リメンバー・ミー : 映画評論・批評

リメンバー・ミー

劇場公開日 2018年3月16日
2018年3月6日更新 2018年3月16日よりTOHOシネマズ日本橋ほかにてロードショー

しなやかに死を見つめ、生を抱きしめる挑戦に感嘆の声しか出ない

子供の頃、夜の暗闇が怖かったし、限りある命という言葉に気が重くなった。そして何よりも、人が死んだらどこに行くのか、想像するだけで夜眠れなくなった。もしもあの時の自分がこんなワンダフルでマーベラスな映画と出会っていれば、一体どれほど楽になれただろう。ピクサーが「インサイド・ヘッド」(15)で人間の複雑な感情を擬人化した時にも感嘆させられたが、今回はさらにその上をゆく未知なる領域への挑戦がある。これは映画史に残る偉業と言えるのかもしれない。

まずもって特定の宗教にとらわれず、メキシコの伝統行事「死者の日」にスポットを当てているのが本当にうまい。この時期に合わせて、各家庭では先祖をお迎えすべく祭壇を華やかに彩り始める。物語はそんな中、少年ミゲルの表情をクローズアップ。音楽コンテストへの参加を家族に大反対された彼は、失意のどん底にいた。この家系ではある理由から音楽がタブーとなっているのだ。それでも夢を諦めきれないミゲルが、ふとした拍子に生きながら「死者の国」へと紛れ混んでしまったことで、事態は意外な展開に----。

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マリーゴールドの花びらがいざなう死者の国は、思わず目が歓喜するほどカラフルで美しい。また、ファンタジックな街並みをガイコツ姿(怖いというよりも可愛らしい!)の死者たちが闊歩する様は実にユニーク。こんな世界観を提示できただけでも十分ゴールに達しているのに、本作はさらに面影のあるガイコツ姿のご先祖様たちが入り乱れての見事なアドベンチャーへ発展していくのだ。

祭壇に写真を飾る理由。名曲「リメンバー・ミー」に謳われる切なる想い。音楽にまつわる過去……。あらゆる展開に心が大きく揺さぶられる。そして本作が最終的に帰着していくのは、死そのものではない。むしろ家族という名のルーツ、決して失われることのない絆だ。これらは何ら特別な答えではないが、だからこそ一番身近な宝物を見つけたような感慨がある。自分が長い長い物語の延長上にあることに気づき、両親や祖父母、そのまた先祖へのたまらない愛情の念が沸き起こっていく。それはきっと生を見つめ直すことにもつながるはず。

鑑賞後、すっかり色あせた古いアルバムを広げ、亡くなった人たちに久々に会いたいと思った。その日の夢の中で、もうずいぶん長い間忘れていた曽祖母のシワシワの手に触れた気がした。忘れない、と心に刻んだ。

牛津厚信

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