「ちょっとドライ」沈黙 サイレンス こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっとドライ
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見初めて10分くらい。
この話記憶にある気がする、と思ったら
同原作で70年代に既に映画化されていたのですね。
その過去作のほうも随分前に観ていたのでした。
なのでその記憶とどうしても比較しながら見てしまったのですが、
どちらかといえばこのスコセッシ版のほうが見易いです。
篠田監督版のほうは見ていてじっとりと
嫌な汗が常に付いて回るような、湿度が感じられて陰鬱。
むしろ拷問の惨さと転んでしまう
無念や惨めさ、無力感はたまらないやりきれなさで
その陰鬱さにとても合致していたのですが、
スコセッシ版はとても自然で比較的描きかたは
サラリとしています。
それでもちゃんと宣教師たちの苦悩は伝わるけれど、
強烈な印象は篠田版のほうでした。
ただし篠田版が描くのは明確に転ぶところまでで、
パードレの生涯までではありません。
原作未読でありますが、生涯の最後が
この映画版のオリジナル演出だったなら
スコセッシの優しさ、同情、敬意を込めたものでしょう。
キリスト教と日本の土着宗教観にとどまらず
人間パードレを描くと言った点では
スコセッシ版が特出していると感じました。
宗教を捨てさせる、歴史の残酷さがメインテーマというよりは
ある意味禅問答のような、
キリスト教の教えとは?仏とは?
信仰とは?にその雄たる司祭が直面し話し合うところが
一番のメインテーマなのでしょう。
神の沈黙とはいったいなんなのか。
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