劇場公開日 2019年4月26日

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「2010年代映画の集大成」アベンジャーズ エンドゲーム つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

5.02010年代映画の集大成

2023年12月5日
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鑑賞方法:DVD/BD

マーベルヒーロー達の物語を一つの壮大なサーガとして描き出すMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)。まだまだ駆け出しだったマーベルスタジオの野心的な挑戦は、11年後の今作で大成功を収め、アベンジャーズのグランドフィナーレを飾った。
11年22作品、約50時間の大河ドラマのエンディングとして素晴らしい作品だったのは勿論、映画単体としても最後まで目的がブレる事なく一貫していて、それゆえに勝敗は明確、最後の戦いは興奮の連続だった。
全シリーズの登場キャラクター総出演、圧倒的で多彩な戦いの数々にテンションが上がらない訳がない。

単体で観ても面白い、とは書いたが「エンドゲーム」だけ観るのは忠臣蔵の討ち入りだけ観るようなものである。討ち入りだけでも面白く観れるだろうが、その後の切腹シーンで困惑するのは当然だ。長い時間をかけて描いてきたテーマを知らないんだから、意味不明だろう。
やはり「エンドゲーム」を堪能するためには、今までずっと描き続けてきた「公的存在と私的存在の葛藤」というテーマが重要なのだと、改めて思う。

考えてみると、シリーズの端緒を切った「アイアンマン」からすでにその流れは決まっていた。
アイアンマンであることと、トニー・スタークであることは常に絡み合い、足を引っ張りあいもする。

「大義のために自分を犠牲に」する生き方に、あらゆる登場人物が悩み、苦しむ。大義があるからいい人間になれると思った者。どんな苦境でも前に進もうとする者。ありのままの自分を受け入れる者。

何作品も重なって、アベンジャーズ一人一人の個性と人物像が形成されていったからこそ、この重厚なテーマがペラペラのお仕着せにならない。
あらゆる選択肢があって、それぞれに理由があって、何を選択しても間違いじゃない。
しかもそれは今シリーズ最大の敵・サノスにも当てはまるのだから面白くない訳がない。

アベンジャーズが終わって、観ている私たちは確かに彼らとお別れする事になった。
でも新たなヒーローはしっかりとその息吹きを刻み込み、私たちの心にも彼らが残した宝物が存在する。そんな気持ちにさせてくれる映画はそう多くない。

悪いことは言わない。今すぐ「アイアンマン」から見直すといい。彼らのたどった足跡を再び追いかけて、また「エンドゲーム」を観るのだ。
この壮大な大河ドラマは、それだけの価値がある。

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つとみ