ダンケルクのレビュー・感想・評価
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これはこれであり
時は第二次世界大戦。
イギリス・フランス連合軍は、ドイツ軍によってフランス北部ダンケルクの海岸に追い詰められてしまう。
その数実に40万人。
この兵士たちを救出するダイナモ作戦を描いたものだが、なんとか生きて帰ろうとするイギリス軍兵士、その兵士たちの救出に向かう民間の船、そしてイギリス空軍パイロット、陸・海・空それぞれの視点で描かれているのが面白い。
迫力満点の空中戦はもちろんのこと、敵機による急降下爆撃などが非常にリアルだ。
くすんだ色合いの映像と、終始流れている弦楽器の音が、作品をより重苦しい雰囲気にしているのも良かった。
ただ、気になる点もいくつかあり、兵士の数はとても40万人いるようには見えなかったし、救助に来た船の数も全然少ない。
さらに、戦闘機が僅か3機ってことはないんじゃない?
もちろん、程度の良い本物のスピットファイアを集めるのは容易いことではないだろうけど。
登場人物の名前すらよくわからないままなので、感情移入もなければ大きな感動もないが、これはこれでじゅうぶん楽しめた。
ちょいちょいいきなり銃弾が飛んできて、ドキッとさせられるが、それほどグロくはないので、大丈夫ですよ(←何がw)。
ノーラン監督が”戦争映画ではない、サスペンス・スリラーである”と強調した106分の緊迫した映像を満喫する
確かにこの作品には、残虐なシーンは殆ど描かれない。が、それ以上の緊迫感が全編に漲っている。
冒頭、若き英国兵(ファン・ホワイトヘッド)が姿の見えない独逸兵の銃弾を掻い潜りながら、ダンケルクの浜辺に駆け込むシーンから飛び交う銃弾の音が腹に響く。
ダンケルクの浜辺には救出を待つ多数の疲弊した英国兵たちが佇む。散発的に飛来し、砲撃する独逸機。何故、独逸陸軍が浜辺に進行して来ないのかは明らかにされない。(所謂、今でも謎とされる西武戦線最大のミステリーである。)
が、観ている側にしてみれば、何時独逸軍の総攻撃が始まるのか、ダンケルクの浜辺の多数の英国兵士はどうなるのかと手に汗握る。そして、その気持ちを煽るメトロノームのようなチッチッチ・・・と静かに響くリズム。
この緊迫したシークエンスを、陸(防波堤)・海・空から描くノーランの画。見事である。
所謂、「ダンケルク・スピリット」として、現在でも英国で語り継がれるシーンは感動的であるし、僅か二機のスピット・ファイアで独逸空軍の攻撃を食い止めようとするジャック・ロウデン扮するコリンズとトム・ハーディー扮するファリアの奮闘ぶり。
特にコリンズが撃墜された後、燃料が尽きたスピット・ファイアで敵地に飛翔する(燃料が尽きたので滑空状態なのである)ファリアの笑みさえ浮かべた姿には目頭が熱くなる。
ノーラン監督は”戦争映画ではない”と主張するこの作品は、私にとっては、「プライベート・ライアン」「フューリー」「ハクソーリッジ」といった作品とは大きく異なる手法を使った戦争映画の傑作なのである。
<2017年9月9日 劇場にて鑑賞>
<2019年9月4日 追記>
この作品発表時、ほぼ無名だった、”トム・グリン・カーニー” ”ジャック・ロウデン” ”アナイリン・バーナード” ”バリー・コーガン” 出演作が昨年から目白押しである。実に感慨深い。
芸術的な作品なのかな…?観方がいまいちわからなかった
グランドシネマサンシャイン/IMAXで観てきました。
軽いネタバレ程度のレビューと、ダンケルクの戦いについて軽く知識をいれて観ましたが、この映画の良さがわからなかった…。
まずノーラン特有の時間軸いじりが、実に弱かった。
複雑だから良い訳でもないのでしょうが、1週間・1日・1時間に分けた割には緊張感や複雑さがなく、見ていてもしっくりこなかったです。
CGを使わない撮影も評価された理由の1つかと思いますが、
リアルな戦場描写、音も常に鳴り続け、戦場に居るような体験をしたという前評判に期待するも、
思ったよりい迫力がない…!?と感じてしまい、
あり得ないアクションや爆破表現のCGに慣れ過ぎているのかな?と少し反省しました。
もしこれが、硫黄島など日本人に馴染みのある戦場だったら捉え方が違うのかな?と想像してみても、どうもしっくりこず。
芸術作品としてみると、悪くないなぁ~と思いつつも、
やはりしっくりこない作品でした…。
ん?面白いかこれ?
イギリス人がかっこいい!
現実的戦場体験と映画的カタルシスの両立
ダンケルクからの撤退作戦を描いている作品ですが、状況説明が全くと言っていいほどされないので、事前に歴史的背景を予習しておいた方が入りやすいかと思います。
また、冒頭のテロップで「海岸の一週間」「海の一日」「空の一時間」と出ているように、それぞれで時間の流れる速さが異なることにも注意。海岸は長い時間を短く、空は短い時間を長く描いています。
ノーラン監督らしい時間軸のズレ。私はこの意味がわからないまま観てしまいました。それでも大きな問題はなかったですが、知った後だとこの3つが交差する点がより感動的に思えます。
本作は、登場人物の内面描写を静かで内に秘めたものにすることで、鑑賞者自身が戦場を体験しやすいようにしていると感じました。インタビューのないドキュメンタリーのような。空爆や魚雷だけでなく、水の怖さもよく伝わりました。映画館映えする作品ですね。
主人公にも活躍らしい活躍は見られず、戦争映画によくある戦友との友情なども薄く、兵士の間で名前を呼び合うことも数回。悪く言えば特に前半は盛り上がりに欠け、地味です。ですが戦場では個が許されないということの表現にも思えました。主人公もいわゆる勇者のような選ばれた主人公ではなく、ただ1人の兵士としての描写だったのだと思います。
セリフも少なく、演者からすれば表情や仕草に感情を込めるのは難しかったのではないかと思います。
私はテレビでの鑑賞でしたが、映像もさることながら音響もよく、ハンスジマーのbgmも緊迫感を引き立てていました。本作のフィルムの都合上、通常のスクリーンでは上下の40%がカットされてしまっていることもあり、IMAX鑑賞を勧める方が多いのも納得です。
序盤中盤では現実的な苦しい展開が続き、終盤に映画的カタルシスを詰めてありますね。苦しい展開が続く中でカタルシスを感じさせようとしているのは良かったのですが、中盤まで現実的だっただけに、少し娯楽映画っぽく、浮いているようにも思えました。しかしカタルシスの後に辛さやほろ苦さを残す描写を入れているので、バランスの取り方が上手いなと思いました。
空軍の2人が格好良かった。特にトムハーディ演じるファリアは英雄的に描かれていましたね。個人的にはコリンズ役のジャックロウデンがとても好み。イケメン版サイモンペッグとか言っている人がいて笑いました。
好きなシーンを並べておきます。
冒頭のビラが降り注ぐシーン。印象的で美しい始まり方でした。
ドーソンさんがスピットファイアをエンジン音で聞き分けるところと、それができる理由。
そして終盤の「何が見える?」からのファリアの活躍。
ラストの新聞記事、毛布おじさんとビールおじさん。そしてボルトン中佐。
映像作品として、とても素晴らしい
映像作品として、とても素晴らしい。ただ、そっち寄りのため、ストーリーを丁寧に追うような親切な作りにはなっていない。途中で飽きる人は多いでしょうね。
とくに、三つの視点(浜辺、船、飛行機)が重なり、意図が鮮明になるまでは、拷問のような遅い展開。映像美で我慢。
さすがに幕のおろし方が上手いので、トータルまとまりもあって鑑賞後の印象は良い。正直、中盤あたりで興味なくしかけてたので。
たぶん、戦闘機を撮りたかったんでしょうね。プロペラとまった戦闘機の姿にロマンがあります。
時間軸の妙
1940年、フランス北端の海沿いの町ダンケルク。ドイツ軍に包囲され、逃げ場を失った英仏連合軍40万人が決死の覚悟で撤退する物語。イギリス人兵士トミー(フィオン・ホワイトヘッド)の視点を中心に陸の1週間、パイロットたちの空中戦を1時間で切り取った空、そして彼らを救おうとする民間船の1日を描く海を時系列をバラバラにして、最後には1つに帰結するという作品だ。
トミーは市街戦で仲間を失い、帰還のために兵士たちが集まった海岸へとたどり着く。寡黙な青年と行動を共にし、負傷兵を担架で運んだりして船に乗り込もうと努力する。早く船に乗り込みたいがために桟橋の陰に隠れたりして、姑息な手段も厭わないのだ。
最新鋭スピットファイアのパイロット、ファリアー(トム・ハーディ)は味方の撤退を援護すべく、ドイツ機と空中戦を繰り広げる。一方、民間船の船長ドーソン(マーク・ライアンス)は息子とともに危険を顧みず、ダンケルクを目指す。
時間軸の妙があり、同じ場面を多角的にとらえていたり、どういう風にまとまっていくのかというサスペンス。ドイツ兵がほとんど映らないという恐怖感も相まって、スクリーンの中に引き込まれる臨場感もありました。空以外は撤退劇、救出劇なわけで、こちら側から攻撃することはありません。戦況もさっぱりわからないけど壊滅的な状況ということだけわかるという、観客もほんとに逃げ出したくなる手法で描かれてます。
セリフが極端に少ないのも特徴の一つであり、その効果もあって、どっぷりと映画に浸れました。ようやく傍観者として観ることができたのはイギリス本土にたどり着いた後。逃げ帰ったことがどういう評価になったのかを知ると、ホッとできるはず。
戦場のレクイエム
タイトルなし
いまなぜチャーチル?いまなぜ第二次世界大戦?というのはありながらも。
アメリカ参戦前のヨーロッパ戦線。当然英仏目線の作品だが、撤退だけをひたすら描写するというなかなか渋いチョイス。
連合軍側は基本やられ役で最後に一矢むくいるというか、なんとか最悪の事態は免れる訳だが、それでもあくまで命からがら撤退できたに過ぎないというなんともストイックな作品。
この作品では、ドイツ人を殺害するシーンはほとんど出てこない。それは、敵を殺す高揚感ではなく、戦争の恐怖感を擬似体験させるためだろう。戦争賛美にならぬよう苦心したのがうかがえる。
また3つの異なる時間軸の使用によって、航空戦力の圧倒的重要性がいみじくも表されている。題材は真珠湾攻撃の一年以上前だ。
この後5年間戦争は続く訳だが、脱出できたうちの何割が戦後を見られたのだろう。気が遠くなる話だ。
当時の戦わなければならない過酷な時代
感想を書くのが難しいです。。
他の人を見捨てず守りながら国に帰ることをただひたすら願う者。
戦って取り残されている兵士達を迎えに行くために船でひたすら危険な地ダンケルクへ向かう者。
戦闘機で守るために攻防しながら打ち落としひたすら最後まで戦う者。
どの立場の者も必死で決して諦めない姿は胸が締め付けられます。
たくさんの故国の船を見たときは歓喜で涙し、列車で戻った時も国民の反応に涙しました。
でも、「降伏しない、戦い続ける」と言う言葉には、賛成できませんでした。
日本は白旗を掲げ、敗けを認めたところから平和になったことを考えると、違うかな、と思いました。(恥ずかしながら、戦争のことはほぼ知識がないに等しいです)
過去の事なので、その当時の思いで描かれている言葉であるのはもちろん理解していますが…犠牲になった人がたくさんいて、「こんな辛いことは嫌だ、もうやめよう」とはその時点で思わなかったのだろうか…と感じたので・・(簡単でないことは承知で発言してます)。
うーん、、やっぱり感想難しいですね!
言葉が乏しくて上手く伝えられません。。
すみません。。
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