劇場公開日 2017年1月21日

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「宗教とはを考えるハイカロリー作品」沈黙 サイレンス AZUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 宗教とはを考えるハイカロリー作品

2025年11月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

原作は大学時代に読んだ。その時も宗教ってなんだ、命をかける価値はあるのかと思った。
そして今回遅ればせながら、マーティン・スコセッシ監督が実写化した今作を見て、より「宗教」ってなんだ…という私の疑問は増幅した。

歴史の授業でサラッと流れてしまうキリシタン迫害について、ここまで深掘りをして、多角的に宗教とは何かを文学として確立させた原作者の遠藤周作はすごいと感動したが、この作品を外国人である監督が映像化したというのもまたすごい。しかもかなりのクオリティである。
監督自身が、より深くこの「沈黙」という作品と向き合ったことが作品の端々から感じられて、映像化されたことでよりこの作品の理解が深まった。

それにしても、なんてハイカロリーな作品なんだろう。救われるための宗教で、とことん苦しんで痛めつけられて、命まで奪われるだなんて、本末転倒だ。
私は結局、宗教はひとつの判断軸や教えとして受け取るのは良いとしても、生活や人生全てを捧げるほどのめり込んではいけないに結論付くんだけども、そう思えるのも心が平穏だからなのか。

歴史を学んだ時は、何を信じるのかは自由なのに、政府がそれを取り締まるなんてひどい!と思ったけれど、この作品を見ると、そこまで政府を酷いとも思えず。
むしろ他国まできて、自分たちの教えを広めようとしてくる宣教師たちの方が厚かましいとも思えてしまった。

日本で実際に起こった歴史を学べると同時に、改めて宗教とは何かを考えさせられる学びの多い作品だった。

AZU
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