「この飛行機映画が伝えたいものとは?」ハドソン川の奇跡 足立佑介さんの映画レビュー(感想・評価)
この飛行機映画が伝えたいものとは?
『ハドソン川の奇跡』は、クリントイーストウッド監督にしては、上映時間も非常に短く、内容もシンプルなものだ。
バードストライクによって両エンジンが停止した飛行機を、ハドソン川に緊急着陸させ155名の人命を救ったサレンバーガー(通称:サリー)機長。
奇跡を起こした「英雄」とされながらも、事故のPTSDに悩み、メディアや国民からの過度の注目に困惑する。
さらには、NTSB(国家運輸安全委員会)から「飛行機は近くの空港まで戻れたのではないか、飛行機は無駄になったのではないか」と尋問され、まるで容疑者のような扱いを受けるサリー。
彼の心理描写を、回想を交えながら丹念に描いたのが本作だ。
この映画を観て、何を感じるかは人それぞれだが、監督が伝えようとしたもの、それは「人間らしさ」だろう。
クライマックスとも言えるシーンで、主人公サリーがこう語る。
“If you’re looking for human error, make it human.”(「ヒューマンエラーを見つけたいのなら、そのやり方もヒューマン(人間らしさ)を忘れないでくれ。」)
データやシュミレーションだけでは判明しなかったことが明らかになる、本映画の肝となるシーン。
ここに、クリント・イーストウッド監督が伝えたかったことがあると思う。
本編直後に挿入される「実際の」サリー機長や家族、乗客などのドキュメンタリーもおもしろいのでぜひ観ていただきたい。
そこにもさまざまな「人間らしさ」を感じられるだろう。
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