「知恵と備蓄と行動力。」サバイバルファミリー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
知恵と備蓄と行動力。
設定自体が興味津々で公開前から楽しみにしていた作品。
もし日常から電気が無くなったら…という不安は、すでに
3.11の時に多少味わった関東圏の人間なので想像ができる。
あの頃は節電!消電!と謳っていたのに、のど元過ぎれば
当たり前の如く電気を使いまくっている日常生活になって
つくづくサバイバル能力に劣る自分を思い知る作品だった。
原因不明、復旧不能、いつ使えるか分からない電気を待つ
くらいなら皆で大阪へ!っていう根拠のない希望のデマが
流れ、大勢の人が行列して高速道路を歩く様子など滑稽に
見せながらも、常にどこかで(アンタならどうするの?)と
尋ねられてる不安が続く。食料も水も果て、ついに川の水
そして豚の捕獲にまで乗り出す家族の困窮。いや、生きる
ことは食べること。ブランド物や金銭では立ち向かえない
サバイバル本能とどこまで行動できるかが生死の境となる。
こんな時やはり凄いと思うのは、電気がないのがなんだ?
と云わんばかりに生活苦に陥らない農家のおっさんありき
で、彼から様々なノウハウを家族は教わる。そこにない物
に代わる知恵と普段の備蓄などこちらまで大変勉強になる。
そういや藤原紀香も雑草はビタミン!を連呼していたっけ。
小日向ファミリーの右往左往ぶりと要所要所で助けられる
幸運を背景に物語は突っ込みどころ満載でサクサクと進む。
個人的にはお母さん(深津絵里)の飄々とした呑気が魅力で、
「お父さんはそういう人なんだから!」って言いながら夫
を心から愛し敬っている姿と、そんな妻を父親に逢わせる
ことを目標に必死で鹿児島へと向かう夫の姿は子供達から
見ても励みにはなるはずだ。こんな時だからこそ家族団結!
と叫ばずにいられない身につまされるサバイバル劇だった。
(突然の蒸気機関車にはビックリしたけど、あれなら走る?)