劇場公開日 2016年4月15日

  • 予告編を見る

スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価

全367件中、221~240件目を表示

3.5真実は「この眼で見るまで」わからない

2016年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

西欧諸国、特にアメリカ合衆国で「ゴッド」「神」の威光を背後に見せるものは、絶対的な権力を手にする。
何をやっても許されてしまう。
「すべては神の御意志だ」といえば「つじつま」があってしまう。
それは「正義」にも姿を変える。
国同士が「正義のために」「神のために」時には戦争で、人を殺すことさえ「神の祝福」が与えられる。
それに比べれば、神父が子供達に、性的ないたずらをするのは「神の側」である協会側にとっては、きっと取るに足らないことなのだろう。
こどもたちのその後の人生に、一体どのような、大きな痛手と苦悩と影響を与えようが、知ったことではないらしい。
全ては「神の御意志なのだ」で済ませてしまう。
そんな、驚くべき「タブー」が、ようやく世の中に知らされたのが21世紀に入ってから。ついこの間のことなのだ。
それ以前、この問題が表に出なかったこと自体、驚嘆すべき出来事だ。
その教会の「タブー」を報じたのは、アメリカの地方新聞「ボストングローブ紙」である。
本作は、その真実の物語を元に、記者や、裁判に関わった弁護士たちの人間群像を描くものである。
本作は「アカデミー作品賞」を受賞している。
それは、このカトリック教会に潜む「腐りきった根っこ」を、世間の目にさらすという、途方もないインパクトを、アメリカ社会に与えたことにあるのだろう。
なぜいままで、この問題を新聞報道しなかったのか?
なぜ、いままで誰も、この問題を映画化しなかったのか?
うがった見方をすれば、本作を「アカデミー受賞作」に祭り上げることで、ハリウッドや映画界、マスコミは、自分たちへの火の粉を防ぐ「ファイヤーウォール」あるいは「免罪符」にしているのではないか? とさえ思ってしまった。これはあくまでも私の個人的意見である。
ただ、本作でも描かれているが、神父の子供達への性的虐待については、早くから報道され、裁判にさえなっていた。
しかし、記事の扱いはごく小さなものであり、裁判沙汰もうやむやになってしまっていた。その被害者の子供達を守った、弁護士役を演じるのがスタンリー・トゥッチだ。
私が本作で最も心惹かれたのが、この役者さんの存在感だった。
彼はトム・ハンクス主演の「ターミナル」
https://www.youtube.com/watch?v=KoVxGKFDCjU#t=153.083107

や「プラダを着た悪魔」
https://www.youtube.com/watch?v=x9OIvwy5YV0

それにアメリカでリメイクされた「Shall we Dance?」
https://www.youtube.com/watch?v=hoHrIxIQXZM

で抜群の演技を見せてくれた。
本作では、カトリック教会の「大罪」を告発したが、それを圧力によって封印されてしまった過去を持つ、気難しい弁護士を演じる。
彼の演技プラン、人物造形は実に見事だ。
彼はボストングローブ紙が、協力を要請してきても、最初は全く協力しようとはしない。
「相手は”カトリック教会”なんだぞ! 君たちが勝てる相手じゃない」
ボストングローブの熱血記者はそんな彼に対して
「今も、罪のない子供たちが、神父の餌食になってるんだ」
「たとえ”ヴァチカン”に乗り込んでも、この事実を暴いてみせる!」
そうなのだ。この衝撃の事実は、実に根深い。
なお、私も含め「日本人」は、宗教について、さほど強い関心を示さず「無神論者」を決め込んでいる人が多い。
また宗教こそ「人生の道標なのだ」という人は少数派だ。
しかし……。
アメリカという国では、子供の頃から宗教教育を叩き込まれるのである。以前「りんぼう先生」こと、林望さんの、イギリス留学中のエッセイを読んだことがある。
意外にもイギリスでは、それほど信心深い人は少ないという。
りんぼう先生は、イギリス留学時代、古いマナーハウス(中世ヨーロッパの領主邸宅)に滞在していた。
(ちなみに滞在費は結構安いらしい)
そこに、あるアメリカ人女性が滞在していた。彼女はある日、ラッキーな出来事があり、感激のあまり、庭先で神に感謝を捧げていたらしい。それを見つけたマナーハウスの女主人。
走り込んできて、そのアメリカ人女性に放った一言。
「やめてちょうだい! そんな馬鹿げたこと」
「りんぼう先生」はその一部始終を目撃しているのである。
アメリカとヨーロッパでは、キリスト教に関するスタンスが、どこか違うらしいのである。
宗教にしろ、政治にしろ、巨大な権力は、どこからか腐敗が始まる。
それは世の常といったところかもしれない。
かつて日本でも、田中角栄氏が逮捕された「ロッキード事件」があった。
そのきっかけとなった、立花隆氏の文藝春秋レポート記事「田中角栄研究」
その後、他の新聞記者たちは、田中逮捕後に、悔し紛れにこういったという。
「あの程度の情報は、俺たちはとっくに掴んでいた」
だったら
なぜ記者は記事を書かなかったのか?
なぜ総理大臣の不正を暴こうとしなかったのか?
私には忘れられない、出来事がある。
「心の友」とでも言うべき、敬愛してやまないネット作家がいる。
その方が2012年6月23日
「大変なことが起こってます!すぐにこの動画をみてください!!」
とメールを送ってくれた。
私はすぐにリンク先の動画をみた。その動画の撮影者はタクシーに乗り、ゆっくりと首相官邸前を車で一周した。その先に映っていたのは……。
断固とした姿勢で首相官邸を取り囲む「一般市民たち」の姿だった。
https://www.youtube.com/watch?v=rdkTDjHXUkU

「一般市民が首相官邸を取り囲んで抗議行動をした!?」
これは日本という「国家を揺るがす」とんでもないニュースだと思った。
新聞の一面トップを飾ってもおかしくない出来事だ。
私は翌日、朝一番のテレビを見た。
どの局も首相官邸で起きていることを報道しなかった。
私がこの事実をメールで初めて知ったのち、テレビ及び新聞などのマスメディアは、一斉に沈黙した。
その間、実に「一週間」
真実を報道するべきはずの「新聞・テレビ」は、一切、固く口を閉ざしたのだ。
首相官邸で実際には何が起きていたのか?
誰も何も言おうとはしないのだ。
あきらかな「箝口令」である。
私はこの国が恐ろしくなった。
「大本営発表はまだ続いているのだ……」
そうだ。それは”記者クラブ”という名に変わっているだけなのだ。
私たちは、何を信じたらいいのか?
自分の目で見つめること。
自分の眼の前で起こっていること。
その事実を淡々と受け止める、心の準備をしておこう。

**************
天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆☆
配役 ☆☆☆☆
演出 ☆☆☆
美術 ☆☆☆
音楽 ☆☆☆
総合評価 ☆☆☆
**********
作品データ
監督   トム・マッカーシー
主演   マーク・ラファロ、マイケル・キートン
     スタンリー・トゥッチ
製作   2015年 アメリカ
上映時間 128分
予告編映像はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=h8TwCzA59Lg

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ユキト@アマミヤ

3.5マークラファロの演技にグッときた!

2016年5月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

実話ベースで教会という巨大な不可侵システムに立ち向かうというところでまず興味をそそられる。
協会側の内幕は全く映像で見せないところがいい、実際にわからないだろうし。
隠蔽する気持ちもわかるし、怒り闘おうとする気持ちもわかる。
当事者にならなかったことを幸せと思うことに罪の意識を感じさせる作り方には感服。
マークラファロの怒りの演技もよかったが、マイケルキートンの終盤の演技もよかった。
観てよかった。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ワイナオ@フロワク@映画おじさんの風呂が沸くまで

2.5事実が怖い

2016年5月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

悲しい

難しい

感動的に終わってほしかった…。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
花形右京

3.0いいドキュメンタリー

2016年5月5日
Androidアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
ななほ

5.0良かった!

2016年5月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

派手な展開は無いし、どんでん返しみたいなものもなし。でも観て良かった!
ところどころでゾッとする真実があったが神父の言い分が一番ゾッとした。こんな人が聖職者と呼ばれて他人の人生を台無しにしたのかというやりきれなさと延々と続いてきたカトリック教会の闇を垣間見た。
ただのスクープの裏側を描いた映画でなくて、個人や社会の無関心さに警鐘を鳴らす内容なのが良い意味で後味悪くて良かった。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
あき

5.0チームワークの勝利

2016年5月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

事実をもとにした作品のため、ハラハラドキドキとか、大どんでん返しなんてありませんが、とても良かったです。チームワークがよく描かれていました。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
肉球

4.5タイトルなし(ネタバレ)

2016年5月4日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
IKU

4.0仕事人としてのプライド

2016年5月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画の底辺に流れるテーマ、それは
「仕事人としてのプライド」だ。
私達は何のために仕事するのか。生活のため、出世のため、金のため、名声のため、保身のため。。
最後に全国の「被害者」からの電話がボストングローブに一斉にかかり、エンドロールで「被害」があった全世界の都市名が一斉に流れた時。。映画館にいた全ての仕事人がうなづいた。人が真に人のため心から気を使って細密に動いた時、世のため人のために動いた仕事人の「思い」は結実するのだと。
人が仕事をする上で本当に大事なことは何なのかを、改めて教えてくれた、秀逸な映画だった。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
地元ワンダーランド

4.0熱きジャーナリストの心。

2016年5月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

社会的使命を果たそうとする信念の強さ。テンポも良かった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
つなやん

3.5報道とは

2016年5月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2016年のアカデミー作品賞を獲得作品。
映画のストーリーはアメリカの新聞社であるThe Boston Globe誌の記者がボストンにあるキリスト教カトリック教会の神父達が信者の子供達に性的虐待をしていた事実を突き止めます。
その事実を教会ぐるみで隠蔽していたのです。
ボストンは地元意識が高く教会と住民は密接に繋がっています。住民達にとって教会はなくてはならないもの。
その教会でこの様なことが行われている。
そして神父たちは被害にあった子供達にその事実を黙っているようにプレッシャーをかけている。最悪ですね。
日本では宗教感が薄く教会との関係性を肌感覚で理解するのは難しいとは思いますが、記者たちの真実を追求し報道し二度とこの様なことのない世界を作らなければならないと言う使命感に突き動かされている姿勢は人種や国が違えども同じと思います。
派手な映画ではないですが、見て損はない映画ですね。
昔見た映画で『大統領の陰謀』と言う作品がありました。
同じ記者たちがウォータゲート事件を暴くと言う映画です。
その映画を思い出しましたね。
報道は行き過ぎることもあるしこの様な正義感を持ってる記者たちばかりではないと思います。
報道はともすれば間違って報道しそれによって人生が狂ってしまうこともある。
だからこそしっかりとした報道をしてもらいたいと思いますね。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
chai

4.0記者を追うことに徹底している

2016年5月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

タイトル通り、記者に焦点を当てた作りになっています。なので、この事件そのものの描写などを期待していると思ってたのと違うかな、となるかも知れません。

そして、個人的にはとても満足。事件そのものの是非を問うのは勿論そうなのだけど、メディアとは、仕事とは、人としてのありかたとは、そういったものを記者たちを通して自分にも問いかけるような映画でした。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
Shima

5.0また見たい

2016年5月3日
iPhoneアプリから投稿

記者がスクープ取るための奮闘ぶり、リアルでした。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
miyu

3.0クリミナルマインド漬けなので気分転換に単身で鑑賞。6日までの上映に...

2016年5月3日
iPhoneアプリから投稿

クリミナルマインド漬けなので気分転換に単身で鑑賞。6日までの上映に間に合いました。淡々と進行。信仰も無いので事の実話である衝撃に不感症です。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
arapapa

2.5カトリック教会の異常性に吐き気がした!

2016年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

難しい

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
KAZU

2.0そんなに・・

2016年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

知的

話としては単純。ドラマ性に欠ける。

教会のペドフィリアは相当前から問題化していたので、題材としてはやや遅かった。しかし、これは社会派映画なのか、ヒューマンドラマなのか、よくわからない。

獅子奮迅の働きを記者がしたようにも描かれていないし。
登場人物の周囲のものとの、愛憎と葛藤の描き方も中途ハンパだ。
アカデミーを取ったからといって、評価に値する「映画」とは限らない。昨年度次点の映画から選んだほうがよかったね。

ま、この映画は、質からしても「アルゴ」並みの評価だな。

コメントする 1件)
共感した! 4件)
critique_0102

4.0ジャーナリストの真髄

2016年5月2日
Androidアプリから投稿

やりがいとは?を認識できる映画である。しかし、神とは何ぞや❗

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ぽっくん

4.0記者の魂を緻密に描いた秀作

2016年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

神父の性犯罪を暴き、一面記事に掲載したアメリカの新聞『ボストン・グローブ』の記者たちの記者生命を懸けた戦いだ。神父の背後にはカトリック教会という大きな組織が存在し、この事実を長い歴史上で隠蔽をしてきたことで教会も共犯となり、関わった神父も予想以上に多数いることで結果的に全米を震撼させる大事件となった。
本作で予想以上に興味深かったのは記者が事件を暴く前提にあるもの。仕事量や仲間との連携から個々の仕事に対する価値観までこれまで自分がイメージしていた記者という存在を覆させられた。今回の事件に関わった記者は少人数チームのため、これらの部分が出色して見えたと言われればそれまでだが、逆を返せばこの部分を抽象的に描くのではなく、終始徹底して記者たちの日々を描いたトム・マッカーシー監督はじめスタッフ陣の手腕が高いことを示している。
とはいっても本作のテーマはカトリック教会の暗躍にある。前述にも述べたが、事件を調べていくうちに予想以上に関わっている神父が多い事実に直面してから記者たちの忙しない行動が目立つ。その中で虐待を受けていた被害者や弁護士と話していると責任は自分たちにもあるのではないかという疑問も生まれる。だからこそこのスキャンダルを上辺だけで終わらせるのではなく根底から根絶やしにすることを目的としている。
記者、弁護士、神父・・・等、次々と現れる人物を理解しながら物語を追っていくのは難しい映画といえる。だが、名前を覚えるよりも「スポットライト」に関わった記者たちの心情を垣間見たほうが本作の魅力に迫る近道と言っていい。役者としてもさることながら役どころもベテランの人間という共通点で鋭い演技をしたウォルター役のマイケル・キートン、突出した考えでスクープに一目散のマイク役はマーク・ラファロ、唯一の女性といってもいい大事なポジションにレイチェル・マクアダムスと申し分ない役者陣が出揃っている。
細かいところで良かった点もいくつかあったが、特に良かったのはさりげなく9.11同時多発テロの話題を盛り込んでいたことだ。性的虐待の件で駆け抜けるのかと思っていたが、中盤でこのことを導入することにより記者としての本質を我に返るかのように感じ始める記者たちの様子が印象的。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
森泉涼一

4.0体が熱くなってきた

2016年5月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

神父による児童虐待は以前から囁かれていた問題なのだろうし、記者たちの活躍によって何かが解決したわけではない。
しかし問題を個々の事件としてではなく、「教会というシステム」の病理として捉えたのは今回が初めてだったのではないか。
ドキュメンタリーではないがその要素を多く含んでいるように思えるし、ヒューマンドラマではないが記者たちはとても人間くさく描かれている。
派手なアクションや音楽や大仰なカメラワークの手も借りず、観る者に静かな興奮を起こさせるのは、やはり作り手が成功しているからだと言っていいと思う。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
ROKUx

3.5これが実話という衝撃。映画というよりドキュメンタリーというか。わり...

2016年5月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

これが実話という衝撃。映画というよりドキュメンタリーというか。わりと難しくて理解しきれてないし、ましてや無宗教なのだけど、ショッキングさは伝わってきた。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
まだまだぼのぼの

5.0テンポの良さと熱意に引き込まれた!

2016年5月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

真実にたどり着くまでの緻密な取材と、
記者達の熱い想いに心打たれました。

単にスクープを狙うだけでなく、
真相がわかるにつれ、被害者を増やしたくないという記者の強い想いと使命感が伝わってきました。
マスコミって重要なんだな、とあらためて感じさせられました。
ラストシーンでは、涙が溢れてきて止まりませんでした。

またそれと同時に、抑制され過ぎた時の人の行動は
怖いということも…
感動と同時にそんな人間の怖さも知った映画でした。

複雑な要素が絡み合う、アカデミー作品賞、脚本賞納得の作品でした。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
TOMO