パターソンのレビュー・感想・評価
全209件中、101~120件目を表示
詩も毎日も同じ 272-6
毎朝同じ時間に起きて嫁にキスしてバス運転して犬の散歩してっていうルーティン化した毎日。そんな変わり映えしない日々に幸福を感じる男の一週間を切り取った話。変わり映えしない日々って悪くない、毎日が微妙に違うんだから。って映画。
久々のジム・ジャームッシュ
ルーティンの中の小さな変化
幸福
人間は幸福を求める習性がありますが、幸福とは何か、と問われるとよくわからない場合が多いかと思います。10人いれば10通りの幸福観があるでしょうが、この映画では、幸福な人生の1事例が発表されているような印象を受けました。パターソン夫妻、ホント幸せだわ。
パターソンさんの毎日はルーティーンですが、彼の内面は常に新しい出会いに満ちており、しかも詩としてアウトプットする力も備えている。なんて豊かで幸せなヤツなんだ。
感受性が強いと些細なことで揺れやすく、メンタルが不安定な人も多いですが、パターソンさんは安定している。メンタルが安定しているから仕事も続けられ、その結果経済的にも安定している。安定の連鎖!幸せだ!運転中に客の話を聞いてニヤッとする彼を見ると、基本的に人間好きなんだろうね。
そしてパートナーのローラちゃん。ラディカルで移り気、可愛いけど一緒に暮らすには癖が強くファンキーすぎるタイプだと思います。しかしパターソンさんはローラちゃんとうまくやれている。互いに欠けているものを補いあった関係のように思えて、それも幸福だ。
また、パターソンさんがギターの出費とかメシがマズいとか、結構我慢しているのもいい。でも我慢よりも愛がだいぶ勝っているので、大きな視点で見れば我慢と言っても些細なもの。折り合いながら生きる方が、成熟を促されるため長い目で見ると幸せだと思います。
細かい出会いも幸福です。詩人の少女とか、日本の詩人とか。特に後者の出会いは、パターソンさんの再生(と言うと大袈裟だが、マービンに詩のノートを食い破られるのはある意味死の象徴なので、プチ死と再生が起きている)に一役買っており、そんな白紙のノート送られたら、幸せでアーハ?って言いたくなります。
出会いには幸運な側面もあるけれど、パターソンさんは出会いを幸福なものにする能力があるようにも感じます。
そして、本作に彩りを添えているのが、いかにもジムジャーって感じのギャグの数々。ジムジャーのギャグはオチをつけてハッキリと笑いを取りに行くベタなタイプではなく、反復とかヘンなこだわりとか、後からジワジワくるナンセンスなタイプ。これも彼の作家性のひとつでしょう。
やたら出てくる双子とか、韻を踏んでいるとも言えるし駄洒落とも言えますが、「また出た」みたいな反復ギャグだと認識してます。あとあの不穏なBGMとかもナンセンスなギャグなんだと思います。
このような、意味がなくて無駄な演出こそが余裕の現れであり、その余裕も幸福に寄与してるんだな感じました。
合理性を追求し、無駄なく生きている現代社会に対して、ジムジャーは一貫してアーハ?って言い続けて来た人だと思います。そんなジムジャーの哲学が結実したような傑作でした。
個人的には、初期3部作以来の名作だと思います。
暑い夏の日、日陰で文庫本を読む。その場面を呼び起こした映画「パター...
暑い夏の日、日陰で文庫本を読む。その場面を呼び起こした映画「パターソン」。
十数年前の夏、長期ロケ先で顔見知りになった、道路工事作業の方々。毎日顔を合わせるうちに、休憩時間の談笑などして打ち解けた。
中でも、1番粋な雰囲気の男性は、無駄の無い動きで仕事をこなし、休憩時間に昼寝する人々の隣で、いつも文庫本を読んでいた。
そつない会話からも、余裕と美しさを感じた。創作の仕事をする我々よりも、よっぽど叙情的な美しい日常を送ってるであろう彼の言葉も柔らかく、撮影が終わろうしている時の「寂しくなるな。」の響きはまだ覚えてる。
パターソンに住む、主人公パターソンの日常も同様に美しく、優しい。
彼らのベッドは優しく安心感に満ちていて、私が未だ見ぬ世界だった。
未だ見ぬなのか?見られないなのか?
印象がいつまでも残る
ジム・ジャームッシュの映画はおしなべてそうだけど、細部は覚えてないけどずっと「良かった」ものとして印象に残る、これもそのうちのひとつ。
内容を一言で言えば、「幸せに暮らす夫婦の平和な1週間」
だけど、運転手をつとめるバスの中、行きつけのバー、自宅なんていういつもの場所でも、日々起こるちょっとした新しいこと。
そのうちのひとつがもしかしたら、人生を一変させるかもしれないし、何も影響しないかもしれない、そういうことは関係なしに、日々、物事は、起きる。
まさに諸行無常。仏教的な観念がこの映画にはどこか漂う。
パターソン(人)が常に寡黙で冷静、淡々と進む物語?の安心感ある軸になり、周りで面白い人達がちょっと騒いでも淡々とした雰囲気はそのまま。逆のその面白い人達が、退屈な筋に彩りを加えているともいえる。だから、淡々としていても飽きないし、穏やかな気持ちで終始観ていられる。
あれ、さっきも聞いたなこの台詞。みたいな、小さな事柄の反復、デジャヴ、妖精とか小さなおっさんがやるイタズラみたいな演出もちょっと笑えていい。
犬の表情も最高!人間みたい。
この映画も、数年…数ヶ月経ったら内容は忘れちゃうかもしれないけど、良かったという印象はずっと残るのだろうな。
人を幸福にさせる映画。
これは、映画だ
19) 観た人が幸せを感じるのが映画だとすれば、これは、映画だ。 … とここに記しているこの行為が、自分が主人公になったような気がする。素敵な映画だった。
驚くことは何も起こらず、平凡な毎日が過ぎていくのだが、たしかに主人公は幸せに生きている。自分は詩が好きなわけではないが、この映画を観ると「人生は、詩なんだなあ」と素直に思える。
「毎日が過ぎ去るということ」が、「あたりまえと思っている毎日」が、いかに光や音にあふれていて、感じることがどれだけ多いものなのか。それを映画に教えられるとは思わなかった。
淡々とした月~日の同じような繰り返しの中に、だんだん見えてくる瞬間瞬間の幸せや発見。繰り返しに飽きていくのではなく、逆に観ているこちらの感性がだんだん上がっていっているために、発見したりわくわくしたり感動したりしている自分を感じる。映画が、自分をかえてくれる、素晴らしい体験をした。
誰にも推薦したい映画だ。(その意味で、観に来るのが遅すぎた)
「人は自らの役割を選ぶことができる」(ジム・ジャームッシュ監督)
すべての人に、幸あれ。
すべてに完璧
主人公パターソンの何気ない日常を静かに淡々と描いている。 愛する妻...
澄みきった美味しい水
「無意味」な映画
詩とニュージャージー州パターソン
バスの運転手パターソンの月曜日の朝から翌月曜朝までの変わらない8日間
双子と詩がたくさん。
何故か重低音が効いてゾワッとさせるけど何も起こらない。
でもどのシーンも絵になる。
白と黒が好きなフリーダムな奥さん。
チーズと芽キャベツのパイはおいしくないらしい。
カーテンのかかった煙たくないバー。
マーヴィンと名付けられたブルドッグは撮影後に死んでしまったみたい、ネリーというなのいぬ。
憧れる日常
派手さドラマチックさを一切排除した作品。
ただただ、日常が映されてゆく。
スマートフォンも持たない、特別華やかなことをするわけでもなく(他の女性を知ってみたいけど、やっぱり君が誰よりも大切だからと綴ってしまうくらい)…一見地味に見えて、淡々とした、でも愛がちゃんとあるパターソンの生活って、なかなか現代人には手にしづらいのかも。パターソンと同じ生活をしてみて、満足できないかもしれない。でも、パターソンはその生活を愛し安らかに暮らせているのだ。
そんな姿が、きっと刺激に満ち溢れた生活をしている私たちを羨ましくさせる。
この夫婦は決して似た者同士でもなければ、色々とズレているかもしれないけども、それを軽々と乗り越えるほどの愛情とリスペクトをもってる。お互い、ありがとうと言い合うところ、とても良かった。わたしも気をつけなきゃな、とか思ったり。
じんわりと、いい作品でした。
同じことの繰り返しと思える日常にも、目を凝らせば色んな事件や感情が...
全209件中、101~120件目を表示