LION ライオン 25年目のただいまのレビュー・感想・評価
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突然のホームシック
5歳でインドで迷子になりオーストラリアに養子へもらわれたインド人男性が、
25年後、Google Earthを使って故郷を見つけ出した実話に基づく映画。
■突然のホームシック
5歳で迷子になって施設に入り裕福な家の養子になった。
養子になってからは結構良い人生だったように思えます。
里親はとても良い人だし、話せば理解してくれる人。
なのに青年になって『Google Earthでこんなことができるよ』・・
と言われた途端に突然のホームシック。
養子になってから成人になるまでの期間がバッサリ切られてるので
その間も帰りたいと思っていた・・というような描写があれば良かったんですがw
■不機嫌になる主人公
故郷の捜索にのめり込むあまり、恋人リーシーを遠ざけたり
家族にも冷たい態度。
いや・・・それなんか違うよね。
ここら辺ちょっと主人公に嫌悪感を抱きました。
■ニコール・キッドマン演じる養母の言葉は刺さる
「世の中には、まだ不幸な子供がいっぱいいるから」と語るシーン。
実生活でも養子をもつニコール・キッドマンならではの説得力もあり、
心にズシンと残るセリフです。
子供を産むより困ってる子供を助けたいという考え方は
なかなか実行できる人は少ないと思います。
■googleだけじゃない
映画では語られていないところでは、サルーが覚えていた村の名前「ガネストレイ」が、
実際には「ガネッシュ・タライ」であることがわかったのは、
Facebookからの情報が決め手になったそうです。
つまり、この2つのツールがあってこその成功。
Google EarthだけでなくFacebookも大いに役立っていたわけです。
■感動の再会
母親との感動の再会は、とても良かったです。
■最後のナレーションでタイトルの秘密を知る
そうなんだね。なるほどです。
■手放しで喜べないインドの現状
インドでは、迷子から浮浪児になるケースがよくあるみたいで、
良からぬ大人たちが子供たちをかっさらっていき、
闇の組織に売りつける事件が実際に起きている。
そこに児童売春や臓器売買が絡んでいることもある。
サルーは運よく逃げ切れたけど、他の子どもたちは。。。
それを思うと、家族と再会できたから一応ハッピーエンドなんだけど
手放しでは喜べないよね。
お兄ちゃんだって彼が迷子にならなければ、あんなことになは
ならなかったかも知れない。
なんだろうな~。つい最近【存在のない子供たち】という映画を観たばかりで
この映画では泣けなかった(;^_^A
中盤について
子役のサルーが魅力たっぷり!
まず言いたいのは、この手の映画につきものの「感動の再会」に伴う涙。確かに泣けます。そこは外してない。でも、そこに至るまでの抑えておくべき事象をていねいにつぶしておかないと、必ずしも感動には至らないということです。
そういう意味では、この映画は期待に応えているし、その一点に絞って見せればよかったと思います。あまりにも、余計なものを描き過ぎた。もっとはっきり言ってしまえば、大人になった後の、サルーの日常を描く必要性を、まったく感じないということ。只々、映画が長くなるだけで、恋人との逢瀬など、バッサリ切ってよかったと思います。
デブ・パテルの、雰囲気たっぷりの主人公ぶり。彼は、今まで演じてきた中で、もっとも素の自分に近い役なのではないかなと思いました。良かったのは、水面から顔を出す登場シーンのみで、そこからはどんどん期待値が下がっていきました。ニコール・キッドマンも、初めて実年齢に近い、若づくりの必要のないというか、首元のたるみなんかを容赦なく映し出されていて、それなりの覚悟をもって挑んだ役だと思います。
でも、何といっても、子役のサルーの素晴らしい演技。彼に尽きます。ほとんどセリフのないフィジカルな演技で、観客の目をスクリーンにくぎ付けにしてしまう魅力にあふれているのです。彼が出会う、数々の大人たち。それを自分の本能だけで選別していく洞察力だったり、小さな体に満ち溢れているエネルギーたっぷりの動きだったり、蝶の大群に魅了されている幼い好奇心だったり、説明のいらない奇跡的な美しいシーンが、網羅されています。それだけでも見る価値ありだと思います。個人的には、小さいのに、走るフォームがとても完成されていることに感心しました。大人用の自転車を持ち上げるシーンも、どうやら自力でやっているようです。なので、彼は子供ながらに、完成された骨格の持ち主のようです。
それもあって、成長した姿のデブ・パテルが、集落でも頭一つ抜けた背の高い大人に成長したのは、ちょっと不自然な印象を受けました。いくら栄養状態がいい環境で育てられたとはいえ、もって生まれた体格はそんなに簡単に覆らないでしょう。ストーリー的にも、「親子」という説得力が、画面を通じて生まれていませんでした。
総合的に見て、いい部分と、そうでない部分の落差の激しい、、非常に残念な作品でした。
2018.5.30
インドの映画は美化されていてリアルを伝えたい
2019年にインドに行きました。
今から10年前にインドに投資した人が
10年経っても発展しない国はこの先ないだろう。そしてこの先10年経っても何も変わらないだろう、というくらい、インドの貧困は凄まじかったです。
インドで言う東京に当たるところですら治安は悪い。
ホテルに入るには車チェックしてから柵が降りて、中に入るには荷物検査に通してから。
世界2位の人口数を誇るのに
人口13億人に対して貧困率が13.4%。
日本人全員以上の人が貧困ということ。
この映画は、本当に一部に過ぎない。
今日1日を生き残るために必死に物乞いをする人たちがたくさんいました。
インドに行って世界観が変わったことを、この映画を通して思い出しました。
遅ればせながら観ました
目を背けたくなる現実
映像は綺麗、ストーリーとしては中身が薄い
寒いレビューが目立ちますね
ノンフィクションものであればここまでの完成度はあまりありません。
作品として完成させるなら改善点は多いかもしれませんが、私はこの作品はこれで良かったと思います。だってラストが感動したもん!
ストーリーの構成は単調で、時系列もいじることなく進んでいきますし、育ての両親の想いや、サルーが25年間インドの家に帰れなかった理由、または役者の使い方、作品としてみれば大いに不満がある方もいるかもしれません。
私も途中までは、3.5くらいの評価なのかなと思っていました。しかし、もうただの一般観覧者からすればラストのワンシーン、タイトルの意味、それらに感動した瞬間、評価が4にも5にも変わっていいはずです。
序盤、列車の中の緊張感の演出も上手いですし、子役の演技も際立ちます。私は、実家の見つけ方も好きです。あそこはかなり脚色があると思いますが、ど定番の予測可能な、でもワクワクする描き方でした。
ここまで引き込まれたノンフィクション映画は他になかったかもしれません。
確実にお勧めできる作品ですね。
家族になるという意味。人間の愛情に貧富の差はない。
インドに住む5歳の主人公が、不運にも、兄とはぐれ迷子となり、浮浪児となる。あぶない大人に利用されそうになりながらも保護され、幸運にも、オーストラリアに住む夫婦の養子となる。この愛情深い養父母はもう1人インド人の男の子を引き取り、4人家族として不自由のない暮らしの中で主人公は育てられる。
幸・不幸はなにが決めるか。
主人公は迷子になったお蔭で、貧困から抜け出せたとも言えます。しかし兄弟となったもう1人の養子の子は、同じ環境でも、全然馴染めず、ずっと適応できないまま苦しんでいる。
主人公は適応し、順風満帆な幸せな人生を送っている。
しかし大学生となり、新しい環境と友人との会話から、何かが動き出す。
自分のルーツへの扉。
それは抑えることのできない自分自身への旅。
インドの母や兄の記憶。地名も自分の名すらうろ覚えなのに。
迷ったあそこから記憶を辿りGoogle Earthで、くる日もくる日も探さずにはいられない。
すると恵まれて幸せだった暮らしが、
突如「吐き気がする」ほど忌々しく感じられてしまう。
実母を探そうとする自分を、養母に知られたくない。
愛しているからこそ傷つけたくない。
仕事、恋人も、養父母との関係も、距離を置くようになり、これまでの穏やかな日常が土台から崩れていきそう。
主人公を傷つけないように、誰も言葉にはしないが...
ほんとは主人公は実母や兄に、捨てられたのではないか。口減らしに。年間何万人も同じような子いるという事実。
20年以上経って親を探したところで、かえってヤブ蛇では。だって真実は時として残酷だから。
ならばもうこのまま、インドのことは忘れて。
今が幸せなら、それでいいじゃないか。
観客の私ですら、苦くもうっすらそんな思いを抱きつつ。主人公の恋人もさりげなく「引っ越してるかもよ」などと言ってみたり。
でも主人公は違いました。
貧しい家だったけれど、母も兄も自分に愛情を持ってくれていたこと。
自分がいなくなって、どれだけ心配しているか。
信じているのです。
5歳でも、自分がほんとうに愛されているかどうか、
わかるんですね。そしてそれは時間が経っても消えない。
逆に甘い言葉をかけても、利用しようとしてるかどうかもわかる。
人間社会は愛もあれば、嘘や偽りもある。
真実は心の眼でしか見えないし、人を信じるのは勇気が要ります。
最近私も人間性善説に迷いが出てきたところです。
でもこのニコール・キッドマン演じる養母が教えてくれる。優しさも、人間のもう一つの真実だと。
養母は2人の養子に、幸せをもらえたと同時に、
大人になっても心が潰れそうなほど心労が重なっています。
養子をとった自分は正しかったのか。
迷いが出たことを正直に打ち明けつつも、本当に選り好みせず、育てにくいもう一人の養子に対しても忍耐強く見守り続けます。
子は授かりものですね、実母だろうが養母だろうが。
愛情とは、覚悟のこと。
自然に湧いてくるだけのものではありません。
私も正直、子育てって20歳になれば終了と思っていました。そこまで頑張るぞって。
が、全然そうじゃない。
一生続く。むしろそこからが大変なことも。
家族になるって、親子になるって、たくさんの課題を乗り越えて行かなくてはならない。
愛情が本物かどうか試されてしまう。血が繋がっていても。残酷です。
一人で越えられない時、その苦しさが、否応なく家族の心にも流れ込んできます。
一緒に耐えられるか。
ギリギリの判断をしないといけないことも出てくる。
いまの世の中は断捨離の流れ、物だけでなく関係も切り捨てることが早いように感じます。
社会も会社も変わりましたから。
ストレスフルだから、簡単にしないと、自分が潰れてしまう。抱えきれないのです。
だから何でも面倒を減らす。
でもこの面倒臭い何か。捨てられない何か。
お金ではなく、それを持つことが豊かさで、人を支えてくれるものかもしれない。
一生に一つか二つくらいですよ。
そういうものに出会うのは。
捨てたら楽なんですが。
逆に安易に手放してはいけないのかも。
若い時は、失くしてもまた次がある、と私も考えていました。
でもそうじゃない。
この映画、実話です。執着しないことは大事だけれど、愛には粘りも要りますね。少し考え、変わりました。
Google Earth。
苦悩と海のような幸福
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