劇場公開日 2016年4月16日 PROMOTION

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グランドフィナーレ : 特集

2016年4月4日更新

ウェルメイド──だが、なにか変!?
こんなにも「すごい映画」があることを、映画ファンに知ってもらいたい!
スイスの超高級ホテルに集った、引退した名音楽家とセレブたちが織り成す人生賛歌

カンヌ国際映画祭でも話題を集めた、「グレート・ビューティー 追憶のローマ」のアカデミー賞監督パオロ・ソレンティーノの最新作「グランドフィナーレ」が、4月16日に日本公開。マイケル・ケイン、ハーベイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポール・ダノ、ジェーン・フォンダら豪華実力派キャストが集結した本作は、映像、音楽、ドラマに強烈なセンスがあふれる「すごい」映画だった。

実力派がそろう豪華キャストと鬼才監督のセンスがあふれる「すごい映画」が公開!
実力派がそろう豪華キャストと鬼才監督のセンスがあふれる「すごい映画」が公開!

■アカデミー賞外国語映画賞受賞監督の最新作を映画.comが鑑賞──
 世界観、映像美、センス──この映画、「単なる良作」じゃない!

「グレート・ビューティー 追憶のローマ」で、2013年度のアカデミー賞とゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞したイタリアの鬼才、パオロ・ソレンティーノ監督の最新作「グランドフィナーレ」が4月16日に公開になる。カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されて話題を集め、本年度アカデミー賞では主題歌賞にノミネートを果たした注目作を、映画.comがいち早く鑑賞した。

メガホンをとったのはイタリアの鬼才パオロ・ソレンティーノ
メガホンをとったのはイタリアの鬼才パオロ・ソレンティーノ

08年のカンヌ国際映画祭に「イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男」を出品、パルムドールは逃したものの審査委員長を務めていたショーン・ペンに高く評価され、審査員賞を受賞したのがソレンティーノ監督。才能にほれ込み意気投合したペンは、監督の新作への出演を熱望。その結果、監督初の英語作品でもあるロード・ムービー「きっと ここが帰る場所」が生まれた。そしてその次作「グレート・ビューティー 追憶のローマ」が、前述の通りアカデミー賞外国語映画賞を受賞。期待せずにはいられない監督最新作を、いち早く目撃できるチャンスにありついたのだ。

(左から)元音楽家役のマイケル・ケインと巨匠監督役のハーベイ・カイテル
(左から)元音楽家役のマイケル・ケインと巨匠監督役のハーベイ・カイテル

アルプスを望むスイスの超高級ホテルでバカンスを過ごす、引退した音楽家を主人公に、その友人である巨匠映画監督や、場を共にするセレブリティたち。荘厳な建築物をバックにしたポスターのイメージから、彼らが織り成す人生模様をクラシック音楽要素たっぷりに描く高品位のヒューマン・ドラマと思いきや……シンプルなサウンドを奏でる4人編成のバンドのうち、回転するステージ上の女性ボーカルのアップを捉えたまま延々と映し続けるというカットがオープニングから登場。あれ? なにか様子が変だ。早くも「ただの作品ではない」ことがビシビシと伝わってきた。

斬新な映像感覚にあふれる画面に「なんだこれは?」と驚かずにはいられない
斬新な映像感覚にあふれる画面に「なんだこれは?」と驚かずにはいられない

一世を風びした楽曲で知られる元音楽家のフレッドが、なぜ英国王室からの勲章授与と演奏会の出演依頼をかたくなに断り続けるのかが、娘との愛憎のなかで明らかにされていくのが物語の本筋。だが、以前はサナトリウムだったものを改築した古いホテルだというロケーションや、整然と人が並ぶスパ、暗闇の中で人々が微動だにしないサウナなど、かもし出される雰囲気と挿入される印象的なショットは、独特のセンスで作り出されている。「なんだこれは?」と驚かずにはいられないのだ。

M・ケイン、H・カイテル、R・ワイズ、J・フォンダ、P・ダノら名優が集結
M・ケイン、H・カイテル、R・ワイズ、J・フォンダ、P・ダノら名優が集結

フレッドを演じるオスカー俳優マイケル・ケイン、その親友監督役のハーベイ・カイテル(「スモーク」)、フレッドの娘を演じるレイチェル・ワイズ(「ナイロビの蜂」でアカデミー賞受賞)に加えて、ジョニー・デップを思わせるハリウッド・スター役として「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」のポール・ダノまでが物語に大きく絡むとなれば、映画好きならニヤリとせずにはいられない。さらに巨匠監督の永遠のディーバ役として、名女優ジェーン・フォンダが登場! 気がつけば、圧倒的な存在感に引き込まれてしまった。

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センスが炸裂するのは映像だけではなかった。その音楽のセンスも抜群。ストラビンスキーやドビュッシーのクラシックの名曲が流れるかと思えば、米インディー・ロック界の重鎮マーク・コゼレックや英音楽シーンの注目アーティスト、パロマ・フェイスが本人役で出演、さらにはグラミー賞アーティスト、ファレル・ウィリアムスのナンバーまでが使われるのだ。そしてアカデミー賞主題歌賞にノミネートされたデビッド・ラング作曲の「シンプル・ソング #3」では、BBC交響楽団とビクトリア・ムローバのバイオリン演奏で、カラヤンが「神からの贈りもの」と称えたオペラ歌手スミ・ジョーが歌う。目だけではなく、耳でまで至高の体験ができるって……本当に「単なる良作」じゃない!

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■映画ファンの知的好奇心を刺激する──《ここが変だよ「グランドフィナーレ」》

老いとはなにか、若さとはなにか。美しいアルプスの山々に囲まれたホテルを舞台に、すべてを手に入れた天才作曲家が見つけた人生の真実を浮かび上げる「グランドフィナーレ」。数々の思いを胸にホテルに集った人々の姿が、見る者の琴線に触れるヒューマン・ドラマでありながら、劇中にはこれまでの映画好きの常識をはみ出す独自センスが満載。鬼才監督の才能がほとばしる「ここが変」というポイントを紹介しよう。

ここは本当にホテルなのか? 病院や療養所を思わせるシュールな描写
ここは本当にホテルなのか? 病院や療養所を思わせるシュールな描写

舞台となるのは「スイスの高級リゾート・ホテル」だが、どこか我々が持つイメージとは異なる。宿泊者は高齢者が多い印象で、医師による診療や、白衣を着た者たちによる介護まで付いている。ホテルではなく、「病院」や「療養所」といった趣きが強いのだ。ヨーロッパにはエステや診療が一緒になった「若返りホテル」が実在するというが、この施設の正体は一体何なのだろうか……?

卓越した映像感覚を感じさせる数々のカットが挿入される
卓越した映像感覚を感じさせる数々のカットが挿入される

宿泊客が利用する、ホテル内の施設の描写がとにかくシュールだ。例えば、水着姿の老人たちが整列するかのようにプールに寝そべるカットや、マイケル・ケインが大きな球体の鳥かごを見つめるシーンの構図は、現代美術の絵画のよう。また、ポール・ダノが腰掛け、レイチェル・ワイズが寝そべっているサウナ内でのカットは、そのままグラビアを飾ってもおかしくないハイセンスな写真を思わせるのだ。

マラドーナとしか思えない人(左)や、ポール・ダノ扮する世界的スターも(右)
マラドーナとしか思えない人(左)や、ポール・ダノ扮する世界的スターも(右)

本作は、女王からの依頼を断った実在のイタリア人指揮者のエピソードを基に構想されたが、実在のセレブをモデルにしたと思われる人たちも登場する。太った身体にひげ面の南米系の風ぼう、変幻自在な左足ワザの数々……サッカー好きならピンと来る「どう見てもマラドーナだろ!」という宿泊客や、役作りのために長期滞在する世界的なハリウッド・スターは、ジョニー・デップを連想させる。

主要キャラクター以外にも、登場する人々はどこか不思議な人ばかり
主要キャラクター以外にも、登場する人々はどこか不思議な人ばかり

主要な登場人物以外にも、不思議なキャラクターが続々と登場。元音楽家と親友監督が賭けの対象として見つめているのが、食事中にまったく言葉を交わさない老夫婦。ホテルの中庭ではゲストに向けたパフォーマンスが連日行われているが、そこに登場するパフォーマーはクセのある者ばかりだ。そして、グラマラスな肢体をさらすミス・ユニバースは、まさに美の女神という神々しさを放つ。

草原に腰掛けた元音楽家(ケイン)がタクトを振るうそぶりをすると……
草原に腰掛けた元音楽家(ケイン)がタクトを振るうそぶりをすると……

さらには、現実感を逸脱する不可思議な光景までが出現し、映画的な快楽とともに見る者の知的好奇心がくすぐられる。歴史あるヨーロッパ風の建物をバックに、正装のマイケル・ケインが浮橋を渡るシーンは夢の中で登場するが、ケインが草原に座り腕を振るうと、放牧されている牛たちがカウベルと鳴き声で合奏するさまは、現実の続きとして描写される。ハーベイ・カイテル演じる老監督が見る白昼夢の光景も、恐ろしく幻想的なのだ。


■「グランド・ブダペスト・ホテル」「バードマン」「マグノリア」──
 女性映画ジャーナリストも、本作を「大人の映画ファンが求める」一作だと推奨

映画ジャーナリストの若林ゆり氏が本作を鑑賞。大人の映画ファンが求める・満足する映画であると太鼓判を押した。

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