「世界はずっとずっと大きい」ルーム 地を這うスパゲッティモンスターさんの映画レビュー(感想・評価)
世界はずっとずっと大きい
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高校生の時から7年間監禁されていた女性ジョイと、その生活の中で生まれた少年ジャックの物語。
ジャックは生まれてから4年間、小さな小さな部屋が世界の全てだった。テレビに映る人々は、テレビの魔法で映されて、木々も、犬も、猫も全てテレビが作った空想の物。
外に出ることができた後、そのままハッピーエンドとはならず、ジョイは監禁生活から解放された「後」自殺を計ってしまう。
この描写がひどく印象に残った。
なぜ解放された後に自殺を計ったのは何故なのだろう。
それは得てして世界とは自分の精神さえも変えるものだからではないだろうか。
小さな「部屋」が世界の全てだった時は、ジャックが全てだった。
それが部屋から解放された時、彼女の全てはジャックだけではなく、
監禁される前の生活、家族、社会の視線と広がっていってしまった。
こうして広がった世界は前の自分さえとも向き合わせる。
ジャックは前の生活に戻りたいとさえ言う。
人にとって変化という物はひどく辛く悩ましい物なのだということを考えさせる。
しかし最後に二人は「部屋」に戻り、別れを告げる。
とっても小さく、住んでたことさえも疑ってしまうような世界にお別れを告げて前に進む。
どうかこの二人の「世界」が広く豊かで幸せなものになって欲しい。
最後にそう願ってしまった。
昨今この映画に似たような実際の事件をたまに目にする。
この映画を見ながら、実際の被害者の方々の気持ちや痛みを痛感してしまった。(実際は想像をはるかに超えているのだろう)
実際に自分が何かをできるわけではないが、少しでもこのような出来事と関わることがあった時は、自分の誠意を全て用いて向き合いたいと思った。
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