パターソンのレビュー・感想・評価
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「客観視」という目線で気づく、毎日の特別さ。
ある人間のなんてことのない日常をただ客観視するだけ。その中で観る側は様々な変化に気づく。そんなミニマムな方法で、「繰り返しているように思える日常も、意外と変化してるんだよ。焦らなくても大丈夫。」って言ってくれているように感じる。あるメッセージを、描き切るのではなく削ぎ落とす方向の手法で描いた斬新かつある意味とても巧妙な映画だった。
水を少し多めに飲む
微妙な表現が連綿と続く。彼女は美しいが、あまり愛すべき要素を感じさせない。愛らしいが悪さをする飼い犬。毎晩、バー通い。同じようで同じではないが、味気ないこの日常に満ち足りることができるのだろうか。しかし、主人公は、詩人的目線で淡い濃淡で描かれる日常をよく味わって愉しんでいるようでもある。それは実人生を豊かに生きる心得かもしれない。
バスの運転手による詩的な7日間
全体を通して、淡々としている。あまり夫婦にも見えないのだが、互いに愛し合っているのだろう。双子がキーワードとなっていて、時折、クスリと笑える作りになっている。平凡な日常を送っている、男性諸君にオススメ。
2回観たくなる
街並みや建物は古くて暗い
毎日 同じことの繰り返し
低収入
ネガ要素が背景にいっぱい
でも2人(マーヴィンも入れて3人かな)は幸せ
互いを、日々を、とても慈しんでいる
なんでだろう?と追い続ける作品
チラッと映る制服に身を包んだ写真から、
元軍人? だから詩を書く? だから日々を大切にする?
といろいろ想像が弾ける
すンばらしい!!久々に最高傑作を観た! すべてのシーン、セリフ、表...
すンばらしい!!久々に最高傑作を観た!
すべてのシーン、セリフ、表情、光、音楽、笑顔、良いっ!
マーヴィンかわいすぎる!
ナイトオンザプラネットが大人になったような作品。ジャームッシュ監督、いいわ。素敵に歳をとっているのだなー。
まあまあだった
生活のスケッチで構成されており、ストーリー展開が弱くて物語に引き込まれることがなく眠くなる。そこは自然に丁寧に撮られてはいるもののすごく苦手なタイプの映画だった。恋人なのか奥さんなのか、エキセントリックな女性で大変そうだなあと思った。部屋を塗ったりするのを気づいてあげて褒めてあげないといけないのかと思うと極めて気が滅入る。
主人公が詩人で、バスの出発前に創作していたり、小学生の女の子と詩で交流するところがよかった。そういった面でもっと引き込んでくれれば好きな映画になっていたと思うと残念だ。犬に嫌な事件が起こるのではないかと心配だったが何もなくてよかった。
詩も毎日も同じ 272-6
毎朝同じ時間に起きて嫁にキスしてバス運転して犬の散歩してっていうルーティン化した毎日。そんな変わり映えしない日々に幸福を感じる男の一週間を切り取った話。変わり映えしない日々って悪くない、毎日が微妙に違うんだから。って映画。
久々のジム・ジャームッシュ
ジム・ジャームッシュは大好きな監督。「ダンバイロー」や「ナイトオンザプラネット」などの映像や印象深い言葉に憧れていた。このパターソンは、市バスの運転手に取り巻く繰り返しの日常の中で一喜一憂する様を、ユーモラスな面も入れながら、丁寧に映像にする。中でも各俳優の表情は素晴らしく、一つ一つの言葉も魅力的。そんな空間に接することができ、僕にとっては間違えなく楽しい時間を過ごせた。
ジャームッシュ作品の中で一番好きかも
なめらかな映像。なにも起きないイベント。詩的なセリフ。
ジャームッシュが1周回って更に円熟味が増してきた。
自分的にはジャームッシュのベスト作品かもしれない。
この映画を映画館で観れてよかった。
ルーティンの中の小さな変化
鑑賞中、気がついたらニヤニヤ、いや、ニコニコしていたことに気付いた映画なんて初めてだった。
「空白から始まる可能性もある」という長瀬正敏演じる詩人の言葉がこの作品の全てを言い表しているように感じた。
毎日が平々凡々と過ぎていくような、単調な生活であるようだが、感性のアンテナを研ぎ澄ましていれば、いろいろなことに発展していく芽が育っていることに気付く。
ローラの生活はまさにその象徴であるし、バーのマスターもそんな日常を楽しんでいる。
そんな心持ちでいると、喪失もまた出発に感じられる。
a〜ha!だからニコニコしていたんだ。
幸福
人間は幸福を求める習性がありますが、幸福とは何か、と問われるとよくわからない場合が多いかと思います。10人いれば10通りの幸福観があるでしょうが、この映画では、幸福な人生の1事例が発表されているような印象を受けました。パターソン夫妻、ホント幸せだわ。
パターソンさんの毎日はルーティーンですが、彼の内面は常に新しい出会いに満ちており、しかも詩としてアウトプットする力も備えている。なんて豊かで幸せなヤツなんだ。
感受性が強いと些細なことで揺れやすく、メンタルが不安定な人も多いですが、パターソンさんは安定している。メンタルが安定しているから仕事も続けられ、その結果経済的にも安定している。安定の連鎖!幸せだ!運転中に客の話を聞いてニヤッとする彼を見ると、基本的に人間好きなんだろうね。
そしてパートナーのローラちゃん。ラディカルで移り気、可愛いけど一緒に暮らすには癖が強くファンキーすぎるタイプだと思います。しかしパターソンさんはローラちゃんとうまくやれている。互いに欠けているものを補いあった関係のように思えて、それも幸福だ。
また、パターソンさんがギターの出費とかメシがマズいとか、結構我慢しているのもいい。でも我慢よりも愛がだいぶ勝っているので、大きな視点で見れば我慢と言っても些細なもの。折り合いながら生きる方が、成熟を促されるため長い目で見ると幸せだと思います。
細かい出会いも幸福です。詩人の少女とか、日本の詩人とか。特に後者の出会いは、パターソンさんの再生(と言うと大袈裟だが、マービンに詩のノートを食い破られるのはある意味死の象徴なので、プチ死と再生が起きている)に一役買っており、そんな白紙のノート送られたら、幸せでアーハ?って言いたくなります。
出会いには幸運な側面もあるけれど、パターソンさんは出会いを幸福なものにする能力があるようにも感じます。
そして、本作に彩りを添えているのが、いかにもジムジャーって感じのギャグの数々。ジムジャーのギャグはオチをつけてハッキリと笑いを取りに行くベタなタイプではなく、反復とかヘンなこだわりとか、後からジワジワくるナンセンスなタイプ。これも彼の作家性のひとつでしょう。
やたら出てくる双子とか、韻を踏んでいるとも言えるし駄洒落とも言えますが、「また出た」みたいな反復ギャグだと認識してます。あとあの不穏なBGMとかもナンセンスなギャグなんだと思います。
このような、意味がなくて無駄な演出こそが余裕の現れであり、その余裕も幸福に寄与してるんだな感じました。
合理性を追求し、無駄なく生きている現代社会に対して、ジムジャーは一貫してアーハ?って言い続けて来た人だと思います。そんなジムジャーの哲学が結実したような傑作でした。
個人的には、初期3部作以来の名作だと思います。
暑い夏の日、日陰で文庫本を読む。その場面を呼び起こした映画「パター...
暑い夏の日、日陰で文庫本を読む。その場面を呼び起こした映画「パターソン」。
十数年前の夏、長期ロケ先で顔見知りになった、道路工事作業の方々。毎日顔を合わせるうちに、休憩時間の談笑などして打ち解けた。
中でも、1番粋な雰囲気の男性は、無駄の無い動きで仕事をこなし、休憩時間に昼寝する人々の隣で、いつも文庫本を読んでいた。
そつない会話からも、余裕と美しさを感じた。創作の仕事をする我々よりも、よっぽど叙情的な美しい日常を送ってるであろう彼の言葉も柔らかく、撮影が終わろうしている時の「寂しくなるな。」の響きはまだ覚えてる。
パターソンに住む、主人公パターソンの日常も同様に美しく、優しい。
彼らのベッドは優しく安心感に満ちていて、私が未だ見ぬ世界だった。
未だ見ぬなのか?見られないなのか?
印象がいつまでも残る
ジム・ジャームッシュの映画はおしなべてそうだけど、細部は覚えてないけどずっと「良かった」ものとして印象に残る、これもそのうちのひとつ。
内容を一言で言えば、「幸せに暮らす夫婦の平和な1週間」
だけど、運転手をつとめるバスの中、行きつけのバー、自宅なんていういつもの場所でも、日々起こるちょっとした新しいこと。
そのうちのひとつがもしかしたら、人生を一変させるかもしれないし、何も影響しないかもしれない、そういうことは関係なしに、日々、物事は、起きる。
まさに諸行無常。仏教的な観念がこの映画にはどこか漂う。
パターソン(人)が常に寡黙で冷静、淡々と進む物語?の安心感ある軸になり、周りで面白い人達がちょっと騒いでも淡々とした雰囲気はそのまま。逆のその面白い人達が、退屈な筋に彩りを加えているともいえる。だから、淡々としていても飽きないし、穏やかな気持ちで終始観ていられる。
あれ、さっきも聞いたなこの台詞。みたいな、小さな事柄の反復、デジャヴ、妖精とか小さなおっさんがやるイタズラみたいな演出もちょっと笑えていい。
犬の表情も最高!人間みたい。
この映画も、数年…数ヶ月経ったら内容は忘れちゃうかもしれないけど、良かったという印象はずっと残るのだろうな。
人を幸福にさせる映画。
これぞ、映画!
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
「ダウン・バイ・ロー」
「ナイト・オン・ザ・プラネット」
「デッド・マン」
「オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ」
そして、
「パターソン」
ジム・ジャームッシュ。大学生の頃からずっと観続けています。この人、本当にいい映画を撮ります。今後も宝石のような映画を撮り続けてほしいものです。「映画界の良心」、ですね。
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