「時間が経つほど怒りと虚しさが込み上げてくる。」スター・ウォーズ 最後のジェダイ ulbwさんの映画レビュー(感想・評価)
時間が経つほど怒りと虚しさが込み上げてくる。
スターウォーズらしさとか伝統云々いう以前に一本の映画としてシナリオ自体がおかしい。ご都合主義過ぎるストーリー展開や描写が満載だし観客の予想を裏切ることに心血注ぎ過ぎ。やり過ぎてテンポもグダグダ、爽快感も何もあったものじゃない。要らないキャラやエピソード多過ぎでは?肝心の観たいものは一切観られなかった。ファンの期待まで裏切ってどうする⁉︎とにかく全体の雰囲気がスターウォーズっぽくない。根本的な間違いとして製作者側はスターウォーズをSF映画と勘違いしてないか?スターウォーズという作品はジャンルでいえばSFではなく剣と魔法のファンタジーだと思ってる。伝説の勇者が苦難の果てに巨悪を倒して世界に平和をもたらす的な、古くはアーサー王伝説等からはじまり近年ではロード・オブ・ザ・リングとかドラゴンクエストの類だ。だから登場する人種は白人主体で良いしエイリアン種族もエルフやドワーフ、亜人や獣人に置き変えて考えれば一層ファンタジー的だ。ロード・オブ・ザ・リングに中国人がたくさん出てくれば違和感を感じて当然で、ヒロイックサーガに戦争特需で儲けてる富裕層を皮肉るメッセージ性なども必要無いのだ。細かいところで、カジノ星で捕まった原因が駐車違反なんて間抜けで妙に現実的な理由なのもライアンジョンソンがそういう根本を理解していない現れだと思う。レイの出自が只の一般人だったりルークがさして活躍もせず退場したところをみると、選ばれた英雄ではなく市井の人々を活躍させて(全然活躍してないけど)従来のファンタジー的な要素から脱却し新しいスターウォーズを構築したいのかもしれないが…。そもそも面白くなくてはどうしようもない。
個人的にはep1〜3みたいな強いジェダイやシスの活躍が大好きで、今回の撮影の為にデイジー・リドリーが猛トレーニングを積んだと聞いてたので殺陣にはちょっと期待していたのだが、ep7と大差ない鈍臭いチャンバラだった。レイはろくに訓練を受けてない素人だから仕方ないにしても(むしろ素人にしては強過ぎる気がする)なんでカイロ・レンはあんなに弱いのか?近衛兵相手に大苦戦してるし…。二人共闘での大立ち回りは激闘ではあったが、過去のジェダイたちの殺陣と比べて技も稚拙で華麗さとは程遠い。せめてアダム・ドライバーがダース・モール役のレイ・パークばりにアクション気張ってくれたらもう少し評価は変わったかも。とりあえず十字のライトセーバーはやめさせた方がいい。昔のジェダイみたいに戦ったら絶対自分切っちゃうだろうし…。
とにかく視聴が苦痛でそれでも辛抱して見続けて、極め付けに参ったのがクライマックスでルークがファーストオーダーの大軍の前にたった一人で立ち塞がるところ。まさかこの大軍相手に無双するの!?ってもの凄い興奮した。それまでいいところ全く無しで見ててフラストレーション溜まったのはこの為の布石だったのか︎と。蓋を開けてみれば実はフォースで作った幻影でしたーって…。肩透かしにも限度があるだろ!おまけに結果として死んじゃうし。やったこと自体は凄いし、生き残ってればそこまで文句はなかったのだけど。カイロ・レンと対峙した佇まいはまさに見たかった威厳溢れる老ジェダイマスターそのものだったので尚更残念。スタントマン起用でもCGでもいいから、せめて最後にルークのライトセーバー無双が見たかった。ヨーダだってep2、3やクローンウォーズで大活躍だったのに…。
次回作のep9はまたJJエイブラムス監督に戻るようだけど、とても巻き返しには期待できそうにない。