海よりもまだ深くのレビュー・感想・評価
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単純な日常をドラマチックに
是枝裕和監督らしいなぁと感じる優しく温かくも鋭い作品。何気ない日常をリアルに描きながら、そこに生きる人と活きるメッセージを存在させる。
樹木希林という大女優を観るだけでも価値がある。
その彼女から溢れ出るセリフがいちいち突き刺さる。
「幸せは何かを諦めないと手にできないもの」
「なりたいものになれたかより、そういう気持ちを持って生きているかどうかが大切」
そしてタイトルのセリフが効果的に彩る。
卒業式
壊れてしまった夫婦は戻らない。母親の願いもむなしく、かすがいのはずの息子の存在ももはや効果無し。
嵐の一日、この家族が昔の睦まじさを取り戻す。台風一過して、きっと一日前と違う人生を歩むに違いない。家族の卒業式のようだ。
ただ、停滞を抜け新しい生活のスタートであるのが救いだ。
登場人物に出演者がしっかりはまっていて良かった。
私もなれなかった。だから、おもしろい
なりたい大人になれなかった人へ向けてのストーリー。なので、主人公は底辺ギリギリのぱっとしない中年男。犯罪を犯す訳でもないので、そういった意味での映画映えもない。でも、この男を主人公に据える映画って貴重だなと思いました。現実にはたくさん存在してるはずなのに、何かいないような気がする人たち。完全に自分とは違うと言えなくて同族嫌悪から来るのかな。
この映画は何も起こらない、だから何も変わらない。
でも、胸に刺さるセリフがたくさんあって、余韻が残りました。
私もなりたい大人になれなかったひとり。と言うより「なりたい大人」の想像力が乏しかった。
自分の親を見てここは親と同じようになりたい、ここはなりたくないという視点しかなくて、自分の欠点や長所に目を向けて努力することを知らなかった。
「私の人生どこで間違っちゃったんだろう」も間違いの終点に着いてから出てくるセリフだなとしみじみ。
途中だと分からないんですよね。残念な事になぜか。
そこが、なりない大人になれた人となれなかった人の境目なのかもしれないなと思いました。
希林さん演じる淑子の住む団地、すごく懐かしさを感じました。昔は同じ所に同じような人が集まって似たような生活を送ってたのにね、今の若い人たちはどこに行ってしまったんだろう。
淑子が「海よりも深く人を愛した事がない」と言っていて、それは子供も含めてよね…だとしたら、淑子にはっきりそう言ってもらえて嬉しかった。
それに続く「深く愛した事がないからこそ、生きていける」もそうかもしれないな、と。
深く愛するって人によって定義が違うとは思いますが、愛の深さを測ってそれに捉われたら生きていけないのは確か。
希林さんの仕草ってただの自然な仕草じゃなくて、親近感のある自然な仕草だなと思います。母親や祖母を思い出す仕草。
実家に帰ったような安心感があるからこそ、淑子のセリフは私に向けて言われたように感じました。
この映画を観て、ほっとしたり十数年後の未来が怖くなったり、夫婦の難しさを感じました。
ある程度、歳を重ねたら考えすぎてはいけない。
自分の手に収まる中で幸せに生きることを考えないと。理想のなれてたかもしれない自分を作り出して、あるはずだった未来なんて考えてたらだめだなと思いました。
自分が定義するメディア作品の外にある
ドラマって見せ場を強調したり、いらないところをカットしたり、時には時間軸をこんがらがせたりするの思うんですが、そこんとこ上手くやる作品が名作だと思うんですが…。
そんな概念を敢えてやっていないので、酷評することもできません。
あるあるながら深い
不器用な主人公の生き様のようなものを日常から表現している映画で、大きな展開はないものの、引き込まれるのは是枝作品ならでは。
時々、共感してクスリとしまう、主人公のふるまいがアクセントになりました。
タイトルの意味を毎度考えられます。
哀愁漂う作品
団地暮らし、晩夏、手作りカルピスアイス。私には全く経験ない事なのに、なぜか哀愁が漂っていて切なく感じました。
理想の自分になれなくて、お金もなくて、ギャンブルで散財、元妻には未練たらたら。どうしようもない阿部寛ですが、そのキャラクターや息子との接し方を見ていると憎めない。
樹木希林さんの演技はとってもリアルだと思いました。すごく、本物っぽい。
感慨深いんだけど意味は分からない。 でも響いてくるものはある。 是...
感慨深いんだけど意味は分からない。
でも響いてくるものはある。
是枝監督の映画は少し難しいな。
どこにメッセージがあるのかとか、明確なオチがあるわけじゃないから自分で見つけないといけない。
自分で見つけた所でそれは正しい解釈なのかは監督にしか分からない。
一箇所思ったのはラストの宝くじを拾うシーン。
拾いに行く阿部と息子にどうせ当たらないという真木。
阿部は真木に必ず300円、つまり1枚は当たると言う。
それを聞き真木も拾うのを手伝う。
きっと阿部が宝くじを夢だと言ったからじゃないのかな。
そして「家族皆で夢を拾う」という表現かとも思った。
家族に戻れたらそれが一番いい。
でも阿部には向いてないし前に進むと決めた。
それでも希望は捨て切れていないというか。
皆がそれぞれの夢を思い拾っていたんだと思う。
電車で宝くじを全てあげたシーン。
あれは阿部が父の思いを知り成長した姿でもあり、夢を諦めた姿でもあるんじゃないかと感じた。
是枝監督の映画は響いてくるものは確かにあるけどそれを表現するのが難しい。
別れてしまった夫婦とその家族の日常の話。 樹木希林の存在感てほんと...
別れてしまった夫婦とその家族の日常の話。
樹木希林の存在感てほんとにすごい!
全てがうまくいかなくても、途切れることはなく続いていく幸せもあるんじゃないかって言われているような映画。
おもしろかったです。
台風の夜に
ストーリー的に盛り上がりというか、
起伏があるわけじゃないんだけど、なんとなく見入ってしまう感じ。
インスタントコーヒーの蓋に指で開けたみたいな穴があったり、
電子レンジをばたんと閉めると棚がグラグラ揺れたり、
しょうもない普通の日常の描写に細かい「あるある」が多くて、
演出も美術も丁寧に作り込んである印象だった。
テーマとしては「人の成長」とか「チャレンジする大切さ」とか
あるいは「穏やかだけど確かな愛」だとか
家族の姿を通して、本当にいろんなものを見せてくれる監督だとしみじみ。
「海街diary」「万引き家族」に続いて3作目の鑑賞。
ちょっと是枝ワールドにはまりそうな自分に気づいた。
是枝監督×主演・阿部寛が描く家族映画第2弾
台風の日に集まった元家族の夜が印象に残りました。中でも父(阿部寛)と息子の公園での遊具ん中での会話が共感しました。
それを見ていると、家族とはこういうものだなと思います。
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