雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのレビュー・感想・評価
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デモリッションのオープニング
ウォゥウォゥ....!!クラッシュしてから出るタイトルの流れが好き。
J・M・ヴァレは「ダラス・バイヤーズクラブ」に"お遍路の女"と実話を描いていて撮り方は「わたしに会うまでの1600キロ」"お遍路の女"に近い印象の本作。
セリフでの説明は極力せずにイメージ映像的に過去を断片的に入れてくる演出。
N・ワッツの変態的な行動が気味悪く。
苦情の手紙からJ・ギレンホールに興味を持って相手して尾行までする根拠が解らない。
子役が全然、魅力が無くて存在感も薄いってか意外に話の中心にはならない感じ。
成り行きで交際して流れで結婚してしまう感じは理解出来るけれど奥さんが死ぬ前から?死んだ後から?J・ギレンホールの精神的に崩壊する変化の理由がイマイチ納得出来ず話の展開も何処に進んでいるのか中途半端な、オチも含めて。
蓄積された
主人公が行なった破壊活動は見ていてとても爽快な気分になりました。私達が普段抱え込んで塞ぎ込んでしまうようなところを主人公は破壊(分解)を行うことによって自分にわかりやすいように咀嚼したのではないでしょうか。だからこそ、私達はカレンと同じようにあなたのように正直になりたいと思うのだと感じました。主人公に愛を疎かにされながらも、ジュリアが車のサンバイザーにメモを残してあったところでは心の中に温かいものが広がりました。類をみない作品だと思います。
自己
喪失感の先にあるもの
「ナイトクローラー」での凄みのある演技で観客を魅了したジェイク・ギレンホールの主演最新作は、昨年公開された西川美和監督の「永い言い訳」を彷彿させる。
まず主人公の設定が、妻を交通事故で突然亡くしたにも拘らず、悲しみが無くて涙も一滴も出ないこと。
そして、ある事で知り合った親子との交流を通して主人公に変化が訪れること。
更に、妻が残していたもので心の硬い殻が割れて、埋もれていた感情や気持ちが表に出ていくところ。
ただ、衣笠幸夫と本作の主人公デイヴィス・ミッチェルは、本当の気持ちに辿り着くまでのアプローチが違う。
会社の上司で義父でもあるフィル・イーストマンの「心の修理も車の修理も同じことだ。隅々まで点検して、組み立て直すんだ」という言葉を契機に、恰も“答え”を見付けようとしているみたいに、自分の身の回りにあるものを次々と分解、または破壊していく。
本作の原題“Demolition”は主人公のこの行為からきている。
それでは邦題の「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は何を意味するのか?
本作は、デイヴィスがこの少し抽象的な言葉に辿り着くまでの心の旅を描いている。
ジェイク・ギレンホールは複雑な人物を演じることが多いように思うが、それは、どのような役柄でも現実離れさせず、我々に共感を呼び起こさせる確かな演技力があるからなのだと思う。
そして、この男の心の旅を見守り、手を差し伸べるシングルマザーのカレン・モレノをナオミ・ワッツが、同様に喪失感から再起しようとする義父のフィルをクリス・クーパーが演じていて、作品に彩りやアクセントを付けている。
主人公が破壊の果てに見出したものは何だったのか?
冬の長いトンネルを抜けて、春の光に包まれたようなラストが心に残ります。
タイトルについての解釈
私にはわかりにくかったのですが
頂いたチラシを読んであらすじチェック、妻に先立たれた夫の…という事で、夫婦愛を描いた泣ける感動映画、亡くなった奥さんの深い愛情に、仕事人間の夫が人間らしさを取り戻していく…なんてストーリーを勝手に想像。
そう思い込みつつ映画が始まり鑑賞しているも違和感が、まず亡くなった奥さんの愛があまり感じられない事。
仕事人間の夫デイビスは徐々に奇行に走り出し、突然非常停止レバーを引いて電車を止めたり、公共物を勝手に分解しまくったり、精神が病んできたかのような行動を起こすが、「物を大切に」「他人に迷惑を掛けない」という日本人感覚の私はあまり同情できなかった。そんなこんなでハッピーエンドのような結末を迎えますが、私はあまり釈然としないまま。
(以下ネタバレですが)映画の帰り道、同行者とちょっと語り合ってみたのですが…自宅を破壊したデイビスが奥さんの鏡台から発見した書類、私は何だかわからなかったのですが、同行者によれば胎児のエコー写真だったとのこと。なるほどつまりこれが不貞の証拠だったのか。あと最後のメリーゴーランドも、楽しんでいた子供達が障害者ぽかったという事で、基金の使途は社会福祉的なものだったのねと納得。他にもアレコレ、ちゃんと見ていればそれと繋がるようなシーンが随所に隠されていたようで…私にはちょっと高度過ぎました!慧眼の同行者のおかげで評価がちょっとあがりました。
破壊を経てたどり着いた、確かな希望
原題のDemoliton=破壊とは、
趣が異なる邦題『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』だが、
本編のとあるシーンで象徴的に登場するあるメモから
引用されているものだった。
劇中に登場する、奥さんが遺したいくつもの”メモ”。
不在であるはずの奥さんという存在が、
主人公のデイヴィスの心情を揺るがしながらも
物語を紡いでいき、観客を物語に引き込んでいく手法は、
ジャン=マルク・ヴァレ監督の才能の賜物のように感じる。
彼女が死んでも涙が出ないなんて、
僕の心は何処に行ってしまったんだ・・・?
”無感覚”という感情、喪失感に悩まされ、
身の回りのあらゆるものを
破壊し、すべてをゼロにしたことで、
自らの感情と、そして本当の意味で、
奥さんと向き合うことができたんだろう。
他者という存在によって、
哀しみは少しずつでも乗り越えられていけるという希望を
ビターに描いた、傑作!!!!
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