「結果的にコンピュータと人間のせめぎ合いのようになっていて、そこが最大の見どころだった。」ハドソン川の奇跡 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
結果的にコンピュータと人間のせめぎ合いのようになっていて、そこが最大の見どころだった。
旅客機がハドソン川に不時着したのは知っていた。
でも当時は「ふーん、そうなんだ、助かってよかったね。」くらいにしか思わなかった。
まさかこんなことになっていたとは知らなかった。
その後のことはまったく報道されていないか、報道されていたとしても見ていなかった。
そんなに面白そうな事件ではないので、原作本を見たとしてもたぶん読まないし、師匠(特別に尊敬しているので、イーストウッド監督を師匠と呼ばせていただきます。)の映画でなければ見なかった。
見てみたら師匠の映画はいつもそうだけど、すごく面白い上にいろいろ勉強になる素晴らしい映画だった。
考えてみたら、事故によりとんでもない損害が出ているわけだから、機長の判断が正しかったかどうか調べるのは当然だ。
しかしその調べ方がコンピュータシュミレ-ションというのに驚いた。
データ(たぶん全ては把握できない)を入れたコンピューターが空港に戻れたから機長に過失があるというのなら、最初から全部コンピューターにやらせろ、あるいは指示させろ、ということになる。
でも、もしコンピューターが操縦あるいは指示していたら、川に不時着などということをあらかじめプログラムされているということは考えにくく、それこそ大惨事になっていた可能性が高い。
結果的にコンピュータと人間のせめぎ合いのようになっていて、そこが最大の見どころだった。
そして何が正しいのか間違っているのかよくわからないところが、師匠の一連の映画のテーマにも合っていた。
内容的には、事故のシーンを分割して、機長のフラッシュバックとして、少しづつ全編にわたって入れていく手法がよかった。
これが、現実感を失わずにパニック映画的な面白さを出していて、最後まで飽きずに見られた。
そして最後の最後に一番盛り上がるシーンを持ってきていて、ラストシーンに一番感動、続くエンドロールにも余韻が残り引き続き感動、本当に最後の最後まで無駄なく作られていて、素晴らしい仕上がりだった。