「【ジャズな生き方?】」ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad) ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【ジャズな生き方?】
轟音の裏に潜む静寂。
旋律を内包する自由。
これらが調和したのがジャズではないか。
阿部薫の絞り出すようなサックスの音に、心が握りつぶされるような感覚を覚える。
阿部薫は、三島由紀夫とのディベートで注目された芥正彦と交流のあったサックス奏者だ。
芥正彦と関わると、早死にするのか。
抑圧のなかの怒り、そして、生や自由への渇望。
悲しみの中にあっても求める悦び、楽しみ。
こうしたものが一体となったのがJジャズではないか。
でも、実は、僕のような人間には、そんなことはどうでも良くて、音楽が側にあることが重要なのだ。
だから、数が少なくなったとはいえ、ジャズ喫茶が全国のあちこちに残っていて、言葉肴に皆が曲に聞き入ってる姿を想像すると、なんか良い話だと思ってしまう。
東北出身だし、いつか、ベイシーに行きたい。
首都圏のジャズ喫茶が大学生に依存しすぎて、今は瀕死なのに対して、地方には根強い地元ファンがいるというのも素敵な話だ。
村上春樹さんも作家になる前は、国分寺のジャズ喫茶とバーのマスター(オーナー?)だったように思う。
ロンドンにいた時、毎週やって来るテストとプレゼンでくたくたでも、孤独を紛らすために、頻繁にジャズライヴのロニー・スコッツに通っていた。
金欠で立ち見だったけど、頭を空っぽにして、ライヴに耳を傾けていたことを思い出す。
小澤征爾さんが、バースタインのことを引き合いに出していたが、僕が中学の時に初めて買ったクラッシックは、バースタイン指揮のベルリオーズ幻想交響曲だったことを思い出して、嬉しくなった。
バーンスタインの指揮には何か魂を揺さぶるものがある。
その時、一緒に、冨田勲さんのシンセサイザーのホルスト惑星を買ったが、音楽の可能性の広がりを感じたことも思い出した。
音楽やジャズが進化しているかは、正直なところ僕には判断がつかない。
人に言えるほど通ではないから。
でも、こうして、音楽で思い出すことは沢山ある。
大学生になってバイトしたお金で初めて行ったジャズのライブコンサートは、今はなき新宿厚生年金ホールの渡辺貞夫さんのだった。
その後、一緒に行った彼女とセックスしたのも思い出した。