海よりもまだ深くのレビュー・感想・評価
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こんなお話なら、現実の方がまるでドラマですよ...
ええ、俳優陣の演技はさすがですよ。
樹木希林さんの映画といっても過言ではない。
あんな演技(アドリブ?)できる人、
この日本にそうそういない。
自分の母親と話しているみたい。
もはや演技ではないですね、
彼女の存在感だけで成り立ってます。
阿部寛さんも、表情の演技がうまい。
どうしようもない
男の切なさが伝わってきました。
探偵事務所の部下池松壮亮さんも、
さらりとした演技で立ち位置を分かってる。
ダメな主人公を、引き立てている。
リリーフランキーさんの世界観は、
あいかわらずヤバい。
一瞬で空気を変える凄さがある。
いい加減出過ぎだけど(笑)
名優たちの仕事には、とても価値がありました。
けど、作品自体の質は、全く残念でしたよ
日常の生きているシズルだけで、お話がスカスカ。
こんな浅いテーマを、映画にする意図がわかりません。
ダメ男のあるある日常を2時間みせられて共感しないし、
主人公のセリフや行動が、
ドラマ的でリアルじゃないから響いてこない。
テーマを残そうという意図が見え見えの、
不自然なパーツたちも気になりました。
唯一おこるイベントの台風だって、
まるで都合よすぎ。
主人公の実家での悪行の数々も、
そんなのいらないでしょ(笑)
「なりたい大人になれなかった大人たち」
に贈るには、薄っぺら過ぎです。
そもそもこんな主人公じゃ、
なりたい人になれるわけないから。
もう感情移入が全くできず、
俯瞰で眺めるしかありませんね。
上手くいくはずもない悲哀すら、
描かれてない。
あの、こんなんだったら、
現実の方がまるでドラマですよ。
戦って、くじけて、打ちひしがれて、ボロボロになって...。
それでもほとんどの人は夢が叶わず、
自分にツジツマをつけて生きているんですよ。
観終わった後、
「海街diary」の監督だったか!と、後悔しました。
そんなことも知らないで観てたのですが(笑)
名優たちを集めて淡々と描く手法。
あいかわらずの過大評価に溜息です。
何ももらえなかったから、
観た後は焦燥感しかありませんでした。
これが是枝ワールドというなら、
1800円の劇場でなくTVで勝手にやってほしい。
譲ってスライスオブライフだとしても、
行間を読ませたり、光で語ったり、
構図や空気で唸らせたり、
間合いで気持ちを表現したり、
何か価値あるものを届けてほしい。
小津安次郎監督や市川準監督作品のように。
本当に役者たちの演技に救われて、
ちょっとだけ温かなキモチにはなれた、
そんな2時間でした。
もちろん想いは人それぞれだし、
皆さんの評価は高いようなので、
あくまでマイノリティの感想ですから。
勝手にほざいてるだけなので、
全く気にしないでください。(笑)
「純文学は死んだ。」
「純文学は死んだんだよ」のような台詞が劇中にあったが、まさにその通りを体現する一本。
近頃不発の続いた是枝監督の、本領発揮。
「なんでも無いようなことが幸せだったと思う」いつものテーマの裏の悲喜こもごもが、主演のネームバリューに食いつぶされた「海街」や、設定の特異さでイマイチだった「歩いても歩いても」と比べて非常に伝わりやすく良かった。
ただ。
「観終えて何の感想も湧かなかったわ~久々のハズレ引いたわ~」
鑑賞後のエレベーターに乗り合わせたカップルの女性の言葉。
そもそもソコが是枝映画なのに、多分にこれが今の日本の観客の実情なんだろう。
「映画を観る」のではなく、「観に行ってやる」自分物差しの風潮。
分かりやすく噛み砕いてもらわないと観られず、分からなければ理屈抜きでプンスカする。
喉から手が出るほどに欲しい製作費を、「フジテレビ映画」に頼ったのも大問題だなぁ。
フジと関わって評価が上がった映画がかつて一作品も無いし、むしろ日本映画を腐らせた元凶なんだもの。
監督との噛み合わせが悪すぎるし、儲け至上での宣伝がマッチする作品では無いのがまた不幸なんだよ。
作家性と商業性のまさに波打際を見た作品。
樹木希林さんの舞台挨拶 さすが、大女優 。マネージャー無しで、なん...
「今回の良多はあれだね〜」
是枝作品でよく聞く「あれ」ってフレーズ、今回も多かった。どこかにある家族の日常会話。
良多の未練タラタラで器の小さいくせにプライドだけは高くその上ギャンブル癖のある最低な男にはうんざりでした。危うく阿部寛を嫌いになりそうでした。
小説家で賞を受賞した事もあったのだが今では探偵事務所で日銭を稼ぐ毎日金欠な男である。
年老いた母は古い団地で1人暮らしていた。
娘の家族がたまに訪ねてはすねをかじる始末で、半年前に他界した夫にもお金で苦労させられたようだ。
長男の良多は父に似たのかお金にルーズで、いつまでも過去に囚われ、夢を追いかけ堅実さに欠ける。だから嫁に愛想を尽かされたのかも。
台風接近の一夜を母の家で元家族と過ごす良多。
もう一度やり直せないかと元嫁に問うが前に進ませて欲しいとバッサリ切り捨てられた。
良多は父との台風の思い出を今度は息子との思い出にかえた。
宝くじが当たったらおばあちゃんと家族皆んなで住む家を買うと孫の慎吾が言った時、本当にそうなればいいなぁと思った。
離婚や再婚は当人同士の問題かも知れないが、子供や親兄妹は突然家族になったり他人になったりできないし、割りきれない。
どんな形であっても家族なんだと実感できたんじゃないかな。良多も前に進んでいけるね。
素晴らしい会話劇
まずは、日常会話だけでも映画になる事に驚かされる。
しかしそれは、偶然の産物じゃなく必然なところが凄い。
この作品のテーマがしっかりして終始ぶれないからである。
そこに優れた演技力としっかり練られた脚本から生まれる日常会話は、どんなドラマにも匹敵する魅力がある。
主人公は、どうしようもないダメ人間なのだがなぜかその生き方に興味を抱いてしまう。
この作品のテーマとなっている「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」とダメ人間になってしまった主人公が言い訳にしている。
でもそれは、主人公の周りの登場人物も主人公ほど酷くないが全員そんな風に思って生きている。
そしてそんな映画を観ている私たちも同じだから共感できるのだろう。
ゆったりとした空気が流れる中で夢って何?幸せって何って心に問いかけてみたくなる。
でもそんなことは、ラジオから流れる歌が「海よりもまだ深くにある」と教えてくれる。
真木よう子が魅力的・・
笑い泣き
手放してはじめてわかる、大切なもの。それは、手放さないとわからない、大切なもの。
ぶっきらぼうでいて核心をつく台詞、たたずまいで匂わす感情、何気なく配する小粋な小道具、人物造形の説明を不要にさせる服装、実在しない人間の存在感、バックに流れる「別れの予感」、、。すべて是枝ワールド。
町田がかつて受けた恩がなにか、それはいいの、言わなくて。町田が、面倒がらずに良多の世話を焼く姿は、良多に父の影をかぶせているわけで、お互い、知らず知らずに今は一緒に入れない親と子を体験しているわけ。
泣けるか?っていえば「そして父になる」のほうが泣けたし、身につまされるか?っていえば「歩いても歩いても」のほうが胸に金属音が鳴るような気分だったし、ほっこりするか?っていえば「海街Diary」のほうが心が強くなれたような気がした。
だけど、大きなドラマがあるわけでもないこの映画は、それはそれでいいのだ。
またしてもでてくる良多。ダメな男。未練たらしいし、平気で嘘を言う。愛想つかされるのも当然。最後に心を入れ替えるわけでもない。だけど、町田が慕いたくなるような父性を持っているんだよな。だから、息子もなついてる。ダメな親父なのに。そこがわからないと、この良さがわからないだろうな。
希林さんが主軸の作品
是枝作品独特のカメラワークと画面の色合いが、自然な日常を映し出す。
自分的には経験してない事ですが、身近にも一人や二人いる主人公と同じ境遇の知り合い。。。
離婚した夫婦のその後の関係は様々でも・・・
子供がいれば、おばぁちゃんの存在は大きい。。。って部分を、息子・息子の元嫁・孫・実の娘・自らのプライベートを、樹木希林さん演じるおばあちゃんが、見事に転がしながらエエ味出してます。
阿部ちゃんのダメ親父、元妻・真木さんのスッピンな色気、エエ加減な元刑事で探偵事務所社長のリリーさん、阿部ちゃんの無茶振りを優しく包む池松くんと厳しく包む小林さんのチームワークが、見事でした。
離婚経験者にはグサッと沁みる作品じゃないかな!?劇場じゃなくてもTVでもDVDでも同じ感覚で鑑賞出来る良作〜☆4
肌に合わない
ふと、過去を振り返りたくなる作品です。
果たして敢えて映画にする意味が
有ったのか。このキャスティングで作る意味が有ったのか。製作者側が映画として世に出す意味は、果たしてどこに有ったのか。
物語は淡々と、平凡な日常と並行して、家族群像劇が少しずつ進んで行く。
子供の頃になりたかった自分と、大人になった今の自分とのギャップに苦しむ、市井の人々の気持ちを、代弁すること。それが、今作品の根底にあるテーマだったのだろう。
小説ならば、良い。心理描写を背景や情景で、思い巡らし、起承転結に運ぶペースも読者の読むスピードに合わせられる。
しかし、119分の尺で、見せ場らしい見せ場を、多分、敢えて作らずに淡々と見せる事で、役者に抑えた演技をさせてることで、伝えたいことを全うしたと思うなら、やはり、今作品は長尺ドラマで良かった。
素晴らしい演技で印象的だった代表作で言うと、樹木希林ならば『あん』。阿部寛ならば『麒麟の翼』、真木よう子ならば『ゆれる』など、名実共に観る者を魅了する名優たちをキャスティングしたのならば、やはり期待するのは当然のこと。
タイトル、本、役者、監督、P&A。
その全てが揃っても、?のつく作品は稀にあるが、今作品もその部類に入れざるを得ないのは、本当に残念。
映画はやはり、人が創造する最高のエンタテインメントであって欲しい。
考えれば考えるほど、
人生と云う名の宝くじ
夢、ありますよね。雨にうたれても、風に飛ばされても、願いが叶うと思えば。人の人生なんて、端からみたら、台風の後に残る、壊れた傘みたいなものですが、それでも、何かの役になったと思えば、壊れてても、意味のあるものなのでしょう。台風の日に集めた宝くじは、きっと人生の当たり券のはず。なりたかった大人になれなくても、海よりも、深く、今を愛したいものです。それが何よりも、幸せなことなのだから。人生と云う名の宝くじ。4ボール狙いの私ですが、前後賞くらい、なんとかなりませんかね?。
今作には「参りました」と言わざるを得ない。
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