「日本でも3D版を公開してくれぃ!」リメンバー・ミー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
日本でも3D版を公開してくれぃ!
もう主題歌が、ぐるぐる頭の中を回っている(笑)。「アナと雪の女王」を作曲した、ロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻による主題歌「リメンバー・ミー」は、まちがいなく名曲である
本作は、「トイ・ストーリー3」のリー・アンクリッチ監督によるピクサー・アニメーション作品であるが、同時上映がディズニーの短編「アナと雪の女王/家族の思い出」というイレギュラーな組み合わせ。きっとピクサーファンなら、"短編アニメこそピクサーの原点"と楽しみにしているはずなので、多少の違和感を感じるはず。同時上映の「アナ雪」については後述する。
「リメンバー・ミー」の原題は「CoCo」である。これは観れば納得である。ストーリーは、メキシコの祝日・"死者の日"をテーマにしている。日本でいうところの"お盆"であり、"迎え火・送り火"のような風習がみられる。死者や先祖をうやまう考え方や慣習が似ているので、日本人にはわかりやすい。
主人公のミゲルは天才的なギターの才能を持つ少年だが、彼の一族は"音楽禁止"というオキテに縛られていた。
ある日、ミゲルが憧れる伝説のアーティスト・デラクルスのギターを手にした途端、死者の世界に迷い込んでしまう。
本作の死者は、コミカルなガイコツとして表現されており、死者の世界はカラフルで遊園地のような場所である。途中までは完全にアドベンチャーコメディだが、やがて徐々にヒューマンドラマに様相が変わっていく。
そして終盤には、ミゲルの弾き語りによる「リメンバー・ミー」で、ドッと涙があふれる(ああっ…)。実によくできた映画である。・・・観てのお楽しみ。
特にミゲル役は、演技のみならず、歌の上手い少年でなければならない。ディズニーは、日本語吹替版のクオリティ基準も厳しいだけに、オーディションで選ばれた、石橋陽彩(イシバシ ハルヒ)くんの歌が楽しみである。
さて、同時上映の 「アナと雪の女王/家族の思い出」は、クリスマスをテーマにした22分の本格作品。実写版「シンデレラ」と同時上映だった短編「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」(2015)が、わずか7分だったので、かなりの見ごたえがある。ちなみにこちらの原題は、"Olaf's Frozen Adventure"で、主人公は雪だるまの"オラフ"である。
ロペス夫妻の書下ろしが「Ring in the Season」、「The Ballad of Flemmingrad」、「That Time of Year」、「When We're Together」と4曲もあり、ミュージカル作品として十分に堪能できる。全米ではクリスマスシーズンに限定公開され、同日上映は2週間強だったので、日本は特別である。
ご存じの通り、エルサもアナも、小さくして両親(国王夫妻)を失い、エルサは部屋に閉じこもったまま年月を重ねたため、2人にはクリスマスの思い出や伝統というものがない…。オラフはそんな2人のために"家族の伝統"を探しに街に出ていく。
これだけ新曲があると、単なる同時上映ではなく、アナ雪の独立した続編のように楽しめる。サウンドトラック盤も購入したくなるし、歌も覚えたくなること、うけ合い。
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公開2日目にして、こんどは"吹替4DX版"を観てきた。昨日は字幕版だったが、本作は圧倒的に吹替版のほうが楽しめる。さすがディズニー基準の吹替キャストと演出である。
英語タイトルの”Coco”が、ちゃんとカタカナの”リメンバー・ミー”に差し替えられている。
なんだこりゃ。主人公ミゲル役の石橋陽彩(イシバシ ハルヒ)くんの歌唱力に脱帽である。13歳の中学生である。しかし、この声はおそらく本作品限りかもしれない。声変わり前ということで、収録中も相当ケアが大変だったそうだが、この先どうなってしまうのか。大人の歌声でミュージカルに挑戦してほしい逸材である。
また、藤木直人がヘクター役で歌声を披露しているのも注目である。
本作は米国では3D上映されている。またドルビーAtmos+ドルビービジョン作品でもあるが、日本では2D版しかないのが寂しい。どう見ても"死者の国"の美しさは、3D向きである。
一方で"4DX"の効果については、あまりない。個人的には50本以上の4D作品を観てきているので、このようなタイプには向いていないと思う。
ということで、「リメンバー・ミー」の上映パターンは、2D字幕/吹替と、4DX2D吹替、IMAX2D字幕の4種だけである。ディズニーとしては少ない。元アスペクトがシネスコなのでIMAXで観るのもおススメできない。これから映画館で観るなら、2D吹替版がいい。
amazon経由で3D版Blu-rayが購入可能なので、3Dホームシアターで確認したい作品である。というかゴールデンウィークに3D版を公開してくれよ、ディズニーさん。
■リメンバー・ミー:(2017/3/16・17 /ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:石田泰子/吹替翻訳:竹本浩子)
■アナと雪の女王/家族の思い出:(2017/3/16・17 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ/字幕:松浦美奈/吹替翻訳:いずみつかさ)