別れた夫から突然小説が送られてきたことに戸惑いながらも、
その衝撃的な内容に惹きつけられていくヒロインの不安と葛藤を、
過去と現在に加え劇中小説の物語も巧みに織り交ぜ、
美しくかつスリリングに描き出す。
開始早々度肝を抜かれるオープニングで、
グイグイ引き込まれて行くこの感じ。
芸術とは人の心に衝撃を与えて奥に潜っていくもなんですね。
小説の中の物語と現実のストーリーを平行して映し出し、
曖昧になっていく現実と小説の世界。
全く先の読めないストーリー展開でした。
豪華で演技力のある俳優たちの出演、
印象的だったのは刑事役を演じたマイケル・シャノンです。
とにかく顔が怖すぎでした。
美しいほどの完璧な復讐劇は見応えありました。
いきなり醜く、気持ち悪いのが続く
エイミー・アダムス&ジェイク・ギレンホール出演。
ファッション界のトム・フォード監督という事で鑑賞したが、オープニングから醜い画像とストーリーが続くと劇中劇内も含めてありとあらゆる犯罪と宗教上の戒律違反と見ていて気持ち悪くなった。
見事な復讐!
『シングルマン』がかなり好きなので、こちらの作品も期待して観に行きました。
なんでしょう…冒頭からグイグイ引き込まれて行くこの感じ。
映像、台詞の一語一句見逃せません。
母のようにはならないと思えば思うほど近づいて行き、母が言った通りの結末を迎えるスーザン。
彼の才能を信じず、酷い仕打ちをした挙句、一緒になった夫とも上手くいってないところに、小説が届く。
今も思い出し、小説の面白さにどんどん惹かれ、会うことにウキウキドキドキ。
上げて上げて最後に落とす感じが、ゾワゾワしました。才能で復讐…
『Revenge』と描かれた絵画と愛しているなら、もっと努力をしなきゃいけないって台詞が、なんだかとても印象的でした。
ラストシーンのスーザン、全てを悟った表情に見えました。
で? ん?‥‥‥みたいな最後で。
最後の表情が、すべてを物語っているのだろうけど、「わからん!」というのが正直な気持ち。
自分への言い訳なんだろうか。
予測できる事態に、対応しなかった過去に対する自作自演?
マジ、わからん!
最初のインパクトが凄い…でもラストには繋がらず
最初の衝撃的なシーンは、予想していなかった展開に心が鷲掴みにされる。
この監督ならではのアートな世界観に魅せられる。
ただ、全体としてはここがピークだったかもしれない。
小説の回想シーンなどは緊張感もあって良かったけれど、尻すぼみの感は否めない。
あとひとつ何かが足りないが、観てよかった出色の作品。
トムフォードの感性により広がる鮮やかかつ時には虚構的、時には暴力的...
トムフォードの感性により広がる鮮やかかつ時には虚構的、時には暴力的な世界観に不思議と引き込まれていく
この映画で描かれるある種の切なさ、そして怨念をトムフォードの幅広く壮大かつ繊細な表現とエイミーアダムスとジェイクギレンホールの対照的な演技でより魅力的に展開していく様が見事にマッチしている
この非現実的な現実空間(主人公スーザンの現在地LA)と限りなく現実的な非現実空間(小説の中のテキサス)の対比が素晴らしく効いているのもトムフォードの狙いとして大成功である
現在の空虚な生活、過去の自分がした仕打ちとそれについての想いが込められた小説を経ての待ち合わせにより元夫の20年の復讐は完遂する
主人公スーザンはその時、より、空っぽな物が胸の内に覗かせるかもしれないであろう
そしてそれを見届けた観客もまたこの物語に対して空っぽな物が胸の内に生じているのかもしれない
圧倒された
オープニングは、「あれ」そのものが作品なのではなく、メタファーだと思った。そう解釈しても成立するのでは?
自分は、ストーリーと毒気に気をとられすぎて、映像の美しさみたいなものを堪能する余裕が足りなかった。もう一度観たい。今後上映館が増えるのだろうか。
「後悔」
「メッセージ」のエイミー・アダムス、「ラビング 愛という名前のふたり」のマイケル・シャノン出演で、今年のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞に引っかかってた作品。
監督はファッション業界で有名なトム・フォード。
主人公はLAのアートギャラリーのオーナーで、再婚の夫との空虚な生活を送る中、執筆家の前夫から「Nocturnal Animals(夜の野獣たち)」というタイトルの小説の原稿が送られてくる。その小説は、自分の目の前で妻と娘をテキサスの荒野で連れ去られ、殺されるという暗い話。読み進むうちに、今の自分と、小説の中のシーン、前の夫との過去とが行き来する。
映画は小説のシーンが多く占めるが、エイミー・アダムスは、リッチだけど空虚なマダムと20代の大学院生を見事に演じ分けている。
完璧
全く欠点のない、完璧な映画。
主人公スーザンは、仕事で成功を収めているが、夫とはあまり上手く行っておらず、精神的には満たされていない。そこに別れた元夫、エドワードから小説が届く。彼とは20年前に別れており、そのときにひどい仕打ちをしたという。その小説の内容とは。そしてその小説が意味するものとは。
まず、この小説が送られてくる前までに彼と別れてから連絡は取っているのか。スーザンは「数年前に電話をかけたが一方的に切られた」と言っている。これは、エドワードがスーザンに対して“仕打ち”を気にしてるということだ。
そして、小説を梱包していた紙で指を切ってしまう。ここもエドワードからのスーザンに対する想いがうかがえる。
そして、ここから現実と小説と過去の交錯が始まるのだが、小説の内容が占める部分が圧倒的に多い。そしてその力量に圧倒される。全般的な主題はかなり考えさせるものだが小説の内容だけみればスリラーとしてもヒューマンドラマとしても楽しめるものとなっている。小説の冒頭はワンシーンでの長丁場となって、先の読めない展開にスクリーンに釘付けになった。
不条理さがこの冒頭のメインテーマとなっていて、エドワードがあくまで傍観者となるシチュエーション、そのジェイクギレンホールの演技が『複製された男』を思わせた。
その点、エドワードに代わりにレイの存在感がすごかった。アーロンテイラージョンソンの演技力には開いた口が塞がらない。快楽のみを求めるクズだが、巧みな言い回しで相手に恐怖を植え付ける姿が丁寧すぎるほどに描かれている。まさに“魅力的な悪役”だった。
また、小説内でのもう一人の重要人物が警官であるボビー。ボビーを演じたマイケルシャノンはマンオブスティールでのゾッド将軍役で有名だが、今作ではレイと対照的に描かれる正義の味方的な立ち位置である。エドワードも我々観客もボビーという人物がいるだけで心強さを得る。物語が進んでいくとボビーの人間性も明らかになるのだが、彼はこの憎悪に満ちた物語に差し込む一筋の光、救いとなる。
劇中小説はこの絶妙なバランスがなんとも美しいのだ。芸術的な作品になっている。
そしてこの小説を読み進めていくにつれ、スーザンは蘇る過去の記憶、そして日常が小説によって歪んでいく。その映像化というのがまさにアートのような完全なものとなっており、すんなりと世界観に入り込めたのはトムフォードの手腕だろう。彼はシングルマンから約7年の間をあけた二作目となっているがシングルマンで魅せた心情描写とはまた違ったタイプの演出で我々を魅了させた。トムフォードの監督としての実力には圧巻。
ーーーーーー以下ネタバレーーーーーー
●マイケルシャノン演じるボビーは肺ガンであることを途中で打ち明け、どこまで正義の遂行をする?とエドワードに問う。ボビーには先がなく、どうしようのもない絶望を受け入れるとともに最期をエドワードに託したい。せめてもの救いを求めている。これって…エドワードの心情そのものではないか?エドワードはスーザンに裏切られる。2度も酷い裏切りを受ける。エドワードはスーザンから裏切られ、どのように感じたのか。ノクターナルアニマルズの文中でボビーの心情の情報がエドワードなどと比べ少ないのはエドワードからスーザンへの問いではないか。あの時、どのように思ったのかという。ボビーは極悪なレイたちをのさばらせてはおかないと憤慨する。しかし、肺ガンを打ち明ける時は怒りというよりは絶望の方が強いようにみえる。想像の余地をスーザンと観客に与えている。
大人の男女の再会物語
あらすじを少しだけ読んで鑑賞
いい映画だけど最後だけ腑に落ちない
あと最初のシーンは何だったんだろう
それだけインパクトのある始まり方と終わり方
決してハッピーエンドではないけど、凝ったシナリオと作りになっていて深く味わいたい映画
2017-77
リベンジ(復讐)。
トム・フォードの化粧品が好きです。
シャネルやDior、LANCOME等のデパコスよりもちょっとお高めですが、
暖色と寒色のすみわけが秀逸で、それは映画の中でも随所に感じられます。
色使い、カットの仕方、時々映る壮大な景色等……これはデザイナーが撮ったんだと知らしめているような。
やっぱりアーティストはヌードが好きなのかな🤔
冒頭のシーン。
いきなり何が始まるんやと思いました。
過去と現在、さらには物語の世界がくるくると入れ替わる作品はよくあり、
その多くがわたしのようなアホには理解不能だったりするんですが、この作品は親切でした。
敷居の高い作品ではないけど、芸術は溢れている。
ジェイク・ギレンホールの熱演もすごいし(妻夫木君の上手さと似ている気がする)、
キックアスはこっちが腹立たしくなる悪人を見事に演じきっていて、役得だと思いました。
エイミーは安定。だからこそ、そんなに目立ちはしないかも。
最後は観客をぽーんと投げ出す感じで終わるけど、トム・フォードが出す答えを見たかったなぁ。
あ、でもそれはオシャレじゃないかも。
二つの復讐
インパクトあり過ぎるオープニングから呆気に取られ、荒廃したテキサスを舞台にポンティアック・GTOと三人組のスタイルや雰囲気がアメリカン・ニューシネマの如き70年代のアメリカ映画の暴力性を醸し出す、アーロン・テイラー=ジョンソンの存在感が「デッドマン・ウォーキング」でのショーン・ペンを想起させ、緑のウエスタンブーツの小物使いが効いているしマイケル・シャノンの野暮ったいカウボーイなスタイルも格好良く、オンブレーシャツにカーキ色のコーデュロイパンツがお洒落なジェイク・ギレンホールと前作に続きセンスがダダ漏れなトム・フォード。
現在と過去を描きながら間に挟まれる小説の物語が映画としては三者三様に作り話でありながら、凄まじく興味の惹かれる「夜の獣たち」の映像化でもあり復讐モノとしてのジャンルから、現状を分かり切った上での優越感にでも浸りながら本当の意味で復讐を果たすエドワード、ラストに再会することもなくスーザンの不安定な現状を嘲笑うかのように追い詰めた結果、傷つき果てた男の焦ったく途方に暮れる行動が変態的でもあり、将来の人生を選択する術に後悔も正解もあらず、心だけは満たされない。
男と女の恋愛観を過去と現在に描く単調に成り兼ねない物語を斬新な復讐法として小説の場面が刺激的に描写される展開に、現実世界では何ら進展がないように一人佇むスーザンは何を思う?
2017/11/04
TOHOシネマズ シャンテにて鑑賞。
2022/04/18
U-NEXTにて再鑑賞。
一番の感情は恐い!
恐怖で息がつまり身体が凝り固まってしまいました。
最初から引き込まれ面白いです。
信じ愛し合っていた女性が物質的な幸せを選び、無下に切り離された元彼は、苦しさから妄想や想像の中で人生を過ごしてきたのでしょう。
その妄想は、皮肉にも小説家としての才能を匂わせていました。
家族ともすれ違う日々を過ごし、誰からも置き去りにされた痛々しい主人公の女性が、ラストシーンで緑色のドレスをまとい美しく着飾っていたのが印象的でした。女ごころが夜の窓の外から照らされているようでした。
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