■登山家のオム・ホンギル(ファン・ジョンミン)は引退後、ヒマラヤ4座を共に登頂した最愛の後輩ムテク(チョンウ)ら三人がエベレストからの下山中に遭難死したことを知る。そこはデス・ゾーンと呼ばれる、地上8,750mの地。
誰もが遺体収容を諦めるなか、ホンギルはかつての仲間たちと「ヒューマン遠征隊」を結成する。
◆感想
・申し訳ない話しだが、この実話を私は知らなかった。だが、本作を見て山で生死を共にした仲間というモノは、生きて居れば生涯の友になる事を思い出した。
・それにしても、超高所登山の映画を観るたびに思うのは、どのように撮影をしたのかという事である。
今作でも、流石に8000Mではないと思うが、表層雪崩のシーンやアイゼン、ピッケル、ダブルアックスを使って氷上を上るシーンは、可なり高度がないと難しいと思ったのである。
・登山に嵌った人間が、登山を辞めるきっかけは3つあると言われている。
一つは、就職をした時。
二つ目は、結婚をした時。
三つめは、子供が生まれた時である。
ムテクは、スヨンと結婚しても高所登山を続けた結果、遭難ししてしまい、葬儀でも遺体がないと母が、オム・ホンギルに泣きつくのである。
・今作を観て思うのは、矢張り優れたる登山家は、撤退するタイミングを高所、大所で見極める力量があるかないかなのだなと思うのである。
■今作のオム・ホンギル氏を見て思い出したのが、且つて東京農大にこの人アリと言われた谷川太郎氏の事である。
氏は、農大在籍時、当時の大学山岳会の精鋭を集めたパーティでK2登山を極地法で行った際の登頂隊長であったと記憶する。
そのメンバーの中には、今ではサバイバル登山家として有名な服部文祥氏もおり(当時は村田文祥)氏の著作(全て読んでいる。大変面白いので、興味のある方はどうぞ。)で知ったのだが、高所・大所で物事を判断する方だそうである。
そして、その登山の2年後に、氏はK2登山のメンバー数名と、今作でも出るカンチャンジェンガに登頂するのだが、2名が下山中に遭難死してしまうのである。
だが、氏は当時は行方不明とされていた二人を探しに単独で高所を24H以上探査するのである。当時の記録が「岳人」に残されているが、正に超人である。アップダウンを含めてトンデモナイ距離を歩いているのである。隊長という責務を果たすためとはいえ、信じがたい責任感である。今作のオム・ホンギル氏に、通じる所があると思い記載しました。
<登山映画というと、今作も若干その気があるが、実際にはドロドロとしたものになる事が多い事も敢えて記載する。
極地法登山で良くあるのは、誰が一番隊で、誰が二番隊になるのかでもめる事が儘あると言事である。皆、会社や家庭を犠牲にして来ているので、誰もが登頂したい思いが当然あり、歴然とした力量差がに場合に、大きなしこりになるケースがある事は、知っておいてもらいたいと思い記載しました。>