ムーンライトのレビュー・感想・評価
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虐げられたマイノリティへの共感
ゲイ、黒人、ドラッグ、ネグレクト、いじめ、、、およそ浮き上がれない人生の要素に囲まれた環境に育ったシャロンの人生を三部作で描く。彼の変わりように驚きながらも、そうなっていってしまった訳を思うと、胸が詰まってきた。
ジュークボックスでかけた曲は知らないが、あの歌詞には参った。楽し気で懐かしげな歌声が、とても悲しく響いてきた。
ただ、なぜフアンがシャロンにあそこまで優しくしたのか?が始めからの疑問にあって、どうも全体を受け入れる気分にはなれず。心を閉ざしたシャロンの姿に、かつての自分の境遇を重ねて手を差し伸べたくなったのか?
「月の明かり」は、万人に等しく降り注ぐ。
その明かりは、夜の闇から我が身を照らし出してくれるように、生きづらい人生の中の幸せを教えてくれる。
そして、黒人を青く映してくれる、つまり、自分を変えてくれる。
結局、シャロンにとっての月の明かりはフアンとケビン、っていうことか。
R15指定。だけど、それほどエグさは感じない。
むしろ、指定を受けてみることができない世代にこそ、この映画の中にある、真実のマイノリティの苦悩を教えてあげるべきだと思うが。
重要ではあるが、時代や国境を超えるとは思えない
あれほどの感受性と得難い人達との幸運な出会いを持ったシャロンが結局は強面(コワモテ)のヤクの売人になる。それがシャロンの選択なのか、それ以外に道が選べなかったのかわかりませんが、この成長物語から読み取れるのは、希望よりは絶望でした。 経済的な階層固定化が、かなりの確率でその後の人生の選択肢を狭めている現実を改めて突きつけられました。 当事者でないと、ついつい気がつかないフリをしてしまうようなテーマを芸術作品として完成度の高いものに昇華することで、世の中の耳目を集め、為政者(特にトランプ大統領⁉︎)や社会を動かしている階層の人達、そして映画を楽しむことができる程度には生活に困っていないような人達(つまり、我々のことだ(^。^))に再認識させるための作品なのかな、と思いました。 日本におけるイジメは仲間はずれとか、ネットでの匿名攻撃のような陰湿なものが多いし(だからと言って直接的な暴力の方がいいということではない)、親子の問題もドラッグよりは過干渉のような子離れできない親とか引きこもりの方が現実的で、正直切迫感はなかった。 今のアメリカを読み解くのに重要な作品であることは間違いないと思います。
感想
ドラッグやいじめ、育児放棄にLGBTと重いテーマをこれでもかと詰め込んだ作品。
が、後味は悪くない。主人公シャロンは恵まれない境遇でも明るく健気に頑張っているというわけでもない。終始自信なさげに俯く。でも、そういうところになんかリアリティを感じました。
愛が必要なときに愛を与えなかった、だから愛さなくていい、でも愛しているという母親の言葉が印象的だった。
純愛もの
手垢のついた感があるゲイもの。しかし、主人公の純愛ストーリーでもあるし、虐待やいじめを受けて育った主人公の自分探しの旅でもある。序盤の「自分のやりたいように生きろよ」というセリフがクライマックスで沁みる。
ウォン・カーウァイを彷彿させる切ない語り口
米国マイアミの貧困地区に育ったひとりの黒人少年の物語。
自分のアイデンティティを探し、愛を探す物語。
米国マイアミの貧困地区。
近所では麻薬が横行し、シャロンの母(ナオミ・ハリス)も常習者。
まっとうな職もなく、その日その日、からだを売ってしのいでいる有様。
そして、リトルと呼ばれる10歳のシャロンは、近所の子どもたちからいじめられている。
そんな彼を救ってくれたのは、ふたり。
麻薬密売人のフアン(マハーシャラ・アリ)と、友人のケヴィン。
ある夜、フアンは、シャロンを伴った砂浜で、昔のことを語る。
俺は、むかし、ブルーと呼ばれていた。
それは、近所のばあさんが「月の光の下でお前をみると、ブルーに見える」って言っていたからだ・・・
とそんなところから始まる物語。
その後、シャロンの口から、いじめられている理由がフアンに告げられる。
ぼくはオカマ? と。
フアンはいう。
それは、ゲイに対する蔑称だ、と。
ここまでは、導入部で、いわば説明的。
映画として面白いのかどうのかを、観る側としても探っている感じ。
前知識がなければ、このエピソードの最後に明かされるシャロンの告白は、かなり衝撃的。
逆に言えば、前知識が邪魔して、この10歳の頃のエピソードが、説明に観えてしまい、退屈するかもしれない。
映画はその後、高校生時代のシャロン、20代のシャロンを描いていく。
高校生時代のシャロン(アシュトン・サンダーズ)は、みるからにひ弱でなよなよしており、いじめの対象。
付き合ってくれるのは、昔からの友人ケヴィン(ジャハール・ジェローム)。
ふたりはある夜、浜辺で愛撫に及ぶが、その後、ケヴィンに裏切られてしまう。
このときの夜の浜辺のシーンは、衝撃的だが、切なくもある。
20代のシャロンのシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は、ブラックと呼ばれるトップクラスの麻薬売人。
マッチョな筋肉の鎧をまとって、マイアミを離れて、アトランタでのし上がってきた。
対するケヴィン(アンドレ・ホランド)は、マイアミでダイナー(食堂)をやっている。
ふたりが会うのは、ケヴィンに裏切られて以来・・・
この20代のエピソードは、いかついシャロンの外見とは裏腹に、とても切ない。
自分のアイデンティティを探し、愛を探していた孤独な少年が辿りついた安らぎの場所。
そして驚くのは、このエピソードの撮り方が、過去の映画によく似ていること。
ウォン・カーウァイの諸作品を思わせる。
特に『ブエノスアイレス』『マイ・ブルーベリー・ナイツ』の2作品。
音楽の選曲(『ククルクク・パロマ』!)、ダイナーの雰囲気。
入口のベルがチリンと鳴り、音楽が入るそのタイミング。
おお、ウォン・カーウァイ!と思ってしまう。
この語り口に酔わされた。
いやもう、黒人だ、貧困だ、マッチョだ、麻薬だ、なんてどうでもいい。
酔わされてしまったのだから。
そして、最後のワンカット。
月の光に照らされる、10歳のシャロン。
ブラックの彼は、ブルーに見える。
ブルー、それは哀しみの色・・・
深い葛藤と苦悩と愛の物語
主人公の心の変遷と柔らかな表現、美しい映像が醸す透明な空気感。素晴らしい。 物語に奥行きがあって、見る人の解釈も許容しつつ許しと愛に向かって行くストーリーは立場主義趣向の違いに関係ない普遍性に満ちていた。 ゲイという大きなテーマを描いた本作は、LGBTという重い、アイデンティティの確立と尊厳に関わる問題を真摯に描けていると思う。 多勢の人の趣味趣向好き嫌いとは別に、守られるべき少数派の趣味趣向はまだまだ白眼視され軽視されるのが現状だ。 本作ではそこにさらに様々な社会的問題がのしかかる。 それらの誰しもが関わりうる現実の冷酷な一面が見る人自らの行いを振り返らせ、 数は少なくとも周りに現れる、苦悩に理解を示してくれる人々の優しさと愛は、自らもこうありたいと思わせるだろう。 大きなテーマは重くなりがちだが、叙情的で詩的な映像美や様々な映像の仕掛けが、全体に流れ・緩やかなリズムを生み出し、飽きずに疲れず見切ることが出来た。 ガスヴァンサントに例えてた人がいたけど、近いものがある。 ただやはり重く少数派のテーマな分、感情移入はしづらい。 考えさせられる部分、理解しきれなかった部分も多い。 この詩的な表現が受け入れられるか、どんな人でも関係のない苦悩そのものに感情移入できるかが評価の分かれ目かと。 初見は星4つで!
よくわかりませんでした
どういう映画か、楽しみにいきましたが、なんのことやら、わかりませんでした。 共感できるところもなく、取り立ててあたらしいこともないように思いました。 ぼくには合わず、観ている途中から、気持ちわるくなりました。
美しい映像と厳しい現実 愛の形が交差して生まれる世界観。
まず、本作品は三部構成にすることで主人公シャロンの人生の分岐点をしっかり表現していることから主人公の人生を感じ取りやすいと私は思いました。
そして、沢山の人と色々な関わりを通して変化していくシャロンの感性の変化、周りを取り巻く一人一人がシャロンの感性に関わっていること。この人生の中での出会いの大切を私は知ることができました。
もう一つ感じたのは、母の愛情の大切さとシャロンの美しさ。シャロンが愛せなかったことを悔やむ母を抱き寄せるシーンで私は、母が愛に対していかに浅はかだったのか、そしてそれを心から悔やんでいることを感じました。そして、それを静かに抱き寄せるシャロンの人間としての美しさ、神秘さを感じました。
本当に美しい映画です。自分を認め、人を許す。
そんな素晴らしい人間の悲しい人生と現実を描いていました。
監督さん、俳優の方、ほんとにありがとございました
見終わったあと、少し世界が綺麗に見え生きる勇気を貰えました。
待ちに待ったはずなのに…
公開を楽しみにしていた本作。
この評価になったことについて、同性愛に対しての偏見や嫌悪感では一切ない。
ドラッグ、人種差別、ネグレクト、虐め、同性愛など、現代社会を問題視した作品はもともととても興味深く、ミニシアター好きな自分好み。にも関わらず、観終えた後のなんとも言えない空虚感。
1人の青年の人生を三部作で描いている。
一部二部ではゲイだとイジメられ、社会に適合できず、ネグレクトによる孤独と葛藤がありながら二部の最後に同級生に仕返しして少年院送りに。
三部では誰かわからないくらい鍛え上げられた肉体の主人公がヤクの売人となって登場。
内なる女性的な部分(幼少期はオカマと言われた)を隠すかのように強がり、最後は初恋の男性と再会、乙女のようになり寄り添って終演。
後半に行けば行くほどファンタジーのような感覚になりまったく共感できない。
俳優陣の演技はいい。
テーマも興味深い。
肝心な脚本と演出がどうなの?
母をダメにしたドラックの売人になり、そして母を許し、自分に初めて触れた男性に裏切られ、それでも忘れられず…数々の葛藤があるはずなのに、すべての後味がウブな同性愛で終わり…
なんだかなぁ
セリフが少なく雰囲気は出してくるのに、肝心なところは顔のドアップで行間を読ませない映画でとても残念だった。
久しぶりに映画の日に映画見て来ました。やっと観れた。本年度アカデミ...
久しぶりに映画の日に映画見て来ました。やっと観れた。本年度アカデミー賞作品賞! うん。これが作品賞に相応しいとかわからない。正直。ただいい映画だった。カメラワークだったり、音だったり、カット割りとか、そうゆう部分がスタイリッシュさを演出していた気がして、ドラック映画とか、社会派ドラマとか、型にはまることのない、新しさがあった気がした。そして、やっぱり黒人ってカッコいい。そして、音楽良かったな。
いい映画って、今まで観たことがない映画なんだよなって思う。当たり前過ぎることだけど。
今年は、トランプが大統領になったアメリカにとって、黒人の映画が作品賞になることで、政治的なメッセージがあるような気がした。
ただ、そんなことは関係なく、いい映画だし、映画館で観れて良かったな。
リトル、シャロン、ブラック
感情表現が乏しくて引っ込み思案でおとなしい性格なのは成長して屈強な体格に厳つくなっても何ら変わりが無く一貫して表情が弱々しい。 "愛して欲しかった時に愛さなかったから今は愛されなくてもいい、でも愛してる" 母親の息子を思う気持ちに泣けてくる。 着地点が定まらない愛情を彷徨わせ続けてしまった不器用な主人公のラストはハッピーエンドか!?
余韻が残る映画
ガス・ヴァンサントのエレファントを見た時のような感覚。 すごく静かなのにすごく力強いというか…。 もう終わり?と思ったら2時間経ってた。 様々な、しかも重い、要素を詰め込みすぎなんじゃないのか、という不安があったのだけど、 それぞれがぶつかり合うことなく、 彼が生きているのが当然のように 彼の回りに存在していることとして描かれていた。 確かに、誰でもいろんな事を抱えているけど、 いつもドラマチックとは限らない。 そんなことを淡々と、力強く描くよい脚本だった。 3人のシャロンは、みんな目が特徴的で、 特に大人になった彼には驚いたけど、 目はどこか昔のままというか、 似てないんだけど、 悲しみのようなものが見えて良かった。 余韻が残る映画。
ははーっ、終わりかぁ
最後に画面が暗くなり、Moon Lightと表示された時に思わずつぶやいてしまった.... 映像も音楽もシャロンの背中を写すのも全てセンスのよさを感じた。 なのに、この恋に感情移入ができなかったのは、あまりにも題材が自分からは遠すぎるからか? もし私も黒人なら、もし私が男なら、もし私がアメリカ人ならもう少し違ったのか.... ただ救いようのない真っ暗な人生の中で、ファンとケビンがムーンライトのように光をさしていたということはよく分かった。
"In Moonlight Black Boys Look Blue"
いじめやヤクや同性愛などが複雑に混ざった、人生のような作品。 Blackの肌の色がとても美しく、情緒的に見えた。 ドラマチックで感動する"作品"というよりは、問題が複雑で現実的だからこそ人生を感じるような映画だと思った。この映画を観ていて感じたことは本当のことだと思うので覚えておきたい。 この映画を観て映画館を出た後、しばらくはこの映画のことを考え、その後の人生でも呼び起こされ影響することになるだろうと感じるような作品だった。 それにしてもこの映画はポスターも映画を象徴する素晴らしさがあると思う。
静かでポエミーな映画だった🌙色彩や音楽の使い方が王家衛ぽいね。シャ...
静かでポエミーな映画だった🌙色彩や音楽の使い方が王家衛ぽいね。シャロンからブラックに進化した姿がポケモンもびっくりなので是非1番見ていただきたい!
単館上映でひっそり評価される感じ・・・
アカデミー賞作品賞を獲った事で、注目度がアップ!! 取り敢えず観ておかないとって事で鑑賞しましたが・・・ 崩壊的な家庭で育つ少年の幼少期・学生期・成人期の3部構成で描かれており、日本の環境からは想像もつかない現実描写が、リアルで向こうでは評価されたのかも知れませんね。 母がヤク中、自分に優しいオジさんは、母親にヤクを売る売人、執拗なイジメ・・・そして逆ギレ 軟弱な少年が、紆余曲折を経て、最後はレスラーのような筋骨隆々になり不器用ながら再会した幼馴染に告白するまでが、淡々と描かれていて映像美も含めて、内容とは別に心穏やかに睡魔に襲われました^^;;;;; この作品の軸は、彼がゲイであるって事なんですが、描写や感情表現が繊細過ぎて、感情移入するのは・・・難しかったです〜☆2.8
観る人の観かた次第
皆様の高評価には‘なるほどね‘と、うなずけます。 けど、自分には過去に何度かこの内容なら観たし、黒人枠で描くならこんな軟な流れじゃないだろう・・と、あまり響きませんでした。 アカデミー賞の件 他の作品はまだララしか観てないんで、断固言えないが「ん~」て感じ。助演賞も1話のマハーシャラ・アリが取ったが、ケビン役のアンドレ・ホランドじゃないの?改心したときの母役ナオミ・ハリスは絶品だった。 あんまり騒がれず、何気に都内一館くらいで上映してるアート映画として観るべき。エンタメ性は皆無ですんで宣伝に騙されないように。
青
居場所のない幼少時代に現れた救いの手。 奮起する少年期。 回帰する青年期。 少年期で将来像がみえてしまい、決定付ける少年期があり、判りやすい展開。 言いたいことはわからなくはないけど、閉塞感も絶望感も激しさもあまりなく終始大人しい感じでもの足りない。
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