僕と世界の方程式

劇場公開日:2017年1月28日

僕と世界の方程式

解説・あらすじ

「ヒューゴの不思議な発明」「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」のエイサ・バターフィールド主演で、国際数学オリンピックで金メダルを目指す天才少年を描いたドラマ。自閉症スペクトラムと診断されたネイサンは、他人とのコミュニケーションは苦手だが、数学に関してはずば抜けた才能を持っていた。普通の学校では適応できない息子の才能を伸ばそうと、母のジュリーは数学教師ハンフリーズに個人指導を依頼。ネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれるまでになる。バターフィールドが主人公ネイサンを演じ、エディ・マーサン、レイフ・スポールらが脇を固める。

2014年製作/111分/PG12/イギリス
原題または英題:A Brilliant Young Mind
配給:レスペ
劇場公開日:2017年1月28日

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(C)ORIGIN PICTURES (X&Y PROD) LIMITED/THE BRITISH FILM INSTITUTE / BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2014

映画レビュー

5.0なかなか素晴らしい作品

2025年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

原作はない。
この作品の原題「X₊Y」
とてもシンプルで、この作品の上手に表現している。
しかし、日本では「売れない」感じがする。
邦題は主人公ネイサンが母や他人、そして社会などと関わろうともがく雰囲気が伝わってくる。
そして、ここがこの物語の着地点だったのだろう。
先天性である発達障害のひとつ、自閉症スペクトラムは、遺伝に関することなので、ネイサンの「それ」を治療することはできない。
しかし、健康であっても自分自身の性質や性格を修正するのは非常に困難なことだろう。
それは単に個人的特徴として受け入れられることが多い。
その枠を超えると、このような名前が付けられる。
つまり、「お前は病気」だとレッテルが張られる。
逆に言えば、病気であるがゆえに社会的に許される特権が与えられることになる。
このような人たちの中には、一般的にサヴァン症候群と呼ばれる特殊能力を持つ人たちがいる。
あのモーツァルトもそうだと言わている。
しかしこの物語のサヴァンという言葉は登場しない。
それは、映画の主題が「ラベル」ではなく「理解」にあるからだろう。
ネイサンを「サヴァン」として描くことで彼を特別視するのではなく、彼の視点から世界をどう感じているかを観客に体験させることが目的なのだと思われる。
ネイサンの人間的な成長や他者との関係性を描くことに重点が置かれており、診断名よりも個人としての彼の内面や経験が中心としたい制作側の強い意志を感じた。
レッテルトラベル付けされたネイサン
彼はしょっちゅう父を思い出す。
まだ5歳くらいの時期に感じた父と母
母に感じた「世話役」に対し、父から流れてくる温かみのある何かを感じていたのだろう。
それがケチャップを鼻血に見立てててポテトを鼻に突っ込んだことだった。
彼の「列車」も父からのプレゼントだったのだろう。
それをお祝いとしてでも、無断利用されたことに怒りを覚える。
ネイサンは絶えず自分とそれ以外とを区別したいのかもしれない。
食への拘り
エビボールの数 素数
おそらくそれは父が店側に依頼したものだったのだろう。
母がそれを依頼するとき発生した店側とのギクシャク感は、そのまま母とネイサンとの関係を表現している。
ネイサンは絶えず「選択」している。
そこに妥協がないので他人とはうまくコミュできない。
そしてネイサンにとって一番わからないのが自分の気持ちなのかもしれない。
さて、
映画にありがちな設定
この数学が得意な集団は、他人から見ればそれだけで「変」だ。
そこに各々の性格が加えられると、おかしな連中に見えるのは間違いない。
そして自閉症スペクトラムと診断されたネイサンもまた変な人だが、何故かモテてしまう。
この部分には村上春樹さんの世界観を感じてしまう。
自分を卑下する主人公が何故かモテてしまう。
合宿に参加したメンバーの中で最も一般的だったのがチャン・メイ
同様にレベッカも一般的に見える。
レベッカの嫉妬 引率係の叔父に二人のことを密告した。
チャン・メイは叔父と喧嘩して大会に出場しなかった。
レベッカは自分がしてしまったことを後悔し、その事をネイサンに話した。
物語としては良くまとまっていた。
そうして集中できなくなってしまったネイサンは会場から出て行ってしまう。
ネイサンは、出された問題の「列車」から父を回想し、当時の事故まではっきりと思い出した。
ネイサンの頭にあったのは父で、父の葬儀の時も反対方向に走り出してしまうほど、本当はそれ自体を受け入れられなかったのだろう。
それを彼はしょっちゅう思いだしていた。
ただ彼には、父の事故が自分にとってどういったものなのかが理解できなかった。
喪失
おそらくネイサンは、父の死を自分自身の心の喪失だったことがようやくわかった。
会場を出て中華料理屋に入ったネイサンを母が追いかけてきた。
母はネイサンの気持ちにようやく寄り添うことができたのだろう。
ネイサンも父の死が自分にとってどんなものだったのかを初めて言葉にできたことで、自分の中の心の壁を一つ乗り越えられた。
母は次にチャン・メイについて尋ねた。
ネイサンは「恋」についての方程式はわからないと答えるが、母は「理解できた人はいないわ」とニクい言葉を遣う。
人の心や気持ちは絶えず変化する。
まさに変数であり「X」であり「y」だ。
この無限の組み合わせとつながり
なかなか素敵な作品だった。

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R41

2.0自閉症の少年の成長物語

2025年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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odeonza

4.0【自閉症スペクトラムの少年が、父を亡くした哀しみを抱えつつ国際数学オリンピックに出場する様を描いた物語。初めての恋に戸惑いながら、好きな女の子を追いかける姿は、沁みます。】

2024年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■大好きな父マイケルを事故で亡くした少年、ネイサン・エリス(エイサ・バターフィールド)は、自閉症スペクトラムの特徴である、他者とのコミュニケーションが苦手な反面、飛び抜けた数学の才能を持っていた。
 国際数学オリンピックのイギリス代表チームに選ばれたネイサンは、ライバルの中国チームの少女、チャン・メイと出会い、今まで経験のない気持ちに驚いて行く。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・私は、バリバリの文系だが、何故か数学が好きである。今作でも台詞で出るが、二次方程式や因数分解の式は美しいと思うし、結構難しい問題が、上手く解けた時なんかは気持ちが良いからね。

・今作では、ネイサン・エリスを始め、国際数学オリンピックに出場する少年少女がドンドン出て来るから、言葉だけは知っているフィボナッチ数列を、一発で見抜くシーンなんか、感動しちゃうんだよね。

・ネイサンが、母(サリー・ホーキンス)と数学を教えてくれた自身も難病を抱えるハンフリーズ先生(レイフ・スポール)との間に芽生えた微かな恋心に敏感に気づき、反抗的な態度をとっても、母もハンフリーズ先生も、彼の事を考えてとても優しいんだよね。
 この辺りは、名優の二人がとても自然に演じていて、素敵なんだよね。

・で、ネイサンが台湾での合宿で出会った、強豪中国のコーチの娘チャン・メイと、徐々に親しくなっていく様も良かったな。
 それまで、経験した事のない気持ちに、自閉症スペクトラム故に、上手く対応できないんだけれども、そんな姿も何だか愛おしいんだよね。

<そして、二人はギコチナイキスをするのだが、チャン・メイは父に見つかって、レギュラーを外されてしまうんだよね。
 けれども、ネイサンは会場を飛び出して、優しい母と話してから自分の気持ちを伝えるために、母の車でチャン・メイを追うんだよなあ。
 そして、二人は列車の中で仲良く会話するんだよね。
 今作は、自閉症スペクトラムの少年が、父を亡くした哀しみを抱えつつ国際数学オリンピックに出場する過程の中で、出会った女の子と恋するとても気持ちの良いラストが見れる逸品なんだよね。>

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NOBU

4.5邦題からは想像できない繊細さ

2022年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ピントをぼかした映像、ガラスについた水滴ににじんだ信号機や町の原色系の光。
Keaton Hensonの楽曲。
ネイサン役のエイサ・バターフィールド、母親ジェリー役のサリー・ホーキンス。
そして脚本。
すべてが繊細な物語に、欠かすことができないものばかり。
自分のために書かれたような小説、という誉め言葉があるが、
これは、まさにその映画版。
自分のために作られた映画だと感じる人にとって、
かけがえのない映画になることは、間違いのないことだろう。
この映画に出会えたことを、幸せに思う。

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マツドン