ブルーム・オブ・イエスタディ
劇場公開日:2017年9月30日
解説
「4分間のピアニスト」のクリス・クラウス監督が、ホロコーストという重い題材をユーモアや恋愛要素を交えて描いた恋愛映画。祖父がナチスの戦犯で、その罪と向き合うためにホロコースト研究に人生を捧げる研究者のトト。祖母がナチスの犠牲者となったユダヤ人で、親族の無念を晴らすために、ホロコースト研究に青春を捧げるインターンのザジ。きっかけこそはまったくの正反対だが、同じ目標のためにアウシュビッツ会議を企画することになった2人。人付き合いが苦手なトトはザジに激しく反発するが、風変わりなザジの独特なユーモアに生きる力をもらう自分に気がついていく。トトとザジは自分にない何かを求め合うように、次第に強く惹かれあっていく。主人公のトト役に「アクトレス 女たちの舞台」「パーソナル・ショッパー」のラース・アイディンガー。ヒロインのザジ役に「午後8時の訪問者」のアデル・エネル。2016年・第29回東京国際映画祭のコンペティション部門で最高賞の東京グランプリおよびWOWOW賞を受賞(映画祭上映時タイトル「ブルーム・オヴ・イエスタディ」)。
2016年製作/123分/R15+/ドイツ・オーストリア合作
原題:Die Blumen von Gestern
配給:キノフィルムズ
スタッフ・キャスト
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ホロコースの映画、と聞くと、立派な内容なんだろうなとバカみたいなことを思いながら、どこか重苦しさを感じて観るのを躊躇したり、どこか「勉強」するような気持ちで足を運んだりする。歴史物の中でもとりわけ深刻な題材だからだ。
ところが現代を舞台に、ホロコーストの被害者と加害者それぞれの孫がドタバタな恋模様を繰り広げるコメディ仕立て、というかなり斬新な映画が現れた。
主人公の男女が不安定だったりエキセントリック過ぎたりしてついていけない人もいる気がするが、実はそれも、世代を重ねてもホロコーストを受け止められない結果とも言える。この映画が持っている躁鬱的なノリは、歴史的な悲劇はただ振り返ればいいのでなく、今に繋がっているのだと気づかせてくれるのだ。
ホロコースト映画という括りそのもをひっくり返す、まじめにふざけた現代の物語に仕上がっていて、歴史物に新たな可能性を拓いた功績も大きいのではなかろうか。
2020年11月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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公開時から気になっていた作品。
ホロコーストを現代を舞台にして描くその試みは評価したい、したいのだがあまりにも残念な内容。
コメディとなっているがどこがコメディなのだろうか。
主人公2人がとにかくヒステリック。ザジは何度も自殺未遂を繰り返し、犬を窓の外に放り投げたりする。
それぞれ一族の過去を抱えて向き合おうとしているという設定なのだろうが全てそのせいにしてはいけないと思う。過去と結びつけすぎではないか。
そんな2人が惹かれ合うのだが、厄介なことにトトは既婚。そしてザジはインターンに来た研究所の所長でトトの同僚と不倫関係にある。
2人はしょっちゅう癇癪を起こす。
こんな設定でどうして映画の世界に入り込めよう。
映画館で見ていなくて良かった。
2020年10月11日
Androidアプリから投稿
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ホロコーストについて、二人がもっと真剣に語り合うのかと思いきや、意外とそうでもない。
真面目で不器用で研究に偏執狂的なトトが、ヒステリックでおつむの弱いインターンのザジにひたすら振り回される。
自由に振る舞う開放感をザジに教えられ、妻の不逞を堂々と許している理由を明かして二人は結ばれるが、その展開にどうも無理を感じてしまう。
それまでトトはザジのセックス妄想に辟易していたし、はっきりいって奇行のほうが上回ってしまって、二人の男から求められるほどの魅力があるように思えない。
実はネオナチでしたというトトが贖罪を抱くほど、ザジが先祖の歴史を背負っていたとも思えないし、またザジがトトの子供をこっそり産んでいた動機も理解しがたい。
トトが好きだったのではなくて、自分が何か成し遂げた証として、ナチとユダヤ人の融和の存在としての子供が欲しかっただけではと疑ってしまう。
トトにもザジにもすっきりと感情移入できなかった。
2019年4月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
祖父の戦争犯罪で孫までトラウマに陥ってしまうなんて想像しづらい。やり過ぎな気もしないでもない。