トッド・ソロンズの子犬物語のレビュー・感想・評価
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シンプルで挑発的。一筋縄ではいかない純真さと悲しみが際立つ。
冒頭の“雲の形”からして非常に挑発的だ。この人、まったく変わってないなと嬉しくなる。そんなソロンズ映画ではいつも、社会の回転速度から弾き出された特異なキャラクターたちが、自分を偽らず、それぞれのやり方でなんとか人生と折り合いをつけようとする姿が描かれる。一つの物語を垂直に掘り進めるのではなく、複数のキャラを空間的に捉えて点描するところも特徴的。今回だって一見バラバラなオムニバスの物語が、不意に同一のテーマ上で繋がっているように見えてしまう不思議さがある。ポイントは“ダックスフント”。これが各キャラに寄り添い、その人の心を代弁し、過去や先行きを象徴するメタファーとなり、時に身代わりとなり・・・。そのいたいけな存在、愛らしい視線が介在することで、純真で、逃げ場がなく、どこか悲しく、生きにくさに満ちた人々の物語は仄かな強度を持ち始めるのだ。ただし愛犬家には強烈すぎる場面もあるのでご注意を。
ソロンズは、ひたすら誠実に世界を見つめている。
犬好きの人にはご愁傷様ですが、ソロンズが普通に感動の動物ものを撮るわけもなく、絶望ワールドが淡々と綴られる通常営業のソロンズ節だ。
だがソロンズを「悪意のひと」と捉えるのは違うのではないか。確かにどのエピソードも人間のろくでもなさをえぐって陳列している。が、そこには世の偽善への怒りが感じられ、その上で個人を善悪でジャッジしない公平性をも獲得しているのだ。
とりわけ過去作で酷い目にあわせまくったドーン(本作ではグレタ・ガーウィグが演じた)にあんな甘酸っぱい瞬間を与えるなんて、そりゃ反則だろうと悶絶するくらい一本取られた。観客を嫌な気分にさせたいだけの監督ならあんなシーンを作れるだろうか。
この世はとかくクソ。それがソロンズから見た世界の姿なのかも知れない。しかしクソ溜めにも小さな花が咲くことはある。すぐ枯れる花だったとしても、やはりそれは等価なのだと教えてくれる映画でもあるのだ。
とぼけた感じの露悪趣味。個人的には好き
ダックスフンドを英語で「wiener dog(ウィーンの犬)」ということを、本作の原題で知った。この呼び名をひっかけた下ネタの駄洒落が作中で繰り返されるのがガキっぽくて笑えるが、日本人にはいまいち乗り切れないか。
「ダークホース リア獣エイブの恋」もそうだが、トッド・ソロンズ監督の作品は、観る人によって好き嫌いが分かれる。人間の醜い面、ダメな部分を敢えて見せる、露悪趣味的なスタイルや、微妙な後味が、メインストリームの娯楽映画とは確実に異なるから。
それでも、ダックスフンドをバトンのように引き受ける主要人物4人(およびその周辺の人々)の、狂気というほどではないが少なからずズレた感じや、こじらせ具合から、オフビートな笑いが生まれ、そうした笑いの合間に人間の真実が垣間見えてくる。
グレタ・ガーウィグの天然な感じが、昔の恋をこじらせている獣医役にぴったり。彼女だけでも観る価値あり。
やっぱりいいわー。登場人物がみんなキモかわいい!見ていてイライラ、...
やっぱりいいわー。登場人物がみんなキモかわいい!見ていてイライラ、モヤモヤ、でも目が離せない。こういう奴いるなー、見かけたら目を合わせたくないけど気になってしまうなー。心を広く持つ修行になりそう。
あと他のレビューで言われてるほど不幸だらけじゃないじゃん。じゅうぶんハートウォーミングだったと。
シュール過ぎるでしょ…
映像が綺麗で好きだけど。
ブラックユーモアたっぷりというよりシュール過ぎてついていけなかった…
笑えなかったよ?
最後も恐ろしくて半目で観た…
まぁ映画自体が面白くないのでは無く私が分かって無いだけだろう。
わんこの平坦な大冒険?
一匹の犬が辿る人間世界の出会いと別れの話
この作品はブラックユーモアで溢れている。
主人公の犬(ダックスフント)は飼い主を変えながら安息の地を探す旅をするのだが、行く先々でアクシデントに遭遇してしまう。
犬の存在感と可愛らしさは素晴らしかった。特に喜んだり、悲しんだりせず淡々と出来事に身を任せて表情も変わらないのだが妙に愛らしいのだ。
ただ居るだけので癒される存在だが人間に振り回されて不憫でもある。動物をペットにする事の問題点を監督は描きたかったのかも知れない。
避妊手術をしたり爆弾を付けられたり、人間の都合で物事が進むのだが、犬はマイペースで落ち着いているのでなんとも不思議な雰囲気の映画だった。
犬以上に不憫なそれぞれ病ん飼い主たちもどことなく憎めない人ばかりだ。
この作品は犬の物語であると同時に飼い主の物語でもある、犬以外の共通点が全くなくそれぞれ独立したストーリーの短編が続いていく作風で一つ一つの話が個性的だ。
病気の子供
保健所の女医
映画の教授
最期が近い老婆、
どの人物も個性的であり現状に不満が有り、もんもんとした生活を送りながらも犬との出会いで癒しや踏み出す勇気を与えられる。
それらの出来事を全然ドラマチックに描かず、平坦に話が進むので若干眠くなってしまったが終盤のある出来事で一気に目が覚めた。
えげつないほどのリアルさで映したこのシーンは誰もが驚愕するだろう。
ブラックユーモアと言われてもこの展開を笑える人がいったいどれだけいるだろうか。鑑賞後、微妙な気分で家に帰った。
犬を飼っている人にはおススメできないが、何ともゆるい雰囲気の脱力系映画を見たいと思う人にはいいのかも知れない。
かわいいとかわいそうを一気に味わえる作品だと思った。
劇中セリフより
「『もしも、どうする』を考えろ」
物語を作るに必要な事
このセリフを言った教授は、生徒から完全になめられているし脚本家としてもダメダメで、最後は過激な行動に出てしまう。
存在意義を見失わないようにしていきたいと思った。
かなりブラック。淡々と切り取られる人間模様。
【賛否両論チェック】
賛:ちょっと変わった飼い主達が巻き起こす人間模様がシュールで、思わず笑ってしまう。
否:ストーリーそのものはかなり淡々と進み、なおかつ笑いもシュールなので、惹かれないと眠くなること必至。汚物のシーンなんかも、かなりリアル。
1匹のダックスフンドの半生を通して、行く先々で出逢うヘンテコな飼い主達の巻き起こす人間模様が、妙におかしくて笑ってしまいます。子供に“避妊”の解説をしたりする母親や、ひたすらに“もし・そうなら”を乱発する脚本家崩れの大学講師等々、笑いのポイントはかなりシュールなので、好みは分かれそうですが。
ダックスフンドはメチャメチャ可愛いんですが、それにそぐわない内容で、それがまた奇妙な笑いを誘います。
笑うに笑えない。でもクスッと笑ってしまう。そんなブラックユーモア満載のコメディです。是非チェックしてみて下さい。
立ち直るのに時間のかかる重いパンチ喰らった
んだよそれ…って声に出してしまった、ごめんなさい
0か100かの乱暴な仕分けをするなら、一見するとそれが純真さや優しさであっても、人間のエゴなのかもしれない…
そう分類されると、どんな悪党のやっていることも、とても優しい人のやっていることも同じものに見えてしまう
なんだかもう、誰かのためと思ってやっていた自分の行動さえ、その根幹には自分のためという思いがあるような気がしてきた
本当にピュアなものとは、それらに振り回されるあのワンちゃんのような存在だけなのかもしれない
これはちょっとしんどい…
自分を含めた人間不信が心の深いところに残りそう
わからない…
このノリは理解不能…眠気を誘われました…。
ほとんど、犬、絡んでないし。まの長いシーンが続くのが意味がよくわからない。無駄な間合いに感じてしまうし…ラストのビックリな結末も悲しすぎる。子供用映画かと思ったら全然違いました。邦題難し。
やっぱりいいわー。登場人物がみんなキモかわいい!見ていてイライラ、...
やっぱりいいわー。登場人物がみんなキモかわいい!見ていてイライラ、モヤモヤ、でも目が離せない。こういう奴いるなー、見かけたら目を合わせたくないけど気になってしまうなー。心を広く持つ修行になりそう。
あと他のレビューで言われてるほど不幸だらけじゃないじゃん。じゅうぶんハートウォーミングだったと。
終始ニヤニヤ
トッド・ソロンズ映画は15年位前に観た「ハピネス」以来だったが相変わらずブラックで最高だった。
「ハピネス」は一緒に観た女性が引いていたことまで思い出した。
マコーレー・カルキンの弟(ファーゴ2にも駄目な役で出てた)や、ガールズのショシャンナ役の子も出ていて海外ドラマ好きには楽しいかも‥
ラストは大部分の人が嫌悪感を示すだろうが、トッド・ソロンズだからしょうがない!
個人的には今年観た映画で一番好きです。
ブラックまた来た!
彼の作品らしくブラックネタ満載でしたが、今回は人間ではなく犬がメインキャラ。でもタイトルにつられて犬好きが観にくると、苦い空気になること間違いないです。しかしこの監督の思考はどうなってるんでしょう?良くも悪くもまさに奇才です。嫌いではないですけど、内容を確認してから見てほしいです。
引きつり笑い
「トッド・ソロンズの」って書いてあんじゃんって突っ込みは無粋なのか
みんなわかってて言ってるのかプロレスなのかそうなのか
なんで俺がトッド・ソロンズの映画を観に行くかを言い訳したい
人が嫌がるものの良さがわかる俺マジサブカル〜とかやりたいのではなくて(太字)
気分悪いとか絶対無理とかそういうのにかき消され気味だけど
映画としてのルックがめっちゃ豊かでしょ?と言いたいの
リースのシールが貼ってるパソコンとか教授の部屋のポスターのそれっぽさとか各人の部屋の感じとかちょっとほんの短いショットなのに意識し始めるとそこにいる人の事考えさせられる小道具群
その中で生きている人たちの演技と顔の絶妙さ加減
いるいるこういうやつ!そうそうこういう顔してる!
そしてなんかすーごいその人が言いそうなそれっぽい台詞のオンパレード
数年前に一本だけ脚本してあとは鳴かず飛ばずの映画学校の教員なんてど〜う見たって
数年前に一本だけ脚本してあとは鳴かず飛ばずの映画学校の教員にしか見えないもん
ライティングもいいし環境音の使い方もいい
肝心なのはどれも主張しすぎないけど確実に演出の意図が行き渡っててすごい良いんだ
ただ劇伴は露骨過ぎると思う
以上
あとグラサンのおばあちゃんの白昼夢
こんなにエモーショナルなシーンってそれまでありましたっけ
そのあとのあれで俺は、笑ったよひどすぎて
ファンタジーは死ね
ふ〜ん
エレン・バースティンの名前が懐かしくて見に行きました。
お話は子犬が繋ぐ物語っていうことでしたが、本当に子犬は狂言回し、ストーリーに絡んでいたのは最初の子供の話だけでしたね。
この監督はそんなに犬は好きじゃないとみた。
クスクスっとするところは随所にありますが、基本的に世の中甘くないっていうスタンスで、作り物にありがちな救い的なものは拒否してるんでしょうね。
だから見終わった後の感じが決してよくないのです。
仮に容赦ない結末でも、自分の人生に食い込んで来て、後まで考えさせられたりっていうっこみもない。
と言って金返せっていうものでもないです。
映画をなんで見に行くのかということを考えさせられましたね。自分は映画に何を求めているのだろうかと。
エレン・バースティンにお会いできたのはよかった。
彼女が70年代にギリシャ悲劇の現代版みたいな多分ギリシャ映画に出ていたのを見て、あまりに強烈で気になる俳優になってました。
エクソシストに出ていたことが後からわかり、ホラーは絶対見られないのに、意を決して見に行った。そのおかげでエクソシストは単なるホラー映画ではなかったことがわかったんですね。観客を驚かすことを目的に全くしてなかった。というのは悪魔に取り憑かれた女の子は突然画面に現われたりしないんです。必ず階段を上がってドアを開ける。だから私はドアを開けるとかならず目をつぶっていたので怖いシーンは見なくて済んだ。その時、本当にオカルティズムを題材にした映画なんだとわかりました。
でも、エレン・バースティンの記憶はあまり残らなくて、その後彼女を見ることもなかった。それからもう35年は経ってると思いますから、彼女も随分年をとりました。
ずっとサングラスのままかと思ったけれど、メガネ外した時の目の表情がなんとも言えず深かった。エクソシストの時もお母さんの不安と愛情を目で語っていたことが思い出されました。
あぁ、まんまと
邦題とブラックコメディだという情報にまんまとだまされた。
待てども笑えるシーンが全くなく、最後は後味も悪く終わった。
後で知ったがトッドソロンズ監督は「人を幸せにしない映画」を撮らせたら右に出る物はいないとの評価が…、まさにその通り。
邦題を付けた人にもその意図を感じる。
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