グランドフィナーレのレビュー・感想・評価
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映画ならではの映像美
美しい映像に感銘を受けました。「グレート・ビューティー」より分かりやすい作品になっていると思います。監督はまだ若いのに、老境がよく描けていて、特に後半がいいです。見終わったあと、しばし席を立てませんでした。ただ、このホテルに私が泊まったら退屈しそうです。
現在本年ナンバーワン
音楽、映像、セリフ。そこから色々なことが想像できて、どんどん引き込まれました。 ストーリーを追っての鑑賞というよりも、その場、感情を共有させて頂いているイメージです。 劇場で見られてよかった。 もう一度見に行くと思います。
若さゆえ
スイスのロケーションは綺麗だし、小道具として出てくる絵画やオブジェが芸術性を高め、役者達の演技力…そして、粋なセリフで、人生の滑稽さと美しさを教えてくれる。 今後、語り継がれる名作である。 アルゼンチンの英雄をどう見たのか? あの英雄の姿を見て何とも想わなければ、それまでの感受性なんだろう。
ソレンティーノ作品は上級者向けばかり
圧倒的な映像美に、意外と簡素化されたセリフ、そしてラストのオーケストラのシーンは秀逸。なんだけど...私から見たら、ストーリーと展開が「ズタズタ」で「適当に作った」としか思えないんだな。前作の『グレート・ビューティー』もそんな感じだったな。 あ、こう書いたら高く評価したヒトに怒鳴られるかね。 コレもやはり「観る者を試す」作品だな。エンタメ系のファンは避けた方が無難。
人生の目的
映像がとても綺麗で、スイスの豪華なホテルに 集う、「成功者の皆様」の姿を観ていて 切なくなった。。そこにいるのは、幸福な姿ではなくて、成功し、富を得たものの、やがては年老いて、死んでいく。。という現実を受け入れられない人々の姿。 豪華なホテルの中だけに、空虚さが際立った。 富める者も、老い、そして死んでいく。。 あとは、何が残るのだろう。 青春の輝きのように。。一瞬一瞬の出来事の中に、 永遠に輝き続ける何か大切なものがあると 信じたい。。 みんな富を得たいし、成功したい。 でもその先に、永遠に残る輝きを信じたい。。 観ていて、そう思った。 私は転生輪廻を信じてる。 だから、来世につながる生き方をしたいと 望んでいる。 つまり今世、身につけた経験と智慧は、 来世の輝きとなる。。 そういう考え方で生きると、 生きる事が、希望で満ちていると思える。
とてつもない名作
歯列矯正中の女の子は、テレビゲームの前で踊る。しゃべらなくても皮膚に触れれば全部わかるから。 チベットの僧侶もしゃべらない。自然と調和すれば全部わかるから。 でも、たいていはそうはいかない。 私たちは自分自身を見つめるために、他者を必要とする。他者との会話の中の、無意識の語らいの中で、自分自身を発見できる。 無気力症の作曲家、皮肉屋のロボット役者。彼らは代表作があるがゆえに、世間と自分がずれている。それが欲求不満となり、どこかあきらめた雰囲気が漂う。 しかしある時、子どもとの会話をきっかけに自分自身の欲求のありかを見つけることができる。 そんな療養所で、老年の映画監督はスタッフたちと語らいながら新作づくりに奮闘している。そして、旧知の女優との会話の中で自分自身を認識してしまう。 表面は罵倒し合っても、この二人の地下には、友愛の水源が流れていたのに。 「どうせ理解されない」「どうせ無理」というあきらめは、人を死へと追い込む。そんな外界の恐れを払拭し、皮膚一枚で仕切られた内界を活力で満たすこと。たとえ皮膚が老いていようと、それが本当の若さだ。 だから原題は「youth」。邦題は全然ピンとこない。フィナーレを描いた映画ではない。 真夏を過ぎた初秋の太陽は、人の老年期にも似て、豊かで暖かく人々を魅了する。作曲家と映画監督の会話は、まさに心地よい音楽のようで、いつまでも聴いていたかった。 四季おりおり回転する太陽のように、人生もまた回転する。
『美術館にいるような映像美の連続』
世界的に有名な指揮者:フレッドは80歳になり、スイスの高級リゾートホテルで友人の映画監督:ミックとバカンスをしていました。そこに英国王室の人間が来て、勲章の授与と授与式の日に「シンプル・ソング」の演奏の指揮をしてほしいと願います。その曲はフレッドの作曲であり名曲で、指揮は女王陛下たっての希望でしたが、彼は引退した身だからと固辞します。しかし、そこで出会う人間たちとの交友や人間模様に触れていくにつれ、少しづつ態度が変わっていく・・・てな話です。 オスカー受賞のマイケル・ケインにジェーン・フォンダ、レイチェル・ワイズ。オスカーノミニーのハーヴェイ・カイテル。監督はイタリア映画『グレートビューティ 追憶のローマ』で母国にオスカー(外国語映画賞)をもたらしたパオロ・ソレンティーノと、非常に豪華なスタッフ・キャストを揃えた本作は、自分の視点からみれば、この映画は「年寄りにも希望はある」みたいな感じです。 しかし、難しい・・・!! 多くの会話・行動には、あるる種の詩的な雰囲気を纏ってはいるようには思います。しかし、自分にはあまりにも複雑で理解するには難しいように感じました。 それでも、本作における個人的評価は高め。 その理由のひとつに美しすぎる映像にあります。自然、造形物、人間とカメラ収まる全てがキレイ。特に草原で動物に協力してもらってオーケストラはあまりの美しさに、見てるうちに軽くのめりこむようになってました。監督は映像美に関しての評価が高いとは聞いてましたが、まさにその通りやと思います。 また、大げさな表現が少ない演出も特徴的。熱くダダダッと喋るのではなく、静かに時間をかけて語るような感じですね。なんとなくアメリカにはない、ヨーロッパ(もしくはイタリア)らしい雰囲気を感じます。これも監督の出身がイタリアやからかなと思います。 てことは、本作は結構監督:パオロ・ソレンティーノのカラーが強く出ているということなんでしょうね。 個人的にはこういう雰囲気は肌に合ってます。 内容についてはちと難しさを感じたものの、映像美と静かな語り口調、この二つを掛け合わせると、ホントに美術館の絵画を見ているような感じになります。 こういう感じが好きな人は、この映画を好きになるんやないでしょうか?本作は、そんな感じの映画です。
Youth
素晴らしい映画だった。光と影、カメラワーク、台詞、音、音楽、すべてのリズムが芳潤でセクシャリティに満ちている。原題の"Youth = 若さ"は、老人が取り戻せると幻想するものではなく、自分の外に存在していることに気付くもの。欲望と恐怖の間で欲望を選択した俳優のジミー(ポール・ダノ)の決意が、自分の心境に入り込んできた。 名俳優を揃えた役者の存在感はそれぞれ素晴らしかったが、映画の表現は役者の演技や台詞に頼りきらず、あくまでも素材として、ソレンティーノ監督が存分に味を出し切る調理をしている。 ただ『グランドフィナーレ』という邦題はとても残念。映画は記号とメタファーに溢れていて、意味が映像表現をはみ出して膨らんで伝わってくるし、原題の"Youth"は逆説的な意味を表象しているのに、この邦題は、一度引退した老音楽家がラストシーンでオーケストラを指揮する、ということを言い換えただけ。この邦題をつけた人たちは、この映画を本当に楽しめたのだろうか?
ヨーロッパを感じる
素晴らしい映画です。登場人物の言葉全てが完璧に練られたもので、笑える会話も沢山。トーマス・マンの『魔の山』や『ベニスに死す』がこの映画の地層にあるのだろうか、といったことも考えさせられた。ヨーロッパ的「休暇」「ことば」「性」がグイグイと迫ってきた。ジェーン・フォンダがジェーン・フォンダであることに全く気がつかなかった自分にショックを受けた。その確認のためにも、もう一度見ます。他の方のレビューにもありましたが、この邦題は良くないと私も思います。
どう死んで行くか…
生まれて来たからには、必ず死んで行く…。産まれ方はみな同じようなものだけど、死に方は人それぞれ…。 当たり前なのに、普段はあえて考えることもない。 80歳近い俳優たちが淡々と演じる、人生終盤のバカンス。 スイスの風景も、音楽も美しく、少しシニカルな会話もセンスを感じる。 でも大きなストーリー展開も無く、2時間、散文詩のように描かれる老紳士たちの日常はちょっと退屈。 主人公と親友は、かつては偉大な音楽家と映画の名監督として、それぞれ名声を得、成功を収めたセレブな人物。 一線を退き無気力に余生を送る主人公と、気持ちは現役の頃のまま、まだやれると製作に取り組み、挫折する親友…。 「バカンスはもう終わる。お前はどうする?」「帰るよ。普段の生活に戻るさ」 「そうか。…俺には普段が無い」 テーマ自体が「人生の終焉」なので、楽しめる映画ではないけれど、感じるところはあるかな。 上手に歳を重ねて、上手に死んで行けたらいいな、と思います。
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