バース・オブ・ネイション

解説

アメリカ史上最大の黒人奴隷反乱を率いた伝説的人物ナット・ターナーを描き、サンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞した伝記ドラマ。新進俳優ネイト・パーカーが製作・監督・脚本・主演を務め、7年の歳月をかけて完成させた。1800年代初頭のバージニア州。ターナー家の農場で奴隷として暮らすナットは若い頃に文字の読み書きを習得し、成長すると聖書に精通するように。他の奴隷たちのために説教をするナットの姿を見たターナー家の主人は、彼の能力を生かそうと考え、奴隷の暴動を恐れる他の農場主のもとでも説教をさせはじめる。説教を続ける中で奴隷たちの悲惨すぎる境遇を目の当たりにしたナットは、彼らを率いて立ち上がることを決意する。共演に「君の名前で僕を呼んで」のアーミー・ハマー、「ウォッチメン」のジャッキー・アール・ヘイリー。

2016年製作/120分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Birth of a Nation

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映画レビュー

4.5ナットの反乱に何を思うか

2023年11月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

権利と平等の問題意識の高まりは、一定の間隔で繰り返される。そういう時勢の頃というのは、差別への抵抗や自由を求める闘いの作品が多くリリースされるものだ。
あるいは、その事柄への関心が作品への興味となって普段より多く目に留まるということかもしれない。

本作「バース・オブ・ネイション」は南北戦争以前のアメリカ南部・バージニアを舞台に、実際に起こったナット・ターナーの反乱を描く物語だ。
本作のベースと思われる「ナット・ターナーの告白」は公民権運動の高まった1960年代に出版され、やはり差別問題への社会的関心の高まる時期だった事が伺える。

本作の主人公・ナットは綿花畑での労働に従事する他、他の奴隷たちに聖書の内容を手ほどきする活動も行っていた。
胸の痣を「特別な存在の証」とみなされていたことや、読み書きが出来て知的水準が高かった事から「神の教えに従事する」事を使命としていた。

我々日本人にはあまりピンと来ないのだが、作中でも描かれる通り「奴隷制は神が認めている」もっと言うと「神から与えられた」制度だと、当時の南部白人は考えていた。
我々の感覚に置き換えるなら、黒人というのはスマートスピーカー付き作業ロボットのような存在だと信じていたのだ。

重労働の中で、もちろんロボットではない彼らが己の存在と折り合いをつけるためにも(白人の通念で読み解かれた)聖書は活躍した。映画の中でも神に与えられた役割を全うしなさい、と他ならぬナット自身が導いている。

主人の農場を離れ、他の白人が経営する農場で説教を行う事となったナットは、彼らの惨状に愕然とする。ナットの主人は(奴隷を疑問に思わない人物ではあるが)人道的で、理由もなく痛めつけられたり、衰弱したまま働かされる事などなかったからだ。
彼らから自分はどう見られているだろう?白人の手先?
彼らに届く言葉なんて、あるのだろうか。
ナットの不安と逡巡、内面の複雑な葛藤が素晴らしい演技によって余すことなく伝わってきた。

様々な出来事の積み重ねが、彼をより「神と神の民との橋渡し」という使命に駆り立てていく。彼を狂信的な反乱者と見るか?それは一側面として間違いとは言い切れない。
彼を神託を受けた殉教者と見るか?それもまた間違いではないだろう。
「ナット・ターナーの告白」では、彼の人物像がステレオタイプな黒人男性奴隷として描かれている(白人女性へのレイプ願望など)と批判を受けている。今作品ではその部分が監督によって注意深く取り除かれ、削ぎ落とされたナット像に何を見てどう考えるのか、受け手である我々に委ねられていると言えるのだから。

ナット・ターナーに何を見るのか?それは全て自分の感性と信念の鏡だ。私は支配層のご都合主義に「NO!!」を突きつけた気高い戦士であると考える。
後世の倫理感覚で描かれた奴隷解放映画なんかより、よほど見応えのある意欲作に心から賛辞を贈りたいと思う。

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つとみ

5.0永久保存版🙆‍♂️

2021年8月9日
iPhoneアプリから投稿

凄く重厚な映画。前半で蓄積したナットの悲しみと絶望と怒りが、後半で一気に噴出する。素晴らしい作品であるが、あまりにも衝撃的な展開なので日本未公開だったのだろうか。

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@Jankichi@

3.0"國民の創生"

2020年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

映画の作品と監督個人の問題は関係ないようには思えない、物語の内容と個人が犯した事件。

そんなんがノイズになり、せめて主演俳優が別の誰かだったら、今現在でも終わりが見えない人種差別問題、神の存在で奮起する人々、それを理由に託けて、そんな考えで観てはダメなのは承知の事実。

反乱を起こしてからの行動が、いくら何でもお粗末というか賢さが微塵も感じられない、前半部分は丁寧に描けている反面、実話と言えども後半からの演出に雑さが見受けられる。

様々な環境の中、境遇が違えば思いや考えも其々で、奴隷としてドウ行動するか、想像も出来ない葛藤が。

劣悪な状況で悪徳ブリーダーが猫や犬を扱うように、人間を人間がペット以下に、こんな類の映画ばかり観ていると白人に嫌悪感しか持てなくなる。

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万年 東一

4.0タイトルなし

2019年8月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

難しい

アメリカ史上最大の黒人奴隷の反乱
実在する指導者ナット・ターナー(1800-1831)
実話に基づく物語
製作・監督・脚本・主演のネイト・パーカーが
7年の歳月をかけて完成させた
サンダンス映画祭でグランプリ受賞
日本では未公開の作品
.
1831年
バージニア州サウサンプトン郡での反乱
約48時間で60人以上の白人が死亡
報復として
数百人の奴隷や自由黒人が殺された
ナット・ターナーの遺体は
彼の遺志の継承を阻むために
皮を剥がされ解体されたそう
.
奴隷解放まで長い道のりへの一歩
今では容認できない問題は
この抵抗から徐々に大きく広がり今に至る
とてもとても重たい映画でした
.
.
「The Birth of a nation (国民の創世)」
1915年のKKKプロパガンダ映画と同じ題名
全ての人種が誠実に向き合うことが望みで
皮肉として用いたそうです

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lily

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