帰ってきたヒトラーのレビュー・感想・評価
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意欲作
ドキュメンタリータッチにインタビューを繋げていく展開は非常に興味深かった。ヒトラー的な存在を求める心は民衆にあるのという注意喚起は穏当な結論なのかな。1930年代と現代は相違点も多い訳で、現在の排外的言動や右傾化を当時と重ねて論じるのは、少し論法が雑にも思えたし、ヒトラー自身がここで描かれているようなアイコニックな存在かは疑問もあって、腑に落ちないところもあったのだが。ただ、それでもヒトラーの出現を描こうとしている点は意欲的であると思う。過去の映画におけるヒトラーやナチスの描き方はある意味、忌まわしき者として形式化されている訳で、その為、出現の真相が不明瞭にされてきたきらいがあるように思う。本当に民衆が生み出したのか?かつての既得権者はどのように政権を明け渡すことになったのか?今後、語られる機会も増えるかもしれない。
難民問題、移民問題をモチーフにしたコメディ
国家の成れと感性
なんとなく空恐ろしい
惹きつけられる、危うさ!
ヒトラーの生みの親?
風刺の効いたコメディ映画と軽い気持ちで見に行くのは少し危険。ドイツの歴史や文化、政治を知らないと分からない部分も多いものの、物語の根底には現代社会に通じるものが確かに描かれている。
TV、ネット、SNS、動画サイト、何がブレイクのきっかけになるか分からない今の世に甦ったヒトラーが何をするのか?どのようにカリスマ性を獲得していくのか?物語はユーモアと皮肉をタップリ詰めて観客に提供する。この大胆な物語に最初は笑って見ていたが、それらが徐々に笑えなくなってくるのがこの作品の怖いところ。
おどおどとした態度で正論を言う者よりも、堂々とした態度で過激な発言をする者の方が大衆の心をつかんでいくという、ヒトラーの姿は某大国のトップに立とうとする不動産王や憲法を容易く変えようとするどこぞの政治家と何ら変わらないではないか!
歴史的な悪者として描かれることの多いヒトラーであるが、彼を国のトップに立たせたのは民衆であるという事実(あのおばあちゃんの演技は鬼気迫るものがあった!)、そして、いつ、現代の大衆が、世論が、メディアが第2のヒトラーを生み出すかも分からないという事実をこの作品はサラリと観客に示すのである。
選挙に行こうと呼びかけるのも良いが、なぜ選挙に行かねばならないのかが分からなければ意味がない。ヒトラーが民衆と会話する中で一人の男性が「過ちを繰り返さないために、歴史を学ぶのさ」と言ったセリフが印象的であった。
社会的問題作
トレーラーではコメディ色の強い作品かと思いきや、物語が進むにつれ ...
排他主義の流行る世界へ投じた問題作、民主主義=多数決主義?
今、危険なポピュリズムとナショナリズムの流行る現代に投げかけられた問題作。色々と考えさせられる問題提起が豊富。テレビ界を含めたマスコミの怪しさも暴露。日本大好きドイツ人のメントラインさんの秀逸な映画コメントを引用させてもらいました。他に言うことありません。
「重要に見えるのは、社会全体に広がる「理性・教養主義に対する失望と怨嗟」です。
つまり、「道徳的に正しいとされる」建前の手続に従ってもな~んも良いこと無いやんか! どうせ年金も出ないやんか! きれいごとばかり言いよって、理性とか教養とかいうヤツらはこの俺を救わなかった! という怨念。そして怨念層とリベラル層は、じつに見事なほどつながっていない…まるで別の惑星の住人みたいです。
その怨念は、まさに日本とドイツの戦前の(問題アリアリな)民主主義の中で膨張し、強権政治を歓迎し、そして最終的に国家を大破壊へと導いた「民意」の集合意識と極めて類似する性質のものです。
」
コメディだと思ったら
意外と真面目な映画でした。
現代に生きる人間ならば、なかなか考えさせられると思います。
学校のお勉強上では極悪人のように伝えられるヒトラーですが、
とても勤勉で愛国心が強く、登場人物の中で最も国民のことを考えている人間として描かれていました。(ユダヤ人は除く)
実際、私の考えるヒトラー像に最もマッチしていて、とても共感いたしました。
ついでに、以前のヒトラー映画のオマージュがあり、めちゃくちゃ笑いました。
作品としての良し悪しでいえば傑作です。
個人的な価値観が混じってくると、様々な感想や意見が飛び交う作品でしょう。
これは議論されるべき作品です。
好きとか嫌いとか単純な話で済まされる映画であってはなりません。
ひとことReview
ドイツとその他の人類が抱えるトラウマ
目の付け所と、話の転がし方が秀逸。
誰の言葉か定かではないが「大衆は豚だ!」という言葉が頭に鳴り響いた一本。
笑えるのに笑えない、強烈なブラック(すぎる)コメディ。
アイコンとして非常にわかりやすい(実際、劇場が普段は来ない客層で満席近かった)ヒトラーをネタにしながらも。
その実問いかけられるのは「いつの時代も変わらぬ大衆の姿」ではないだろうか。
強烈な個性を発揮し、言いたいことを言ってくれるカリスマが現れれば。
簡単にそれに乗っかり、持ち上げ、支持した挙句に…簡単に手の平を返すその姿。
第二次大戦が終わり70年を経た今、世界を見ればアメリカでは今…
ここ日本でも、何故か結局政権は…
今も昔も変わらない「人の本質」をあぶりだされたようで、観ているにつれ背筋が寒くなった。
話題性だけでなく、その本質こそを観るべき作品。
最後までコメディタッチだけどとてつもなくブラックです。
まず、総評として大衆娯楽作品ではないので星4.5にしました。内容も大人向けで、現代社会の問題(特に欧州)を知らないと面白くないと思います。誰でも楽しめるというわけではないという点で-0.5。ただ、「楽しかった」以上のモノを与えてくれるという点では満点に近いです。
ヒトラー映画ですので、小学生とかのお子様には難しいのは見る前から覚悟できるのでそういった不幸は起きにくいと思いますけど。
しかし、本当によくできたシナリオだと思います。原作は未読ですが、ヒトラーが狂人ではなく優れた政治家として描かれており、ヒトラーの残した「狂った結果(ユダヤ人虐殺など)」を知らなければ、政治家ヒトラーに惚れそうになりました。(太ももにペンを突き立てて「憧れちゃダメだ!」ってやりそうになりましたw)
これまでのヒトラー映画のオマージュ・パロディがあり、ヒトラーの時代錯誤感で笑わせてはくれますが、現代社会への強烈な皮肉、問題提起、メッセージが込められており、ヒトラーに感情移入すればするほど、見終わった後で背筋が寒くなるというホラー。現代にヒトラーのような政治家が出現した時、我々は本当にアレを止めることができるのだろうかという疑問を強烈に突きつけられた気分です。
映画ですので多少ヒトラーがカッコよく描かれていたかもしれません。でも強烈なカリスマ性を感じてしまいました。そのことが何よりも恐ろしい。恐ろしい映画でした。
題材のとおり、万人受けする映画ではありませんし、受け手側が色々映画の中から汲み出さないとダメな映画ですが、たくさんの人に興味をもって見てもらいたいと思いました。
そして、是非ヒトラーの魅力に惚れる恐怖を味わっていただきたいです(笑…いや笑えないですね。
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