海よりもまだ深くのレビュー・感想・評価
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日常のあまりの自然さにニヤニヤする
是枝監督の映画は、 いつも見始めて数分で、 「あぁ、こういう人いるいる」 「いやぁそうそう、そういう時あるー!!」 の連続で、 どこでこんなにごく普通のありふれた家庭の一コマを 切り取ってきたんだろう、と感心するくらい そこにみんなの日常が凝縮されている。 主人公のヘタレ具合や、 でもその中に自分の一部を重ね合わせてしまうところ。 そんな周到な演出になっているから 派手さはないのに多くの人を惹きつける作品に なっているんだろう、と思う。 幸せになるには、 何かを手放さなきゃいけない、か。 じんわり、耳に痛いお言葉です。
やっぱり
監督と主演のワンパターン作品 是枝調というか何というか撮り方や展開が一緒で結局、お馴染みの脇を固める役者さんの演技が素晴らしく映るように見える。 過去の作品を意識し過ぎて危険を冒さない手法。 阿部ちゃんも脇役の演技の方が魅力的。 主演作だと妙に力んだ演技をする。
なにもないのが
観て一番最初に思ったのは、なにも起こらない映画だな、と。ほんとうに大した出来事はなく、台風で一晩一緒に過ごすことになった元夫婦ってだけ。 でも、それがいい。 まず、キャストの演技力は素晴らしいと思う。 樹木希林さんはもちろん、真木よう子さんも素晴らしかった。子供役も、寂しさのような感情をうまく顔で表現できていたと思う。こんな子供は結構いそう。 眠くなってしまう人は眠くなるのだろうが、いいと思う。 ちなみに、葉山奨之くんがワンシーンだけで出演していました。 中村ゆりという女優さんが綺麗でした。
さすがです。
是枝さん。阿部寛のどこまでもカスっぷり、最高でした。でもたまに核心をつくからそれがまたムカつく。どんなにクズでも、我が子を愛さない親はいない。クズなりに、愛情を注いでる。息子とおばあちゃんの気持ちを思うと切ないが。二人の語らうシーンは泣けた。子役いい。
んー深いね
タイトル通り深い話ですね。登場人物みんなにもっと器用に生きれば良いのにって、みる方にイライラさせるのが、是枝さんの作品ぽい。真木よう子離婚後???撮ったのか、阿部寛が復縁迫り断るシーンが妙にリアルに見えた。
「あれ」、「これ」が映画の核心
日本人がよく使う「あれして」「〜がこれで」というオブラートに包んで核心を言わない、日本独特の感性が潜んだそんな映画です。台湾で観ましたが、この微妙な日本人の表現方法は理解できなかったかもしれませんね。「もう、それでわかってよ。」あの、このの細工に気付いた方は日本人の感性を十二分に持ち合わせた方なのでしょうね。
負けるもんかー
初見の感想です。
感受性が強いもので、製作委員会のかたがたに、「君たちこの映画に共感するでしょ、でも人生捨てたものじゃないから。ままならないこともあるけど、幸せ見つけて今を大事に、前を向いて歩こう、ねっねっ」と言われたような気がして、
余計なお世話じゃバカやろう!あたしゃビックになるぜ!ったくよう!
と力が湧いてきました。
いや。ほんとに、実は好きじゃないです。
なんか余計な手垢がつきすぎてというか、是枝監督の「市井の人演出」が心なしかその路線でクドくなってきたような気がしました。
抑圧された場面が続き、台風一過ですっきりするという構成は爽やかなんだけど、これをメジャーでやる意義は…とか考えると、お偉いさんにうまく使われたのではという邪推が生まれ、正直純粋に楽しめませんでした。
女優樹木希林は相変わらず持っていきますが。小林聡美も。
実家に帰ったような懐かしさ
団地育ちなので、もう、実家に帰ったような懐かしさ。いい作品でした。 大きな阿部寛が昭和の団地サイズの部屋を行き来するだけでちょっと可笑しいのに、良多のガキっぽさ情けなさに苦笑です。 元妻もどうも男運が無いようで、、。 団地の完成とともに植えられた苗木は今や大木になり、いつの間にか遊具が減ってしまった公園には静かな時間が流れている。 そこできちんと生きている良多の母、演じる樹木希林が素晴らしかったです。
覚えてるよ、忘れないよ。
派手な映像や二転三転するシナリオで惹き付ける映画
というのも当然好きなのだけど、映像も物語もシンプル
なのにスクリーンに釘付けにされる映画ってのが
世の中にはある訳で、それって大予算組んで制作
された映画よりも物凄い事かも知れないと時折思う訳で。
本作もそんな映画。
巨大宇宙船がアメリカ東海岸全域を破壊している間、
こちらはカチカチに凍ったカルピスシャーベットを
スプーンで砕く事に苦心してるてな具合のスケール感。
昨年の同監督作『海街diary』もハデな映画とは
到底言い難いが、本作はさらに小規模だ。
にもかかわらず、上映中こちらの目は釘付けにされてしまう。
それは何故かと考えたら、この映画に登場する人々に
シンパシーを抱かずにはいられないからだと思う。
彼等の行き先が気になってしようがないからだと思う。
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「どうしてこうなっちゃったんだろう?」
色んな人物がそう口にした。
大人になった自分は、もっと立派な人間に、
もっと良い人間になってると思ったのに。
大きな夢を抱く事は誰でも出来るけど、
それを実現できるのはほんの一握り。
大成する人は才能だけでなく、日々の努力を
惜しまぬ精神と運とを兼ね備えた人だったりする。
主人公リョウタのように多少の才能があってもうまく
いかないし、大抵の人はそんな才能すら与えられない。
モーツァルトになれずとも毎日努力さえすれば
サリエリくらいにまでにはなれるかもだが、
『1日1日を大切に』だなんて啓蒙じみた言葉を
何百何千回と聞いてきても、リョウタと同様、
やっぱり流されるままに生きてる日常。
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だがそのことをそんなに深刻に考えなくても、
これこうして僕らは生きている。むしろリョウタの
母のように、下手に執着し過ぎないから生きられる。
「あたしは海よりも深く人を愛したことなんか
ないけどさ、それでも楽しく生きていけるのよ」
そう語った彼女の言葉は真を突いていると思う。
“愛してる”だなんて、そんな大袈裟に言うものでも
思うものでもないのかも知れないし、始終そんな
重い心を抱えていたら、自分が生きてゆけなくなる。
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だけど、
あの母でさえも“楽しく生きて”見えない時があった。
どうしてこんなことになっちゃったのかね?と、
息子の嫁に声を震わせながら語ったあの瞬間だ。
ふだん忘れていても、“愛してる”という気持ちは、
ちょうど塗り重ねられた油絵の具のように、
時々ふっとその顔を覗かせる。
息子の離婚に心を痛める母、
息子の本をほうぼうに自慢していた亡き父、
本の話の時だけほんの僅かに表情の和らぐ妻、
そして、現在進行形で息子を愛するリョウタ。
公園の大ダコ。あの大ダコはあの夜、海の底にいたのだろう。
深さを測れる方法は無いけど、リョウタは息子を深く愛してる。
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けど、ごく当たり前の話、人間はいつか消える。
どれだけ大事に想っていた、大事に想われていたと、
後から気付こうが気付くまいが、人は消える。
もうすぐ私は死ぬだろう。
そんな言葉を、いつも冗談ばかり言っている
親から聞くと、何だかドキッとしてしまう。
それで笑って誤魔化す。バカなこと言うなよと。
当たり前に思えるものが信じられないほどあっさりと
消えてしまう事を、頭の中では誰もが理解している。
だが、それを本気で考える事は無意識に避けてしまう。
だって、それってものすごく怖い事だから。
それでも時にはその事実を痛感させられる時があるのだ。
当たり前のように思っていたものが、自分の前から
消えかけてしまっていることに気付く瞬間があるのだ。
終盤、階上から手を振る母の姿に、目が潤むのは何故だろう。
並んで去っていく妻と子の姿を見つめ続けるのは何故だろう。
この瞬間を目に焼き付けねばと強く願うのは何故だろう。
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日々の生活に流されながらも、
「これは忘れてはいけない瞬間だ」と気付く時がある。
それなら、メモでも何でもいい。心に留めておかなくては。
覚えてるよ、忘れないよ。
優しいエンドロールの歌声に、
僕の覚えている事は、忘れたくない事は、
一体何だろうかと考える。
<2016.05.21鑑賞>
どこで人生狂ったのか…
誰でも子供の頃は夢を持っていたはず。 だらしない駄目な大人になりたいと子供の頃から思ってはいない。 なのに、なぜ駄目な大人になってしまうのだろうか… そう思って観ると、この映画は厳しい現実を突きつける。 離婚協議中の夫から浮気調査された妻の言葉「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ、私の人生」 だがしかし、芸達者な役者たちが、是枝監督のコメディセンスを光らせている。 自分を顧みて悲しくなりながらも、笑わせてもらった。
死から始まる物語、終わりは無い
先に一言、エンタメ作品が観たい場合は他作品へ 何かを諦める事を怠慢とするか、許しとするか、愛のある方へ。 捉え方、賛否両論作品と思いますが『息を止めて傍にいて』 原曲は生者、更に言えば恋仲(だった)の曲と捉えていましたが、本作の使用場合では少し違う情景が浮かぶようです
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