劇場公開日 2016年5月21日

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「こんなお話なら、現実の方がまるでドラマですよ...」海よりもまだ深く Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0こんなお話なら、現実の方がまるでドラマですよ...

2016年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

難しい

ええ、俳優陣の演技はさすがですよ。

樹木希林さんの映画といっても過言ではない。

あんな演技(アドリブ?)できる人、

この日本にそうそういない。

自分の母親と話しているみたい。

もはや演技ではないですね、

彼女の存在感だけで成り立ってます。

阿部寛さんも、表情の演技がうまい。

どうしようもない

男の切なさが伝わってきました。

探偵事務所の部下池松壮亮さんも、

さらりとした演技で立ち位置を分かってる。

ダメな主人公を、引き立てている。

リリーフランキーさんの世界観は、

あいかわらずヤバい。

一瞬で空気を変える凄さがある。

いい加減出過ぎだけど(笑)

名優たちの仕事には、とても価値がありました。

けど、作品自体の質は、全く残念でしたよ

日常の生きているシズルだけで、お話がスカスカ。

こんな浅いテーマを、映画にする意図がわかりません。

ダメ男のあるある日常を2時間みせられて共感しないし、

主人公のセリフや行動が、

ドラマ的でリアルじゃないから響いてこない。

テーマを残そうという意図が見え見えの、

不自然なパーツたちも気になりました。

唯一おこるイベントの台風だって、

まるで都合よすぎ。

主人公の実家での悪行の数々も、

そんなのいらないでしょ(笑)

「なりたい大人になれなかった大人たち」

に贈るには、薄っぺら過ぎです。

そもそもこんな主人公じゃ、

なりたい人になれるわけないから。

もう感情移入が全くできず、

俯瞰で眺めるしかありませんね。

上手くいくはずもない悲哀すら、

描かれてない。

あの、こんなんだったら、

現実の方がまるでドラマですよ。

戦って、くじけて、打ちひしがれて、ボロボロになって...。

それでもほとんどの人は夢が叶わず、

自分にツジツマをつけて生きているんですよ。

観終わった後、

「海街diary」の監督だったか!と、後悔しました。

そんなことも知らないで観てたのですが(笑)

名優たちを集めて淡々と描く手法。

あいかわらずの過大評価に溜息です。

何ももらえなかったから、

観た後は焦燥感しかありませんでした。

これが是枝ワールドというなら、

1800円の劇場でなくTVで勝手にやってほしい。

譲ってスライスオブライフだとしても、

行間を読ませたり、光で語ったり、

構図や空気で唸らせたり、

間合いで気持ちを表現したり、

何か価値あるものを届けてほしい。

小津安次郎監督や市川準監督作品のように。

本当に役者たちの演技に救われて、

ちょっとだけ温かなキモチにはなれた、

そんな2時間でした。

もちろん想いは人それぞれだし、

皆さんの評価は高いようなので、

あくまでマイノリティの感想ですから。

勝手にほざいてるだけなので、

全く気にしないでください。(笑)

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