夜明けの祈りのレビュー・感想・評価
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透明な声
つつましく清らかに生きてきた修道女たちに起きた衝撃の出来事。信仰と現実とのギャップに苦しみ、忘れようとしても辛い思いは消えない。それでも、神に捧げる彼女たちの歌声は、透き通った水のように美しい。
修道院の院長は、誤った選択をしたかもしれないが、彼女も傷ついており、それでも秩序を守ろうとしていた。だが、修道女だけで閉じこもっていてもどうにもならず、外部の人間を引き込むことで、事態は前に進むことになった。周囲の村人と交流し、みなし子らが遊び回り、笑顔で写真に収まる修道女たち…。明るく光溢れる修道院の片隅で、背を向ける院長が悲しい。
マチルドが迷いながら、時に頑なな修道女に手を焼きながら、見捨てなかったことが素晴らしい。ソ連兵に乱暴されそうになり、実際に経験した恐怖。本当に彼女たちの身に寄り添う気持ちになった。戦争は男の野性を膨張させ、女はただ耐えるしかない。そして、人間は愚かで、なぜだか戦うことをやめられない。こんなおぞましいことが、何度も起こることに暗澹たる気持ちになる。
ルー・ドゥ・ラージュは「世界にひとつの金メダル」で、障害飛越の馬の世話をする女の子役で見たのが初めてだったが、ほんとかわいい。好みのタイプ〜♥ 修道女たちはみんな同じ服装なので、個体識別が難しかったが、みんなマリア像のような、穏やかな優しい顔だった。冬の柔らかい光の中で、静謐な美しさをたたえていた。
BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
感動
1945年12月、ポーランド。赤十字で医療活動に従事するフランス人女性医師マチルドのもとに、ひとりの修道女が助けを求めに来る。彼女に連れられて修道院を訪れたマチルドは、ソ連兵の暴行によって妊娠した7人の修道女たちが、信仰と現実の間で苦しんでいる姿を目の当たりにする。マチルドは修道女たちを救うため激務の間を縫って修道院に通うようになり、孤立した修道女たちの唯一の希望となっていく。
こんなにも信仰は時に苦しく辛いものだと教えられる作品でした。
マチルドは修道院で孤児を引き取り、子供と一緒に育てることで命を救いました。一方で厳格な修道院長は神に委ねると信じて子供を置き去りにしてしまいます。彼女もまた苦しい選択を迫られて苦悩したと思います。自らも梅毒を患いながら信仰の元、治療を拒んだのです。それぞれの選択に正解は無いと感じました。最後にマチルドの元に届いた絵葉書には希望に満ちた修道女の姿が写っています。そこに院長の姿はありません。
彼女達の結論は100点だと思う。
ポーランドはカトリック信仰がつよいお国柄の様です。そんな地域で修道女達を襲ったソ連兵。複数回に渡って、結果7人が妊娠して、修道院長は梅毒に感染させられたとのこと。地獄です。
そんな中、1人の修道女が耐えかねて医師に助けを求めた。結果若いフランス人女性医師マチルドが修道女達を助けるお話です。実話モノです。
ものすっごく辛い話ですが、それだけではないので、ぜひ目を逸らさず見てもらいたいです。
産科の専門ではないけれど、必死に手を尽くすマチルド。自身もソ連兵に凌辱されそうになりながら、本職に思いっきり影響だしながら。上司でセフレのユダヤ系医師に、悩みを打ち明けるよう進められても、修道女達が望まないので口を閉ざしています。
最終的には同時のお産になった時、例の彼に助けを求め、協力してくれるのですが。
私はフランス語に堪能な修道女マリアにも思いっきり感動しました。信仰の世界と現実の世界のどちらも知っているからこそ、院長に背き、マチルドを頼った。信仰への疑問を持ちながらも、周囲を支えるマリアをすごいなぁと思いました。
カトリックだけどコミュニストの両親がいて医師でセフレもいるマチルドと、恋人がかつてはいた現修道女のマリアの友情が美しく思いました。
修道女といえども、それぞれ考え方は違う。修道院としての体面を最も重視して新生児を2人遺棄してしまう人(院長)。自由になりたいといって最終的には修道院を出る人。産んだ子供に母性を感じる人、拒否する人。様々です。
院長の行動は許せませんが、彼女には他の道が見えなかったのでしょう。
帝王切開で子を産むも(本人知らないけど)院長に子を捨てられ、同僚の産んだ子に乳をやって、可愛く思えて名前をつけて洗礼を楽しみにしていたのに、その子も院長に捨てられてしまって、自殺してしまった修道女が、もう本当に辛かったです。
院長が子供を捨てていた。そのせいで1人の修道女が自殺してしまった(自殺はキリスト教では重い罪なんです)。そんな中さらに幼な子は更に3人産まれた。
マリアは赤十字の撤退が決まってポーランドを去る直前のマチルドを訪ね助けを求めます。
一晩ののち、マチルドはすんばらしい提案をします。生まれた子供達と赤十字病院の近辺にいる戦災孤児をまとめて修道院で育ててはどうか。そうすれば誰の子かは外から問われないのでは、と。
映画の冒頭から多くの孤児が風景として写っていました。タバコを一本売ったり、案内するからなんかちょうだいってゆったり、棺桶を囲んで走り回ったり。本当にただ風景だった孤児たち(ごめんね)が、修道女を救うべく神が遣わした天使に見えました。
レイプによる望まない妊娠は消せない悲惨な出来事で、これからも被害者を苦しめるでしょう。でも笑いながら駆け回る子供達や滑らかな赤子の肌や温もりは、悲惨な過去を少しだけ和らげると思います。子供にとっても、修道女達にも希望です。その結論はマリアの信仰をも肯定してくれると思いました。
この結論は予想以上に見ている私を救いました。ただの傍観者が救われる必要はないのですが、救われたと思いました。私が妊娠した修道女の立場になった時、きっと少なからず救われると思ったのです。
さらに三ヶ月後がよかった。おそらく養子のためのお見合い会を修道院でやっているんでしょう。走り回る子供たち、その姿に目を細める修道女達と里親候補たち。更には別室の赤ん坊は5〜6人がコロコロ転がっていてそこは正に天国でした。
もちろん、レイプの過去は忘れられないでしょう。これからも夜毎彼女らを襲う悪夢は続く。でも信仰を持ちながらこれからも生きていける。そういう希望を得たのではないでしょうか。
ひとーつだけケチをつけると、修道女が見分けられなくて、特に妊婦が誰が誰やらさっぱりでした。なので⒋5にしました。
とてもよかった
スリリングで感動的でとても面白かった。戦争、特にソ連軍の野蛮な感じが恐ろしい。日本軍や満州からの引揚者の苦労がしのばれた。
出産は確かにプロフェッショナルな仕事なのだが、原始人の頃から人類は資格など関係なく行ってきているので、やり方を説明して自分たちでできるように導いてあげればいいのになと思った。
院長が真面目すぎるあまり、鬼畜の所業を行っていて一番天国に行きたい立場なのに地獄に落ちが決定的となっていて気の毒だった。
新生児がけっこう大きかった。
予告から気になってて 見に行きました。 ほぼ女性で満席 両隣りのバ...
予告から気になってて
見に行きました。
ほぼ女性で満席
両隣りのババア
始まって間も無く寝るし(笑)
マックスが小鼾だったから
突くのはやめたけど...
衝撃的な内容でしたね‼︎
あの梅毒院長腹たつゎ〜
ハッピーエンドだったから
少しは救われたかな
身寄りの無い子供たちも
ホーム出来て良かった‼︎
やっぱり
女性は非力だよね(泣)
ク○兵士ども
○ね‼︎
戦争の深い傷
この映画には、戦争で身体や心に深い傷を負った多くの人がいた。負傷兵だけでなく、ユダヤ人の医師や、修道女が、心に深い傷を負い、毎日祈っていても癒されず、苦しんでいた。
戦争は、人を野蛮な生き物に変え、大勢の罪なき人を苦しめるだけのものだということを、誰もが認識しておかなければならないと思った。また、被害者が、加害者になることもあるのだということも。
彼や彼女たちを癒したのは、未来への希望であり、他者への愛情だった。
冷たく美しい映像と、静かで表情の少ない抑制された演技から、時折温かな希望と愛情が感じられて、じんわりと深い感動を覚えた。
欲望
戦争映画と言うよりも、組織を批判する内容。ただ、キリスト教云々ではなく、組織の体裁を気にするのは、それが宗教なのか?村のルールなのか?色々と分かれるので、特に、宗教を貶めたいわけじゃなく、何が大事なのか?。精神の極限状況を演出するために宗教を扱ってるだけだと思う。ラストシーンがそれを現してる。なぜ、雪の上を歩いてるシーンがあるのかも考えてみる。
命を与えるのは神ではないのか
性を厳しく抑圧する事が、当たり前である修道院でシスター達が戦争の性暴力の被害にあって妊娠し、出産する。
そのような事情にも関わらず、赤ちゃんは産まれシスター達の母性を刺激する。
命に圧倒される。
今もきっとそんな事がどこかで起こっている…
性暴力がなくなることを祈って
ストーリーは、第2次大戦末期にソ連軍によりレイプ(性暴力)を受けた修道女が妊娠し、その苦悩を描いた映画です。主人公のフランス人の女医、マチルドは修道女から「助けてください」と言われ、修道院に駆け付けたところ、妊娠したためお腹が大きくなり苦痛にうめく修道女がいました。(妊娠したのは計7名)その彼女たちの治療を行い、助けるという内容です。
本来、マチルドはフランス人の軍人の治療のためポーランドに派遣されていました。そのため、上司からポーランドの修道女を助けなくてもいいと言われますが、修道院の院長などから「マチルドでないといけない」と言われ、夜には、ソ連軍がいて危険な地域であるにも関わらず、身を挺して治療に当たっていきます。
修道院の院長などは、妊娠したことが公となると修道院が閉鎖となりかねないと気にしていました。それは、修道女は貞潔であり一生独身でならなければいけないとされているからです。本来、非難され苦しむべきは、レイプ(性暴力)をした人です。しかし、性暴力の場合、被害に遭った人が精神的にも肉体的にも苦しみます。(映画の中でもそのシーンがありました。)
また、レイプされたことにより生まれた子であっても修道女からすると自分の子であることから愛情が湧くのかな、また、その生まれた子にレイプの責任はないことから、(中絶をしなかったのであれば)一般の子と同じく愛情を持って育てていかなければいけないと思ったりもしました。
マチルドを演じた「ルー・ドゥ・ラージュ」という女優さんの透明感あふれる演技が印象に残りました。
重たい内容の映画であり、涙なくしては観れませんが、「生きること」をしっかり教えてくれる素晴らしい映画ですので、是非、みなさんも時間が許すのであれば、観てみてください。
なお、映画を観た「新宿武蔵野館」という映画館は、こじんまりとしていて、とても落ち着く映画館でした。
この世から性暴力がなくなることを祈って筆を置きます。
進む道
第二次大戦下ポーランドの女子修道院で起きた人の生命に波及する残酷な事件と信仰、救いの話。
ソ連兵達による凌辱により妊娠した7人の修道女という、信仰の有無に関わらずあまりも残酷な事実。
更にはカラスの鳴き声に繫がる残酷な信仰心。
信仰する人を否定するつもりはないし、作中でも一般の人には理解出来ないという台詞があったが、修道士同士であったって解釈は異なる訳で、信仰心のない自分には自己都合で「思し召し」の重さと内容が選択されている様にしか感じられない。
そんな姿と態度をみせられながら、医師として命と向き合う主人公の誠実さと聡明さに救われる思いがするし、修道女達の心に影響を与えたのは神でも院長でもなく赤ん坊と医師という事実。
ラストは少しテイストの異なる描写も入っているけれど、胸が少し熱くなった。
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