アシュラのレビュー・感想・評価
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暴力と恫喝と焦燥が生み出す戦慄と笑い。
韓国の犯罪映画の多くは一触即発の緊張感をはらんでいるが、本作はそれが二倍三倍に濃縮されて2時間以上ずっと持続する超濃厚仕込みだ。
ギスギスした陰惨な内容ではあるが、これだけは言っておきたい。確かにろくでもない人間が騙し合いどつき合い殺し合う映画だけれど、最高に笑えるブラックコメディでもあるのです、と。
とりわけスゴいのが街を牛耳る悪徳市長を演じたファン・ジョンミン。私利私欲のためなら恫喝や暴力だけでなく、土下座もすれば自らを傷つけることも厭わない。これほどなりふり構わない悪党も珍しく、大袈裟でなく『ダークナイト』のジョーカー以来で映画の悪人像を更新したと思う。
実質的な主人公であるチョン・ウソン扮する汚職刑事も、破れかぶれ過ぎる中盤のカーチェイス以降は本当に何をしでかすかわからない。これほどまでに出演者全員が大熱演して、それが作品の個性と勢いとユーモアに繋がっている。おみごと!
後半の血みどろ殺戮の印象しか残らず
予告でファンジョンミンの悪徳市長姿、チョン・ウソン、チュ・ジフンなど豪華名俳優揃い踏みで「面白そう!」と新宿シネマートへ。後半の血みどろ殺戮のイメージが強すぎて、それ以外はストーリーの印象残らず。抗争ものバトルアクションが好きな人にオススメ。銃器だけでなく、韓国映画と言えばの斧や肉包丁入り乱れての半端ない乱闘がこれでもか!と繰り広げられます。
ファンジョンミンを見る映画
極悪非道なファンジョンミンに価値があります。
後輩の子が悪に落ちていく描写にもうちょっと旨みがありそうだったから、丁寧に描いて欲しかったけど、とにかく最後みんなで殺し合いだけ、決まってるから、そこに行くための映画なので、あまり深くなくて良いんだろうなとも思いました。
検察の人のくだりもなんだろう、もっと欲しかった。
韓国ノアールをみすぎたのか、なんでだろ、物足りなかったです。
欧米ではやや評価が低いようだ
この映画がこうまで日本人や韓国人の心に響いてくるのは ラストの音楽の力のおかげであろう。 この音楽は多分 欧米の人の心には響かない。 主人公の陥ってしまった悲劇がこの音楽によって見事に表現されていて 見終わった後にすごい映画だったという 塊のようなものが 心に残った。
一方で冷静に考えてみると これはとても無理のある ネタだ 。こんな状態にはまったら 主人公は助からない。どう考えても助からないから、脚本家が 諦めて 主人公に自爆させた・・・という しょうもない結末だ。 なのに こんだけの作品になっている、もう一つの要素はクライマックスの威力だと思う。映画というものは クライマックスがしっかり作られていると それまでの経過は多少 どうでも良くなる。観客は 魔術にかかったように感動してしまうものだ。
とはいえ、この映画から伝わってくるものは単なる感動というものではない。 もっと 何かわだかまりのような、喉にモノが詰まったような 妙な感慨のようなものだ。そしてこの感慨もまた欧米人とは共有できないものなのかもしれない。
こういうところに身を置いたら こういう ハマり方をして逃げられない・・という意味では セルピコ
仁義なき戦い
不夜城
を彷彿とさせるものがあった。松本清張 作品 なんか読んでいると市議会議員≒ ヤクザという設定がよく出てくるが当時は 市長 でもそんなもんだったかもしれない。 そして 韓国では今でもそうなのかもしれない・・とかいうことをちょっと思った。
全員クズ。実に面白かった。
アウトレイジ風のキャッチコピーを付けさせてもらえれば"全員クズ"と言った感じか?素晴らしく良く出来ている韓国ヤクザ映画(表向きの職業は政治家だったり検察だったりするがやっていることは昔の日本のヤクザと同じ)。登場人物が全てクズで、皆やたらキャラが濃いが、中でも市長役の俳優の演技が素晴らしいと思った。車を使った場面(カーチェイスとか、人を轢き殺すところとか)が実にリアルで見応えがあった。
【“こうなる事は、分かっていた・・”と血の海の中、元刑事は虚ろな表情で言った。極悪な市長に呑み込まれて行く元刑事、検察官が辿った修羅の道を描く。観る側に強烈なインパクトを与える、韓国ノワール映画。】
■狂気の極悪市長を演じたファン・ジョンミン、病に臥せる妻のために、市長についたハン・ドギュン刑事を演じたチョン・ウソン、ドギュン刑事を慕っていたが、彼の勧めにより、悪の道へ落ちたソンモ刑事を演じたチュ・ジフンら豪華俳優が血まみれで、競演した強烈すぎる韓国ノワール映画。
ー 架空の街・アンナムを舞台に、再開発の利権をめぐり狂気に走るハク・ソンベ市長(ファン・ジョンミン)と利用される刑事たち(チョン・ウソン、チュ・ジフン)。
そして彼らを執拗に追う検事チャイン(クァク・ドゥオン)たちが繰り広げる、カーアクションやバトルが壮絶過ぎる・・。-
◆感想
・極悪市長ハク・ソンベを演じた、ファン・ジョンミンの演技が凄い。平気で、嘘の涙を流し、裏では非情に徹し、長年自らを支えて来たウン室長を、保身のためにソンモに殺させる。
全く目が笑っていない笑顔を湛え、市民の前では大仰なプレゼンをし、最後は、決して手を出してはいけない筈の、検察官まで平気で殺める姿。
権力に憑りつかれた狂人を見事に演じている。
・妻の入院費を稼ぐため、ハク・ソンベ市長の様々な悪事の後始末をする、ハン・ドギュン刑事を演じたチョン・ウソンも、それまでの作品での”良い人オーラ”を封印し、”検察と市長との間で板挟みになっていく男を好演している。
・カーチェイスシーンも、尋常でない緊迫感である。
ー 消防法の規制の違いもあるのだろうが、雨降る夜のカーチェイスシーンのスピード感溢れる迫力は尋常ではない。-
・現役刑事時代には、ドギュン刑事を慕っていたが、彼の勧めにより、悪の道へ落ちたソンモ刑事を演じたチュ・ジフンの、徐々にドギュン元刑事を軽んじるようになっていく姿。彼も又、権力と金の欲に溺れた一人である。
ー だが、彼は最後の最後で、ドギュン元刑事に対する情が出て、命を落とす。その姿を見たドギュン元刑事が、覚悟を決め、極悪市長を殺しに行くシーンの緊迫感や、極悪市長に屈していく検事チャインの姿も、印象的である。-
<ラスト、殺されたウン室長の葬儀場での、検察、市長、元刑事たちの醜いまでのやり取りは、手に汗握る。
そして、最後に極悪市長の額に銃弾を叩き込んだハン・ドギュン元刑事が、息絶え絶えに言った言葉。“こうなる事は、分かっていた・・。だけど、しょうがねえ・・。”
鑑賞後の気分は決して良いとは言えないが、観る側に強烈なインパクトを与える、韓国ノワール映画の逸品であろう。>
何も残らない
市長がヤクザの親分さん?
かと思う様な展開で一番のグズ男
この男のせいで皆の人生を破滅に追い込む
story的には普通なんだけど
演じている俳優の皆さんが素晴らしい
観ていて飽きない深さがある
カーアクションにしても、もう凄い
としか言いようがなくて見応えがあった
チョン.ウソンは様々な顔を見せてくれる
ほとんどの韓国俳優は映画ごと全く別人になる!
俳優を観たいから映画を観ようと思わせられることは最近ほとんどないが韓国だけは違うようだ。
いやあ、『無垢なる証明』で本当に正義感溢れて、こんないい人が世の中にいるんだって涙させてくれた、チョン・ウソンが、こんなクズな悪徳刑事を演じてるなんてびっくり!チョん嘘ん。
同じ顔と背丈の人間なのに全く別人にしか見えない。
恐るべき韓国俳優の演技力!とにかく見比べてみればわかる。
あるいは、ファン・ジョンミンはどうだ?
この映画では、クズ・オブ・クズスとして腐敗都市の市長を演じているが、クズ演技の見本!本当に笑えて仕方ないほどに面白い。
かと思えば、『国際市場出会いましょう』の韓国製フォレスト・ガンプとして純粋で愚鈍な青年を演じて、本当にいい奴にしか見えないし、『工作 黒金星と呼ばれた男』では、北朝鮮の政治スパイを演じ苦境に立たされても、敵国の北朝鮮で親友をつくれるほどの正義感と人間味あふれる演技。全く別人。
検事役のクァク・ドウォンは『コクソン』で間抜けでマザコンな地方の警官を演じていてバカにしか見えないのに、この映画では、本当にエリート然とした太々しく偉そうなオーラを漂わせて威厳たっぷり。これまた別人だ。
顔がいいのでカッコいいお兄さんのイメージが張り付いてしまいそうなチュ・ジフンは『神と共に』シリーズで、イケメン優男として地獄で無実の人を弁護して救うヒーロー役で、やっぱりカッコいいお兄さんだったのが、この映画では、ただの馬鹿な若手警官を演じていて、悪にズブズブ染まっていく様は本当にアホでダサくて醜くて、これもなかなかの別人ぶり。ファン・ジョンミンとのもう一つの共演作『工作 黒金星と呼ばれた男』では、悪い悪い北朝鮮の高官を演じて、カッコいいお兄さんぶり、この映画のようなアホで間抜けな新人ぶりは微塵も感じさせない。この人も素晴らしい。
とにかく、韓国映画は、俳優が素晴らしい!!
俳優の別人ぶりを映画で観ることは、その映画を観たいと思わせるもっとも大きな要素の一つであり、そのことを何度も確認させてくれるからすごい。
『サハラに舞う羽根』の若く闊達とした士官と『ダークナイト』の狂って絶叫するジョーカーのヒース・レジャーの別人ぶりや、『フィラデルフィア』の正義感あふれる本当にいい人の弁護士と『トレーニング・デイ』のとんでもなく陰湿で観ていて腹が立つ悪徳警官のデンゼル・ワシントンの別人ぶりも素晴らしいが、韓国映画はびっくりするぐらい別人ぶりを演じる俳優が多くて本当に面白い。
あと、韓国ドラマの『梨泰院クラス』で巨大居酒屋チェーンの権力欲の塊のクソ社長ぶりを見事に演じたユ・ジェミョンが、『ヴィンチェンツォ』という、ドラマ自体は観てないのだが、そのいい人弁護士の演技で圧倒的な別人さ加減が一目でわかる映像が出回り、韓国俳優陣の恐るべき演技力の高さを証明する映像は非常にわかりやすいので参考としてオススメ。
血生臭さ、誰もが自己中、無法地帯!
この評価ですが、2時間越えの長編にもかかわらず面白く最後まで見られました。何よりファンジョンミン、チョンウソンの演技が見事!悪役のクレージーさ、やさぐれ刑事のブチギレ具合、素晴らしい。カーアークションのシーンはカメラワークがすごく緊張しながら見てまいました。
そこまでいるかという血生臭さ、検察も役所も警察もありえないくらいのアウトローさ、全登場人物の自己中さがあまりに非現実的で評価を低くしました。個人的にチョンウソンを日本の俳優で演じ変えるなら西島秀俊かと思いながら見てましたが、こんな演技が見られるだろうかと考えると韓国俳優の技量の高さを感じてしまいました。
哭声からきました
あっちの主人公と祈祷師の人がこっちにも出てるのかっていう動機からなんとなく。
前半ははっきり言って退屈で、後半というか終盤の展開が秀逸な作品だった。
つまりジレンマに苦しむ主人公が、ある瞬間にキレて、そっからの展開がヤバいっていう。
特にラストの葬儀場のくだりは最高で、全員が一皮剥けばクズだったっていうね。
あとはクルマの内と外をシームレスに撮るっていう、カーチェイスのシーンは斬新だったと思う。
ブチ切れて観客を追い抜く爽快
1シーン1喧嘩に辟易するも、終盤の超過剰に驚いた。
全お膳立てをぶち壊す過剰を目指したなら大成功作だろう。
北野レイジより池田敏春の人魚伝説を想起。
群像がブチ切れて終いに観客を追い抜く爽快を目指したなら大成功作だろう。
肝っ玉は小さかった刑事の逆ギレ映画
市長の為に手を汚す刑事ドギョンが、検察側にも弱みを握られ四苦八苦する話。
どちら側にも余り媚びを売らず、大胆な事も出来ずにいた刑事が肝っ玉は小さいものの、逆ギレ感満載で市長と検察側両方の役割をこなそうとする姿は、(結果はこなしてないが)映画としては何故か新鮮である。
「もう、板挟みには耐えられません💦」
途中でこの言葉にするドギョンとそのシーン。
笑える。
その後は殺戮映画と化した所も流石だが、もう少し検事を使ったり面白さも出せたと思うのだが、結果が淡白になってしまったのが残念だ。
タランティーノならもっとアイデアがあるし残忍だなw
忘れていた一作
同じ年に「お嬢さん」「哭声」と今作と上映され、いつか全部観たいなあと思っていて今作だけ忘れていた。
直近で「タクシー運転手」観て、やっぱり韓国映画ハズレが少ないわー、と再確認したので、次も韓国で何にしようと思ったら今作がAIのお勧めで遭遇。
市長パクがやたらコネが効き権力を握っている背景の深掘りがもっと欲しかった。コネあるし、しかも即座に嘘のシナリオを書き上げる機転と、こんな政治家は一般市民にはとても良い人にしか写らないだろうな。
そんなブラック市長パクソンべを演じるファンジョンミン。「新しき世界」のヤクザナンバー2役より極悪市長ってなんか面白いし、流石の二枚舌演技。
やさぐれ刑事ドギョンの奥さんの昔話とか、2人の結婚の時のパクソンべの話、なんかも欲しかったけどなぁ。それ無しでも2時間半の尺だから仕方ないかな。
ノワールとして傑作です。
ラストあの場所であんな風になるなら一石二鳥ですね。
ファン・ジョンミン節、炸裂。
・韓国を舞台にマカロニウエスタン的な、大惨殺バイオレンス劇がやりたかったのかな
・主人公がくそド天然野郎なんだけど、自分はできる奴だと勘違いしてて、すべてがから回る感じがナイス
・イライラを溜めて溜めて溜めてでっかい一発の花火を打ち上げるんじゃなく、ちょびちょびと破裂させていく感じ
・市長めっちゃ悪い奴みたいに描かれてるけど、冷静に考えたら、市長がいちばん理想の生き方じゃないか?
・市長の周りは、それぞれに何か恐れているものを抱えている
(認められたい、妻を傷つけたくない、刑務所入りたくない、死にたくない等々)
・しかし市長にはそれがない。だから常に上のポジションに立ってしまう
・恐れるものがないから、周りにとってはそれが脅威である。常に弱みを握られる。
・自分を徹底的に大事にして、自分は大丈夫だという根拠のない自信があって、恐れるものがない、予測できないこと起きても即解決
・その市長の生き方は、やっていることの善悪を別にしたら、一番健康的な生き方といえるのではないか
・芯の通った生き方
・美女と野獣のガストンみたいなキャラクターはひたすらウザさがすごいのだが、市長には不思議とそれがない
・異様だけど人として芯が通っていて迷いや恐れがないから
・ダークナイトのジョーカーにも通ずる魅力かも
・善の顔をした悪でもあるし、悪の顔をした善でもある市長の中性感
・そういう善悪入り混じった役をやったファンジョンミンの力はすごい
・ナ・ホンジン監督の「コクソン」の祈祷師の役柄ともリンクしているし、今作のキャスティングにも影響したのでは
・検事役の人もファン・ジョンミン同様、「コクソン」の主要キャラだけど、別監督の作品で、絡みまくってるのもおもしろい
・誰か人のため「だけ」を思って何かをやるというのは、胡散臭いことなのではないか。
(自分に恩を着せるために仕向けている場合もあるから)
・だからいっそ徹底的に自分を喜ばせるためになにかをするというほうが潔い生き方なのかもと思いました
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