3月のライオン 後編のレビュー・感想・評価
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前後編で貫かれた軸
原作好きからすると野口先輩の出ない桐山の学生生活は先生と屋上飯するだけじゃないかと切なくなりますが(笑)、最短距離で桐山零が生きる為についた嘘を肯定していく過程を描いた映画としては完全にこれで正解だったと感じました。
染谷将太の特殊メイク以外はほぼディフォルメされた表現をとらなかった演出はとても真摯であり良かったです。
何より今回原作者の羽海野先生から本来漫画で予定していたエンディングを提供されていたとのことで良い余韻の最後でしたね♪
個人的には幸田家の再生の兆しが描かれていたのがじんわりきました。
あと桐山が持ってきた手作りニャーを宗谷を演じる加瀬亮がチラッと見る細かな演技がほっこりします♪
派手な話しではないし 場所も同じところばかり 出てくる。 それなの...
もったいない
人生の中で大事にしていく作品
原作の大ファンです。
後編は中盤からたくさん泣きました。
後藤戦に一番心打たれた。最後の零くんが階段を登るシーン、そして零くんの成長した表情見て本当に感慨深かった。この終わり方ってすごいなと思いました。続編があるといいなと期待しています。
原作と映画、それぞれ大きな感動を覚えました。その感動を与えてくれたこの作品を制作した方々や、この作品の登場人物に感謝したいと思いました、特に桐山零くんと神木隆之介さん、そしてもちろん大友啓史監督に。
個人的には、漫画と映画という違う「形」に同じものを求めてはいけないと思っているので、後編にちゃんと一人ひとりの登場人物に焦点を当てて、話が愛と希望の方向にうまく収束するのが本当に良かったと思います。
「幸田家もちゃんと救われるようにしたい、人の心を洗うような作品にしたい」と大友監督が舞台挨拶でおっしゃっていました。
零くん、幸田家、川本家、後藤さん…どれだけ難しく見える問題でも、どんなに不器用な自分でも、心を開けば、解消するとこができる、希望は自分の中にある。この点は最近自分の体験と重なることもあって、原作とは少し違う角度ですが、私は大きく勇気つけられて、再び救われたと思います。
原作の核心となるリアリティのある人物、重厚感のある物語、繊細な心理描写、キャラクターたちの成長と変化を見守る語り手の目線など、映画では変わっていないと思います。それらを大友監督らしさを加えて、映画という表現手法でうまく再現されていると、映画を観て感じました。大友啓史監督の重さと美しさが併存する作風が個人的にとても好きです。
この作品が企画のときから6年間かかったとか、神木さんが零くんは普段メガネを少し斜めにかけているところまで役作りをしていたとか、監督があかりさんの作る料理の味付けまで指定していたとか、この映画がどういう思いでどういう風に作られたかを雑誌などで知ったとき、色々驚きました。
舞台挨拶を観たのですが、監督と役者の方々のこの作品、そして桐山零という人物に対する深い愛が本当に伝わってきます。聞いていて原作大好きな自分まで感動しました。漫画実写化作品としても、二部作の作品としても、役者の方たちの神ってる演技からこだわり深い美術まで、一つの新しい到達点に達したのではないかと思います。本当にたくさんの人に観てほしいし、賞をとってほしいです。この作品は人生の物語だと理解しています。自分はずっと大事にしていきたい作品です。
原作を外れた途端酷いことに
父親が出てくるあたりからのオリジナルのストーリー展開が非常に残念でした。
登場人物が次々に無用な波乱を起こし、十数分後には全てが都合よく回収されてハッピーエンドへ、という雑さは酷いです。
原作ファンでなくてもこれは受け入れられないと思いますがどうなんでしょうか?
いじめのくだりも端折り過ぎ、詰め込みすぎです。
前編はとても良かっただけに残念です。
奥深い後編
シネマチネで鑑賞。客層は、カップルやお一人様など老若男女問わずで15人位いました。物語の核心に触れないようにストーリーを解説。 物語は前編の時間軸が1年たった後のお話。桐山零(神木隆之介君)は、18歳になり棋士として成長していきます。そんな中、桐山君を温かく見守ってきた川本3姉妹に降り注ぐ試練に懸命に向き合おうとする姿が描かれます。一つは、次女のひなたちゃん(清原果耶さん)が友人をいじめからかばったことが災いしてしまい、今度は自分が標的にされてしまいます。もう一つは、亡くなった奥さんと3姉妹を捨てたのに突然現れた父親・誠二郎(伊勢谷友介さん)との対決。ひなたちゃんが、夜の隅田川で泣き叫ぶ場面は過去の自分と重ねてしまい、ぼろぼろと涙が出てきました。特に、じいちゃんの「お前は偉い‼大人でもできないことを良くやった。」と慰める場面は、心が揺さぶられました。ひなたちゃんが、勇気を持っていじめっ子の高城に立ち向かう姿と言ったら!自分だったら怖くてできなかっただろうと思いながら観ていました。そして、将棋の対局の行方ですが…。もうすごいことになってますよ。エンディングは、賛否両論のようですが、私はこれで良かったと思っています。将棋メインの前編と違い、後編は一人一人の思いがじっくりと描いていている奥深い人間ドラマです。鑑賞の際は、ハンカチをお忘れなく‼
父親とは〜〜
前作でいい意味での息抜きであった三姉妹の身の上に
思いもよらぬ不幸がのしかかり、
なんとか助けたいと頑張る零の苦悩〜。
生きるために選んだ前作での絞り出す様な
「将棋しかね〜〜んだよ!」
と、対をなす、
自分ができることはこれなんだ!を確信する様な
「将棋しかね〜〜んだよ!」
のセリフがとても印象的でした。
そして今回は前回以上にクローズアップされた「父の存在」
義理の父であり将棋の師である幸田と零、
三姉妹を捨てて出て行った父と三姉妹。
三姉妹が父と決別した後に
零に名人と対局するための着物を誂えてやる幸田と零のやりとり。
更に幸田と実の娘香子とのやりとり。
簡単には言葉にできない三組の父と家族の姿を
なんとか映画にしようとした
製作者の方々の努力が伝わる〜。
更に「神の子」宗谷の人知れぬ苦悩、
彼もまた迷える人の一人であったことが感慨深い〜。
続きが観たいけど〜難しいでしょうね〜。
でもこの「後半」自体はもう一度観たいです。
それから、前回は少ない出番ながら良い味出してた、
今をときめく高橋一生のライトな魅力、今作では炸裂!!
いったい、何個カップ麺、喰ったんだろう(笑)
主題歌のメロディーとともに暖かさが残る映画
将棋しかない。将棋だけじゃ生きていけない
後藤と桐山零の対局シーンが良かった
前編で桐山零を暖かく迎えてくれた川本家に、今回はイジメと父親の問題が降りかかる。桐山零は何とか役に立ちたいと立ち回るが空回りする。特に身勝手な理由で家族を捨てて出ていき、そしてまた一緒に住もうと言う父親との対決は男らしくて良かった。しかし、それで父親を徹底的にやり込めてしまい、その姿に父への愛が蘇ったのか、川本ひなたに桐山零が責められることに。三姉妹の為に戦ったつもりが、いつの間にか四面楚歌。なんか桐山零が切なくて可愛そうだった。っていうか、あの場面は長女のあかりが桐山零をフォローしないといけないんじゃね?ヘルプコールもしたんだし。前編ではいいなと思ってた川本家だけど、今回はなんか嫌いになった。その後、父親と仲直りして遊園地へ行くのだけど、すっかりもう一緒に住めると思っている父親に、これで会うのは最後だと言い放ってしまう。最後のいい思い出作りとか綺麗事いっても、クズ父には言葉通り受け取れないだろう。クズがクズになるのにも理由がある訳で、その理由を増やしてどうする?
また、このクズ父の人の演技も良くて、観ているこっちまで意外と優しそう、改心したようだしこれならまた一緒に上手くやれるんじゃないかと思わせるところが上手い。今回の川本三姉妹はあまり好きになれない。
そんな過程で川本三姉妹と気まずい状態になった気持ちを抱えながらの後藤との対局は見ものだった。後藤とは義姉である香子との不倫のこともあるし、師匠の敵討ちもある。色んな思いを交錯しながら対局している桐山零の心の描写も見応えあった。勝利を確信した時、何を思って泣いたのだろうか?
前編が良かったので後編はだれるかもと不安もあったけど、前編より更に良くなっていたと思う。
神木隆之介、男前やろ
暗いトンネルを抜けた光の先に
後編を観終えた時、この『三月のライオン』という映画が何を描いていたのかを、ずっと頭の中で考えていた。そして、自分なりの解釈ができた。
この作品は、幼き日に家族を失うという絶望的な孤独に墜ちた主人公・桐山零が、将棋の才能という一本の手綱を頼りに、人生の暗く長いトンネルを歩いていく物語であり、そしてそこから光さす出口へと辿り着く過程を描いた物語なのだ。
前編は主人公である少年棋士、桐山零(神木隆之介)の幼き日の将棋との出会いから、現在の彼の天才であるが故の深い孤独感。川本姉妹との出会いから零が救われていく過程、そして、島田(佐々木蔵之介)や後藤(伊藤英明)ら先輩棋士達の、緊迫した勝負の緊張感を丁寧に描いていた。
対してこの後編では、将棋の勝負の世界から、零と川本姉妹を中心とした人間ドラマへと、テーマの比重が移っていく。
初めての出会いから一年後、義理の両親の家を飛び出し孤独に追い込まれていた零に、暖かな家族の温もりを与えた川本姉妹は、もはや零にとっては家族同然の、かけがえのない存在になっていた。
そんな川本姉妹に、次女ひなた(清原果耶)のいじめ問題と、かつて家族を捨てたにも関わらず、突然舞い戻ってきた川本姉妹の父・甘麻井戸誠二郎(伊勢谷友介)という、二つの試練が襲う。
この二つの問題を通して、零は彼女たちを守りたいが為に、彼なりに奔走する。それは、彼がかつて失った二つの家族――死んだ実の家族と、飛び出して来た義理の家族――への後悔から、今度こそ自分の大切な存在、やっと見つけた彼の居場所を必死に失いたくないからなのだろうか……。そんな風に思え、画面を見ていて、胸が苦しくなった。
高校生でありながらも、将棋の世界でプロとして生きている零には、今度こそ川本姉妹の力になれるという自負があった。それが彼の将棋生活をも後押しし、彼は獅子王戦トーナメント準決勝まで勝ち進む。だが、映画の中盤、彼の自信は脆くも崩れることとなる。そして、自分があくまでも川本姉妹と赤の他人であること、将棋の世界ではプロであっても、所詮はまだ大人ではなく、一人の高校生の身分でしかないことを思い知ることになる。この失望が、物語のなかで零にとって大きな障壁となり、彼を苦しめることになる――……。
一方で、零の周辺の人々にも、それぞれ葛藤がある。雲の上の存在のように思えた宗谷名人(加瀬亮)は、何年もタイトル戦に出ずっぱりで、心労のために難聴に陥っている。獅子王戦トーナメント決勝で零と戦う後藤(伊藤英明)には、意識の戻らない病床の妻を抱えながら、勝負の世界に生きている。そんな後藤と不倫関係を続ける香子(有村架純)は、プロ棋士の夢を絶たれた後、自分の生き方を見つけられずに、悪意を零にぶつける。
誰もが何かを背負い、弱さを持って、もがき苦しみながら生きている……。この映画は、そんな人々の姿を真摯に映しとる。
前編では、若くして将棋しかない人生に孤独と行き詰まりを感じていた零が、川本姉妹ら他者との交流を通じて、棋士として成長していく姿を描いた。だがこの後編では、前編とは逆の構図が描かれる。
大事な存在を守ることのできない無力さに打ちひしがれた零にとって、残されたものは結局将棋しかなく。絶望を内に抱えながらも、零は獅子王戦決勝トーナメントで、持っている全ての力を盤面にぶつけ、葛藤する。ヒリヒリ灼けるような緊張の一戦のなか、正面から将棋に向き合った時、零は壁を打ち破る。そして、自分にとって最も失いたくものを、もう二度と離さないという決意を持つようになるのだ……。
暗く長いトンネルから抜け出た光の先には、更に長い道が続いている。そして、それはまだ始まったばかりだ。天才棋士・桐山零は、その道をどう進んで行くのだろうか……。映画のラストは、そんな人生の始まりを感じさせる、希望に満ちた終わり方であったように思う。
しっかりと誠実に作られたドラマ
予告を見て若干の不安を感じていたが杞憂であった。
前編に続き生真面目とも言えるしっかりした作り。各々が決意を固め前を向く姿が素晴らしい。長尺だが見応えあるドラマでした。
漫画は途中までしか読んでないので原作との比較とかはできないのだが、自分にはプラスに作用したかも。後編で失速する2部作邦画が山ほどある中で、見事な着地はほんと偉い。
役者はみな良いのだが、後編は名人役の加瀬亮の佇まいが特によかったです。
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