ソング・オブ・ザ・シー 海のうたのレビュー・感想・評価
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絵画展
ミロスラフ・サセック風の風景とか背景が素晴らしい。
パンフのアザラシや子供の絵も可愛らしいが、実際は何倍も良い。
灯台から街へ車で移動するシーンとか、とにかく自分の好みだったのでワクワクした。
各シーンがひとつの完成した絵画、つまり絵画展を見ているよう。
幻想的で各シーン素晴らしかった。
妹に辛く当たる優しかったお兄ちゃん。
理由は言わずもがな…かわいそうに。
しかし、お母さんはいずれ別れる運命だった?
お父さんは知っていたの?
何か秘密を知っていたかのようだったけど、あまりその辺の説明はないのが残念。
アイルランド好きならぜひ劇場で観るといいと思う。
精霊、冒険、勇気と成長、愛と歌
アイルランド、ルクセンブルク、
ベルギー、フランスそして
デンマークが製作した
ファンタジー長編アニメーション映画。
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灯台に住むひと家族とワンちゃん。街で暮らすお婆ちゃんと、精霊たちとの物語。
主人公は男の子のベン。
キーパーソンは妹のシアーシャとお母さんのブロナー。
ある晩。臨月を迎えているお母さんは海に消え、
海中にただよう妹シアーシャを引き上げたお父さん。
ベンからすれば、
妖精のお話(うたと絵)もたくさん教えてくれ、
優しかった、大好きなお母さんが消えた。突然に。
お母さんの命日が妹の誕生日なことに苛立ちを隠しきれず、妹に冷たく当たってしまう少年ベン。
妹は自分の誕生日会後の晩。ベンの宝物・お母さんがベンにと手渡してくれた貝の形の綺麗な笛を勝手に持ち出して笛を吹いた。
白い光に誘われ、お父さんが箱に隠していた白くて美しいコートを勝手に羽織り、海に潜ってアザラシに変身して夜の海を泳ぐ。
そのせいでシアーシャは風邪をひいてしまい、前から街に住むのがいいと一点張りのお婆ちゃんに、風邪っぴきの妹だけでなく、ベンもお婆ちゃんのウチに無理やり連行されてしまう。
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ここからがベン(とシアーシャ)の冒険が始まります。
道すがら、シアーシャを狙う謎のフクロウたちや、
フクロウから身を守るように建物に隠れる楽団の精霊たち、
びっくりするほど髪の長い・忘れっぽいが何でも知っている翁の精霊や、恐ろしいと噂の魔女にも出会います。
そこでベンは知ります、
なぜシアーシャが狙われるのか。
なぜフクロウが怖いのか。
そして、なぜあの方は楽団たちやほかの精霊たちを石に変えてしまうのか。
全てを知り、これまで冷たく接してきてしまった妹に対して、初めてちゃんと向き合おうとするベン。
(ベンだけじゃなく、ベンに習うようにか、ほかの皆んなも自分の悲しみや辛い気持ちにしっかり向き合うようになります。)
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ほかのレビュアー様と同じことを書いてしまいますが、絵が本当に素敵です。絵本のよう。
青の色彩も美しいです。
音も歌も素晴らしいです。
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少年が冒険を通して成長していくお話。
アイルランド(ほか4ヶ国)の
ファンタジー長編アニメーションをご覧になりたい方。
アイルランド神話、精霊やケルト調の音楽がお好きな方。
海がお好きな方。
オススメです。
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▶︎音楽 : KiLA
▶︎エンディング曲 : Song of the sea/Lisa Hannigan
歌と話は伝承を継ぐ
ベンの家の壁の壁画のようなイメージや、母から習う歌によってこの物語が文化の継承にテーマを置いていること、そして伝統の尊重が、時間と空間、世界のすべてとの豊かで健康的な関係を叶えるのだというメッセージが窺える。伝承はただの迷信ではなく、現実をより豊かに生きるための叡智なのだ。伝承と現実の密接さは、ベンの父とマクリス巨人、巨人の犬とペットのクー、祖母とマカのように、妖精と人間が相似形で対をなしていることからも、明白である。
そのテーマを詰めた、ベンの母の最後の言葉
「息子よ、忘れないで、あなたの歌や話の中にわたしはいるわ」
は印象的かつ感動的だった。
近代を経て大幅に神道文化を失った日本人の心にも、海を超えて響くだろう、美しい物語だ。
「北欧」が日本人にウケるわけも、なんとなくのぞき見える気がする。
壁画のイメージに合わせてか、ムーブメントや感情の変化が記号的ではっきりしているため、分かりやすく、万人向け。だが歌の歌詞の意味などを考えると決して深みがないわけでもなく、じっくり味わうこともできる。
絵とアニメーションは抽象度が強い。この手の抽象化、整理された表現は、記号的で冷たくなりがちと思う人も多いかもしれない。だが、グラフィカルなデフォルメとレイアウト、ブルーやオレンジの一貫したドミナントトーンがカッコ良くて見飽きないと共に、複雑な装飾的ディテールも豊かで、チープさ、単調さは全くない。手描き感を残したアニメが好きな日本人にも抵抗なく受け入れられるだろう。光の効果も良い。キャラはデフォルメされているにも関わらず、丁寧な人間味ある動きや表情で、温かみがある。大きい目がクリクリ動くなど、愛らしい。
さらに、神話を元にしたキャラクターたちが面白い。特に超長髪・髭のシャナキー(語り部の精霊)は個人的に好きだ。毛に記憶が詰まっているだなんて面白いし、毛に満たされた洞窟なんて見たことがなかった。グワングワン動く魔女のマカも迫力があり、盛り上がる。
メジャーな感想かもしれないが、要は、とてもキレイで整っていて有意義なメッセージのある、良質なアニメーションだ。
アニメ好きには、同じくセルキーのお話『Among The Black Waves』も合わせて観ることを勧めたい。表現がかなり異なるので、より豊かに作品を味わえると思う。
6歳の誕生日は一生に1回だけだよ
映画「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(トム・ムーア監督)から。
アニメと言えば、ディズニー、ジブリを中心に、
そして、最近では新海誠作品ばかり観ていた私にとって、
外国のアニメは、予想以上に面白かった。
それも「製作国」が「アイルランド・ルクセンブルク・ベルギー・
フランス・デンマーク合作」と知り、興味が沸いた。
ヨーロッパ5つの国の合作の意味を考えながら、
最初のナレーションをメモして読み直した。
「人間の子よ 行きなさい。海と自然の中へ
妖精と手を取り合って この世界は涙で満ちあふれているから・・」
さらに、母親から伝えられる「海のうた」の一節。
「この場所からこの瞬間にかけて 北から南にかけて」
「東から西にかけて 時間から空間にかけて」
このあたりに、ヨーロッパ諸国の親が子どもたちに伝えたい、
子育てのヒントが隠されている気がした。
それは「親子愛」「兄弟愛」の大切さを中心に、
「冒険」のドキドキ感、「涙・苦しみ」に対する考え方など、
「絵本の読み聞かせ」に近い形で、伝えられているのだろう。
しかし、私が今回選んだのは、ちょっと違う。(汗)
孫の誕生日を祝う、おばあさんの台詞。
「誕生日にそんな格好じゃみっともないよ。
6歳の誕生日は一生に1回だけだよ。きちんとした服を着なきゃね」
この考え方、日本でも伝えていかなくちゃ・・と感じたから。
作品全体を包み込む、リズムとトーンが心地よかったなぁ。
優しい絵柄の骨太アニメ
まるで絵本のようなアニメで、キャラクターの表情がとても豊かで魅力的。切り絵のような背景も素晴らしかった。
音楽も極上で、シアーシャの歌もエンディングテーマも胸に染み入る旋律でグッときました。
そんな優しい絵柄の本作ですが、内容はかなり骨太。悲しみ・苦しさと逃げずに真っ向勝負して乗り越える、とても勇敢な物語だと感じました。
ブロナーが海に還ってしまった悲しみと向かい合えず、酒に逃げるコナーと妹のせいにして悲しみを麻痺させようとするベン。おばあちゃんも息子の悲しみに耐えられない。一家の時間は止まってしまっている。ベンは妹をいじめ、おばあちゃんも強引になんとかしようとする。
でも、そんなことをしても何の解決にもならないんですよね。
ずっと恐ろしくて逃げている悲しみに向かい合わないと前に進めない。
マカに至っては、魔法で苦しみから逃れている。まるでドラッグに依存する人のよう。勇気を持って妹を探すベンの前に、優しくて甘い態度で現れるマカはなんとも恐ろしい。
そして、苦しさから逃げるのを止め、向かい合うきっかけになるのは、やはり気持ちが他者に向くこと。シアーシャを守ろう、取り戻そうという気持ちが生まれると、ベンもコナーも自然と勇敢になっていく。そして、その結果、悲しみと向かい合い乗り越えるのだ。
マカと息子の物語は、おばあちゃんとコナーの関係とパラレルですね。同じ顔だし(声も同じだった)。ずっとビンの中に入れてなかったことにしていた苦しさを解放して味わうことで、石化の魔法が解けていく。止まっていた時間が動き出すかのよう。ラストの団らんシーンは感動しました。
また、犬のクーがとってもいい!心理的に大きな問題と向かい合うにはあんな伴奏者が不可欠ですね。クーのような存在に人は支えられて、傷つきから回復していく勇気を得るのではないでしょうか。
ハリウッドあたりの実写でなくて、本当に良かった
大正解。大当たり。
キャラデザインが
何かに似てるなと
ずっと引っかかってたが
ポポロクロイス物語でした。
音楽も素晴らしい。
ケルト音楽はなぜ、あんなにも
琴線に触れるんだろう。
昔、友人に誘われて見に行った
リバーダンスを思い出しました。
ジブリアニメを彷彿とさせるシーン
島に帰るクーは
まるでメイトさつきを乗せて走る
猫バスのよう。
マカが息子の元に羽ばたくシーンは
千と千尋の湯バーバのよう。
これは絶対に実写でしてはいけない作品。
アニメでしか、しかも、このタッチでしか
成り立たない作品。
シアーシャがとにかく可愛い。
物語前半から時折見せる
髪を耳にかけるような仕草に
キュンキュンきました。
この感覚は、初めてとなりのトトロを
見たときと同じ感覚。
メイがマックロクロスケを両手で捕まえて
一段一段不器用に階段を降りるシーンで
キュンキュンきたときと同じ感覚。
シアーシャの力が弱まっていくにつれ
その耳にかける髪がどんどん白くなっていく。
そんな伏線だったのかな?
ベン。良いおにぃちゃんになったね。
お母さんがいなくなったのも、
お父さんがかまってくれなくなったのも
全部シアーシャのせい。
お兄ちゃんだけどまだ幼い子供だもんね。
マカの家に入る時にかけた
3Dメガネのシーンで号泣。
最後にシアーシャが歌を歌えたのは
ベン、君の心からの
後悔と反省があったから。
よく言ってくれたね。
ありがとう。
お別れのシーン。
「お母さんも一緒に残らないの?」
このセリフに号泣。前の座席の人も
後ろの人も号泣。
クー。
ベンとシアーシャを助けてくれて
本当にありがとう。
君ほど勇敢でユーモアで忠実な
パートナーは見たことない。
これからもみんなをよろしくね。
ベンとシアーシャを家まで送る時に
時折見えてたつぶらな瞳が
もうむちゃくちゃ可愛かったぞ^_^
おばあちゃん。
マイペースで時折自己中になるけど
自分の孫だもん。
愛おしくないわけがない。
それから、
たまにで良いから
シアーシャに
上等なタオルを使わせてあげてね。
本当にハリウッドあたりが
実写化しなくてよかった。
数年に一回あるかないかの
完全ノーマークからの
大当たりでした。
まずは予告を見てください。
何かしら心がザワついたら
是非見に行ってください。
何回でも観たいオススメ出来る作品です★
アニメを映画館で観るのはお金がもったいないなぁと思っている私ですが、数少ない口コミ評価が高かったので行ってみました!
結果、大正解〜〜♪
すごくすごく良かった♡
アートアニメーションとの事ですが、本当に絵画を見ているよう♡
映像が幻想的で且つカワイイ♡
すごく大好きな世界観でした!
内容はベンが妹に対してとっても嫌な態度を取るんだけど、私も長女なのでその気持ちちょっぴり分かります。
色んなヤキモチがあって意地悪しちゃうんだけど、兄弟だから本当はとても相手の事を大切に思っているんですよね。
最後は素敵な家族に戻ってハッピーハッピー♪
何回でも観たいオススメ出来る作品です★
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