「達人ならではの一筆書き」ハドソン川の奇跡 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
達人ならではの一筆書き
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「過不足なく」というのはこの映画のことを言うのだろう。物語の核はコレだと見極め、余計なものに目をくれず一直線にゴールを見据えて作る。やりたいこと伝えたいことが明確で迷いがない。達人イーストウッドならではのみごとさだと思う。
ただ「なすべきときになすべきことを成した人々の矜持」という美談以上の膨らみが感じられない、と言うとワガママだろうか。
さすがですら!と感心しつつも、ムダな脇道や得体の知れないこだわりが漏れ出た映画の方が記憶や心に残ったりする。物語も演技も演出も立派なだがなにか物足りない。そんな贅沢な葛藤を呼び起こす時間でもあった。
いや、同じ事件に着想を得て、本当にどうしようもない男のどうしようもなさを突き付けるフィクション『フライト』の方が好みというだけかも知れません。96分でこれだけの作品が観られるのだから損はないと思いますが、こんな感想もあるということで。
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