「あらためて感ずるBeatlesの旺盛な実験精神と曲調・歌詞の短期間での大きな変遷」ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
あらためて感ずるBeatlesの旺盛な実験精神と曲調・歌詞の短期間での大きな変遷
ロン・ハワード監督(ダ・ヴィンチ・コード)による2016年製作の英国映画。
原題The Beatles: Eight Days a Week - The Touring Years、配給KADOKAWA。
同時代という訳ではないが、小学生の時ビートルズの音楽に初めて出会い、中学生で夢中になり、赤青は勿論ラバーソウル以降のアルバムは殆ど所有してた相当にコアなビートルズフアンであるが、コンサートをしなくなった直接的な理由を初めて知った。
音楽を聴きに来ているのでなく、『ビートルズを見に来てる』というのは印象的。本作品でも映像がかなり使われている映画「A Hard Days Night」で金切り声を上げる女の子をさんざん見たはずだが、あらためて悲鳴をあげている彼女らが不思議で、当時どう夢中になっていたかを知りたいと思った。
映画「Help」も「Let it be」も見ているが、球場でのコンサート等、見たことが無い映像もかなり多く、その音質もかなり良好で、ファンとしてはとても嬉しかった。「Some Other Guy」や「boys」等、自分に馴染みが無い曲のステージ見れたのも、有り難かった。
デビュー当時から1966年当時まで、ビートルズの音楽をこう並べられると、短期間での音楽の変化、特に歌詞の変化、更に実験的な開拓精神を見せつけられ、あらためて唯一無二の独自性が強く印象つけられる。映画では「Tomorrow Never Knows」のジョンによるテープ巻き戻し失敗による曲調変調の創作取り込みの実験性が示されていたが、その前の時代から、例えば「IF I Fell」の類例が無い奇妙で儚く美しいコード進行等、曲作り上での旺盛な実験性は、このグループの本質的な部分と考えている。
そして、大ファンとしては、1969年のアップル社屋上でのコンサートより「Don't Let Me Down」と「I've Got a Feeling」を見せてくれ、更に最後に4人各々の言葉を聞かせてくれた大いなるサービス精神は、とても嬉しかった。
製作ナイジェル・シンクレア、スコット・パスクッチ、ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、製作総指揮ジェフ・ジョーンズ、ジョナサン・クライド、マイケル・ローゼンバーグ、ガイ・イースト ニコラス・フェラル、マーク・モンロー、ポール・クラウダー。
脚本マーク・モンロー(ザ・フー:アメイジング・ジャーニー等)、編集ポール・クラウダー。
出演はジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、シガニー・ウィーバー、ウーピー・ゴールドバーグ、エルビス・コステロ、浅井慎平。